OBSERVATION観測
◇雨の降らなかった6月
上旬前半は、本州南岸に停滞する前線や上層の寒気の影響で、曇りや雨の降る日がありました。上旬後半は、移動性高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。11日からは再び前線が本州南岸に停滞するようになり、曇りの日が多くなりました。しかし、前線は陸地から離れて停滞するときが多く、雨はほとんど降りませんでした。25日頃からは太平洋高気圧が西へ勢力を伸ばし始め、南海上の前線は弱まりました。高気圧の縁を回るように、西から湿った空気が入り込み、日本海側では強い雨の降るときがありましたが、太平洋側では高気圧におおわれ、晴れて気温が上がりました。
上旬と中旬に上層の寒気やオホーツク海高気圧の影響で気温の低い日がありましたが、下旬には太平洋高気圧からの暖かい空気が入って気温が高くなり、月平均気温は20.4℃と平年より1.3℃高くなりました。一方、降水量は50.0mmと平年の30%しかなく、4月から雨の少ない月が続いています。また、日照時間は116.5時間とほぼ平年並になりました。
6月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 20.4 19.1 月降水量(mm) 50.0 169.4 月日照時間(時間) 116.5 114.7
旬平均気温(℃) 順位 観測値 平年値 上旬 18.0 18.6 中旬 19.4 19.2 下旬 23.7 19.6
●6月の日立市役所における日平均気温と日最高気温の推移
なお、月降水量50.0mmは、6月の降水量としては観測開始以来最も少ないものでした。また、1mm以上の雨が降った日数も、1960年の6日に次いで観測開始以来2番目に少なくなりました。
月降水量(mm) 順位 年 月降水量 1 2005 50.0 2 1979 79.0 3 1960 81.4 4 1996 88.5 5 1964 93.7 平年値 169.4
降水日数 順位 年 日数 1 1960 6 2 2005 7 3 1987 8 3 1986 8 平年値 12.3 ※順位は数値の少ない方からで、1953年から2005年の統計
※降水日数は、日降水量1mm以上の日数
平均的な気圧配置であった2002年6月と今年の6月の梅雨前線の様子を、地上天気図と気象衛星の雲画像から比べてみました。2002年6月は、11日頃から梅雨前線が本州南岸に停滞するようになり、曇りや雨の日が続きました。17日と30日の気象衛星の雲画像を見ると、両日とも日本の東海上から本州、四国、九州をとおり、東シナ海から中国大陸南部にかけて帯状に雲が連なっています。
今年の6月も、12日頃から日本の南海上に梅雨前線が停滞するようになりました。しかし、その位置は2002年と比べるとやや南に下がっていました。17日の気象衛星の雲画像を見ると、日本の東から本州の南をとおり、南西諸島から中国大陸南部にかけて、帯状に雲が連なっています。特に、本州の南から南西諸島にかけては白く輝く発達した雨雲があります。しかし、本州から九州にかけての陸地には、雲はかかっていません。
さらに、月の終わりには太平洋高気圧が西へ勢力を張り出し、南海上の前線ははっきりしなくなりました。30日の天気図を見ると、関東地方から北陸地方にかけて前線が斜めに停滞しています。しかし、気象衛星の雲画像で見ると、日本の東と日本海では前線の雲が消え、関東地方に雨雲のかたまりが残っています。そして、朝鮮半島から黄海をとおり、中国大陸にかけて新しい前線に伴う帯状の雲がかかり始めています。
今年の6月は、梅雨前線の位置がやや南にあり、雨雲がほとんど陸地にかからなかったことと、月の終わりには太平洋高気圧が西に張り出し、南海上の前線が弱まって消えてしまったこととから、北海道から関東地方にかけての太平洋側と西日本で、降水量が少なくなりました。
●参考:6月中旬と下旬の地上天気図と気象衛星雲画像の比較(2005年と2002年)
2005年06月17日09時の地上天気図 | 2002年06月17日09時の地上天気図 |
2005年06月17日09時の気象衛星赤外画像 | 2002年06月17日22時の気象衛星赤外画像 |
2005年06月30日09時の地上天気図 | 2002年06月30日09時の地上天気図 |
2005年06月30日09時の気象衛星赤外画像 | 2002年06月30日22時の気象衛星赤外画像 |
●参考:気象衛星雲画像からみる停滞前線の消滅
24日には、本州南岸から九州南部をとおり、南西諸島にかけて梅雨前線がかかっています。所々に白く輝いた部分があり、雲が発達していることが分かります。25日になると、梅雨前線は南へ下がり始めるとともに、輝度が低くなっていき、活動が弱まっていることを示しています。これは、25日頃から南海上の太平洋高気圧が西へ勢力を広げ始め、赤道付近からの暖かくて湿った空気が、フィリピン付近を通って梅雨前線へ流れ込むことができなくなったためと考えられます。
26日には、南海上の前線はほとんど消え、かわりに中国大陸東岸に進んできた低気圧に伴う前線が、朝鮮半島から日本海へ伸び始めています。この後、南からの湿った空気は、中国大陸を大きく回るようにして、東シナ海から九州地方や本州の日本海側へ流れ込むようになり、7月に入ると新しい前線が、本州南岸から九州地方に停滞するようになりました。
作成日:2005/07/11
訂補日:2013/05/27
名前 日立市天気相談所