日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇寒くて気温の変動の大きかった1月

 12月に引き続き、北極からの寒気が入りやすく寒い日が続きました。しかし、中旬に入ると大気の流れが変わり、上層では大気が西から東へ流れるようになりました。特に、13日から14日にかけては日本海と本州南岸を進んだ低気圧に向かって南から暖かい空気が入り、気温が上がりました。その後、一時的に冬型の気圧配置が強まり寒くなるときもありましたが、月末には移動性高気圧におおわれて気温が上がるなど、気温の変動が大きい月になりました。月平均気温は3.6℃と、平年より0.9℃低くなり、最近の10年間では2001年と並んで寒い月になりました。

 また、上旬の終わりから下旬の初めにかけては、本州付近を3日程度の周期で低気圧が通過し、曇りや雨の天気になることが多かったため、日照時間は178.1時間と平年の91%にしかなりませんでした。一方、降水量は50.5mmとほぼ平年並になりました。

1月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 3.6 4.5
月降水量(mm) 50.5 46.3
月日照時間(時間) 178.1 195.0
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 2.5 5.3
中旬 5.1 4.4
下旬 3.3 4.0
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 49.3 60.9
中旬 52.0 61.1
下旬 76.8 73.2

 ●1月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPa気温の推移

2006年1月の日立市役所における日平均気温の推移 2006年1月のつくばにおける500hPa気温の推移

 1月の平均気温と最低の年推移(1953年〜2006年:日立市役所)

日立市役所における1月の平均気温と最低の年推移(1953年〜2006年)

※850hPaの気温は、つくばにおける9時の観測値

 14日と21日の日立市役所における気温を関東地方の他の地域と比べてみると、地形の影響による変化の違いが見られました。14日は、低気圧が本州南岸を発達しながら東北東へ進みました。これに伴い、低気圧の進行方向前面に南から暖かい空気が入ってきました。つくばにおける、高さ約1500m(850hPa気圧面)の気温を見ると、13日の9時には-3.9℃だったものが、低気圧が四国の南へ進んできた14日の9時には6.0℃まで上がっています。これに伴い、日立市では14日の明け方から気温が上がり始め、14時7分には日最高気温15.4℃を記録しました。一方、関東地方のその他の地域では、日中になっても気温は上がりませんでした。14日11時のアメダスによる気温分布を見ると、気温が10℃を超えているのは茨城県北部の沿岸部と房総半島南部から神奈川県南部だけで、それ以外の地点では4〜8℃の気温となっています。特に埼玉県から栃木県、群馬県の内陸部では5℃以下の気温となっています。

 関東地方の平野部は寒気が滞留しやすく、南から入ってきた暖気が滞留している寒気の上を滑っていき、地上の気温が上がらないことがよくあります。これに対して、日立市は西側にすぐ山があるため寒気の滞留がなく、暖気の流入の影響を受けやすい地形で、低気圧とともに暖気が入ってくるときには、関東地方の中で一番最初に気温の上がることが多くあります。(同じように、寒気が滞留して関東地方の内陸部で気温の上がらなかった例としては、2003年1月3日2000年11月20日の例があります。)

21日の最深積雪(cm)
観測地点 最深積雪 観測地点 最深積雪
日立 4 宇都宮 0
大子 1 前橋 0
水戸 17 熊谷 0
鉾田 14 東京 9
土浦 9 千葉 10
下妻 18 横浜 11

 21日は、本州の南を離れて低気圧が東へ進みました。この低気圧とは別に、21日の明け方に東海地方の南に小さな低気圧が発生し、東へ進みました。この影響で、21日の明け方から夕方にかけて、茨城県から関東地方の南部で雪が降りました。特に、茨城県の中部から千葉県にかけては、積雪量が10cmを超える雪になりました。このときの気温の変化を見ると、日立市では他の地点よりも早く、20日の夕方から気温が下がり始めました。その後、夜に入って水戸や熊谷でも気温が下がり始めました。しかし、東京や千葉で気温が下がり始めてきたのは、21日の明け方になってからでした。

 また、21日の日中は、北東の風が強まるとともにさらに気温が下がりました。この日の最低気温は12時11分に記録した-0.3℃、最高気温は03時44分の2.7℃と、普通の日とは逆に昼頃に最も気温が低くなりました。

 このように、低気圧が関東地方の南を進むときに、低気圧に向かって北東から冷たい空気が入り込む場合には、茨城県の北部沿岸部から気温が下がり始めることが多く、気温も他の地点より低くなりやすい傾向があります。(同じような例として、2005年2月24日から25日にかけての降雪があります。このときは、日立市から水戸市にかけて積雪量が多くなりました。)

  ●1月21日の積雪の様子(15時30分、市役所から西方向を見る)

積雪の様子(2006年1月21日15時30分、日立市役所から西方向を見る)

  14日と21日の関東地方の気温分布(気象庁アメダス観測)と主な地点の気温変化の比較

14日11時の気温分布 21日14時の気温分布
アメダスによる14日11時の気温分布 アメダスによる21日14時の気温分布
主な地点の13日から14日の気温の推移 主な地点の20日から21日の気温の推移
関東地方の主な地点の13日から14日の気温の推移 関東地方の主な地点の20日から21日の気温の推移

 ※上のグラフの元データ(CSVファイル):1月13日から14日のデータ1月20日から21日のデータ

 参考:1月14日と21日の地上天気図及び850hPa面高層天気図

2006年1月14日21時の地上天気図 2006年1月21日15時の地上天気図
2006年1月14日09時の850hPa高層天気図 2006年1月21日09時の850hPa高層天気図
2006年1月14日09時の850hPa高層天気図 2006年1月21日09時の850hPa高層天気図

※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点における気温を、下段の数値は気温と露点温度の差を表しています。また、網掛けの部分は気温と露点温度の差が3℃未満(空気が湿っていることを表す)の範囲を表しています。


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作成日:2006/01/17
訂補日:2013/06/20
訂補日:2014/02/20
名前 日立市天気相談所