日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇冬から春への移り変わり

 上旬は、再び北極からの寒気が入りやすくなり、寒い日が続きました。しかし、中旬に入ると大気の流れが変わり、上層では大気が南西から北東へ流れる日が多くなってきました。これに伴い、南から暖かい空気が入るようになり、気温が上がるようになりました。このため、月平均気温は5.1℃と平年より07℃高くなり、昨年の11月中旬から続いていた気温の低い状態は解消しました。

 また、月の後半は日本の西側に上層の気圧の谷があることが多く、日本の南海上に前線が停滞しやすくなり、曇りの日が多くなりました。このため、日照時間は137.4時間と平年の79%にしかなりませんでした。一方、降水量は78.0mmと平年よりやや多くなりました。

2月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 5.1 4.4
月降水量(mm) 78.0 61.8
月日照時間(時間) 137.4 173.0
旬平均気温(℃)
順位 観測値 平年値
上旬 3.4 3.9
中旬 5.4 4.6
下旬 6.9 4.8
旬日照時間(時間)
順位 観測値 平年値
上旬 53.1 63.9
中旬 59.3 59.8
下旬 25.0 47.7

 ●2月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPa気温の推移

2006年2月の日立市役所における日平均気温の推移 2006年2月のつくばにおける500hPa気温の推移

 今月の上旬は、低気圧が周期的に本州南岸を通過し、低気圧の通過後に上層に強い寒気が入りました。特に、4日から5日かけては下層へも寒気が入り、気温が低くなりました。つくばにおける高層の気温の変化を見ると、3日9時には高さ1500m付近(850hPa気圧面)で-1.1℃であったものが、4日9時には-13.7℃まで下がりました。これに伴い、日立市役所でも3日の夕方から気温が下がり始め、20時には氷点下の気温になりました。その後も気温は下がり続け、4日の朝には最低気温-5.5℃を記録しました。

 4日の日中は晴れましたが、寒気におおわれて気温の上がり方がにぶく、最高気温は4.8℃までしか上がりませんでした。また、日平均気温も-0.6℃と0℃未満になりました。日平均気温が0℃未満になったのは、1996年2月2日(天気は晴れ)の-1.6℃以来、10年ぶりのことです。さらに、2月の最低気温としては、1994年2月13日に記録した-5.6℃以来の低い気温でした。

 5日も晴れましたが、まだ寒気が残っていたため、最低気温-4.8℃、日平均気温0.6℃と気温の低い状態が続きました。なお、5日の朝は晴れて放射冷却が起こり、内陸部では4日よりも気温が下がりました。日立市内の南部支所や水戸市では、4日よりも2から3℃気温が低くなっています。また、4日から5日にかけて日立市内で記録した最低気温は、いずれも今年の冬になって最も低い気温となりました。

 3日から5日にかけての日立市市内と水戸市金町の気温の推移

観測
地点
日立市役所 あかさわ山荘 南部支所 水戸(金町)
平均気温 最低気温 平均気温 最低気温 平均気温 最低気温 平均気温 最低気温
3日 4.3 -1.3 1.1 -4.0 3.8 -0.9 4.1 -0.8
4日 -0.6 -5.5 -4.1 -8.3 -0.7 -4.8 -0.7 -3.6
5日 0.6 -4.8 -3.4 -8.1 -0.8 -6.8 -0.9 -7.0

 ●11月から2月にかけての日平均気温の推移(平年値との比較)

 今年の冬は、11月の中旬から2月の上旬にかけて寒気が入りやすく気温が低くなりました。

今年の冬(11月から2月)の気温の推移

 ※上のグラフの元データ(CSVファイル:2KB)

 気象衛星で、4日から15日までの日本付近の雲の変化を見ると、上層の寒気の様子がよく分かります。4日の高層天気図(500hPa面天気図)を見ると、北海道の上空は-45℃前後の非常に強い寒気におおわれています。また、中国大陸から西日本にかけて、上層の大気は北西から南東へ流れており、-36℃の等温線は東北地方南部から北陸地方まで南下しています。気象衛星の雲画像では東シナ海から日本海、太平洋にかけて、びっしりと筋状の雲におおわれています。この雲画像からも、上層の寒気が日本の南まで入っていることが分かります。

 6日には、低気圧が九州付近へ進んできて、東シナ海の筋状雲はいったん消えました。しかし、低気圧が関東地方の東へ抜けた7日には、再び筋状雲が現れ、8日には日本の南海上まで筋状雲が広がりました。また、日本海には上層の強い寒気に伴う白く輝く雲が発生しています。

 12日に最後の寒気が抜けた後、西の方から筋状雲は消え始め、13日には日本の東海上に残るだけになっています。14日には、低気圧に伴う寒冷前線の白く輝く雲が日本海に現れ、筋状雲はすっかり消えてなくなりました。高層天気図では、日本付近の上層の大気は西南西から東北東へ流れており、-36℃の等温線はサハリン北部まで北上しています。この後、日本付近へは強い寒気が南下してくることはなく、一時的に下層へ寒気が入った日を除いて、月末まで暖かい日が続きました。

  参考:2月9日と14日の地上天気図及び500hPa面高層天気図と気象衛星赤外画像

2006年2月4日09時の地上天気図 2006年2月14日09時の地上天気図
2006年2月4日09時の地上天気図 2006年2月14日09時の地上天気図
2006年2月4日09時の500hPa高層天気図 2006年2月14日09時の500hPa高層天気図
2006年2月4日09時の500hPa高層天気図 2006年2月14日09時の500hPa高層天気図
2006年2月4日09時の気象衛星赤外画像 2006年2月14日09時の気象衛星赤外画像
気象衛星赤外画像:2006年2月4日09時 気象衛星赤外画像:2006年2月14日09時

※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点における気温を、下段の数値は気温と露点温度の差を表しています。

 参考:2月4日から15日までの日本付近の雲の変化(気象衛星赤外画像)

気象衛星赤外画像:2006年2月4日09時 気象衛星赤外画像:2006年2月5日09時 気象衛星赤外画像:2006年2月6日09時 気象衛星赤外画像:2006年2月7日09時
気象衛星赤外画像:2006年2月8日09時 気象衛星赤外画像:2006年2月9日09時 気象衛星赤外画像:2006年2月10日09時 気象衛星赤外画像:2006年2月11日09時
気象衛星赤外画像:2006年2月12日09時 気象衛星赤外画像:2006年2月13日09時 気象衛星赤外画像:2006年2月14日09時 気象衛星赤外画像:2006年2月15日09時

y4.gif (1703 バイト)【観測日誌2005年へ】 home_h2.gif (1545 バイト)【ホームページへ】

作成日:2006/03/16
訂補日:2013/06/27
名前 日立市天気相談所