OBSERVATION観測
◇春の強風
中旬の初めと月末に低気圧が日本の東海上で発達し、一時的に冬型の気圧配置が強まって寒気が入り、気温が低くなりました。それ以外の日は、移動性高気圧におおわれ、晴れて気温が上がりました。このため、月平均気温は7.7℃と平年より0.9℃高くなりました。また、晴れる日が多かっため、日照時間は200.2時間と平年の110%になりました。反対に、降水量は72.0mmと平年の70%しかありませんでした。
3月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 7.7 6.8 月降水量(mm) 72.0 103.6 月日照時間(時間) 200.2 181.3
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 7.0 5.7 中旬 7.5 6.7 下旬 8.4 8.0
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 46.8 59.5 中旬 69.9 60.3 下旬 83.5 61.5
●3月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPa面の気温(09時)の推移
月の後半は、本州付近を低気圧がたびたび通りました。低気圧は東海上で発達し、北日本から東日本にかけて、西から北西の強い風が吹く日が多くありました。日立市でも、17日から31日にかけて、最大瞬間風速が15m/sを超える日が8回ありました。特に、17日は発達した低気圧が関東地方を東へ進んだため、朝から夕方にかけて平均風速で10m/s、瞬間風速で20m/sを超える西よりの強い風が吹き続けました。
16日から17日の朝にかけて、東シナ海から本州中部を寒気を伴った上層の低気圧が東へ進みました。これに伴う低気圧が、16日9時には九州北部にあって中心気圧1000hPa、17日3時には関東地方で中心気圧984hPaと本州付近を発達しながら進みました。この低気圧へ向かって吹き込む暖気の影響で、関東地方南部では17日の明け方に南西の強い風が吹きました。一方、関東地方北部では低気圧の中心に近くて暖気の影響が弱かったため、強い風は吹きませんでした。
低気圧が東へ抜けた後、北西の風に変わり、関東地方の広い範囲で平均風速15m/s前後の強い風が吹きました。日立市でも9時前から西北西の風が強く吹き始め、14時30分には日最大平均風速15.0m/sを記録しました。低気圧の速度が比較的遅く東へ進んだため、夕方にいったん風が弱まるときがありましたが、20時まで風速10m/sを超えるやや強い風が吹き続けました。この強い風の影響で、常磐線では大甕、東海駅間で断続的に運転が中止になりました。また、日立市内では転倒などにより2人がけがをし、倒木や道路標識の破損など18件の被害が発生しました。
例年、関東地方では2月から3月にかけて、日本海を発達しながら進む低気圧に向かって強い南風の吹くことが多くあります。しかし、今年は低気圧の進路がやや南よりで、本州付近を進むことが多かったため、日立市では強い南風が吹くことはありませんでした(関東地方南部では、6日に瞬間風速20m/sを超える南よりの風が吹いています)。そのかわりに、低気圧が東海上で発達して、西から北西の強い風が吹くときが多くなりました。
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●3月17日の海面気圧、気温及び風速の変化
※市役所における3月17日の10分間データ:テキストファイル11KB(上のグラフの元データ)
●3月17日03時と15時のアメダスによる風向、風速の分布
●参考:3月7日の地上天気図と気象衛星水蒸気画像
2006年3月17日03時の地上天気図 | 2006年3月17日15時の地上天気図 |
2006年3月17日03時の気象衛星赤外画像 | 2006年3月17日15時の気象衛星赤外画像 |
気象衛星の水蒸気画像を見ると、上層の大気の流れが良く分かります。16日09時の画像では、黄海に寒気を伴った上層の渦が見られます。この渦は東南東へ進み、16日の夜には北陸地方まで進んでいます。この頃から、南側への乾燥域(画像で黒く見える暗域)の進入がはっきりしてくるとともに、東側で南北に伸びた白く輝く雨雲が現れ、低気圧が発達していることを示しています。
この後、渦の中心は関東地方北部を通って、東海上へ抜けました。中心付近で渦状の形がはっきり分かるようになりましたが、乾燥域は全体に広がり、東側の白く輝く領域が離れていっており、低気圧としては最盛期を過ぎたことが分かります。
●参考:3月16日から18日までの日本付近の大気の流れの変化(気象衛星水蒸気画像)
作成日:2006/04/11
訂補日:2013/03/21
名前 日立市天気相談所