日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇曇りの日が多かった5月

 月初めは高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。しかし、7日に低気圧が本州上を東北東へ進んだ後、20日にかけて前線が本州南岸から日本の南海上に停滞することが多く、曇りや雨の日が続きました。下旬に入ると高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。しかし、寒気を伴った上層の低気圧が本州付近を通過し、雷を伴った雨の降る日もありました。このため、月の日照時間は130.4時間と平年の75%しかありませんでした。一方、月の降水量は155.5mmとほぼ平年並になりました。

 気温の推移をみると、上旬は周期的に寒気が入り気温の変動が大きくなったものの平均すると平年並みになりました。月の後半は寒気が入りにくくなり、暖かい日が続きました。この結果、月平均気温は17.0℃と平年より0.9℃高くなりました。

5月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 17.0 16.1
月降水量(mm) 155.5 160.6
月日照時間(時間) 130.4 174.8
旬平均気温(℃)
順位 観測値 平年値
上旬 15.4 15.0
中旬 17.1 16.0
下旬 18.3 17.1
旬日照時間(時間)
順位 観測値 平年値
上旬 50.9 56.5
中旬 25.1 53.1
下旬 54.4 65.1

 ●5月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける850hPa気温の推移

2006年5月の日立市役所における日平均気温の推移 2006年5月のつくばにおける850hPa気温の推移

 ●5月の日照時間の推移と日照時間の少ない方からの記録

2006年5月の日立市役所における日照時間の推移
5月の日照時間
順位

日照時間(時間)
1 1963 88.4
2 1989 102.5
3 1995 103.3
4 1997 119.5
5 1988 123.7
6 1992 126.9
7 2006 130.4

※順位は、日照時間の少ない方か
 らで、1953年から2006年の統計

◇寒冷渦による大雨

  寒気を伴った上層の気圧の谷や低気圧の影響で、日立市でも20日、24日、28日と雷がありました。特に28日は、日本海に進んできた上層の低気圧の南東側を回る形で南から湿った空気が入ったため、茨城県北部の東側山沿いで降水量が多くなりました。日立市内でも、山の東斜面に位置し、南東からの気流が当たる市の北部から中部にかけて降水量が多くなりました。日立市役所における27日20時の降り始めから28日13時までの総降水量は、77.0mmでした。また、山間部にある本山における総降水量は165.5mmでした。それに対して、山地の南端に位置する南部支所における総降水量は35.5mmと、市役所の半分以下でした。(市内6地点の降水量データ(htmlファイル)

28日の降水量(mm)

観測地点
総降水量

最大1時間降水量

降水量
日時
日立市役所 77.0 39.5 28日10時02分
北部消防署 77.0 40.0 28日10時00分
本山 165.5 28.5 28日10時00分
西部出張所 64.0 12.5 28日11時00分
諏訪広場 82.0 36.0 28日10時00分
南部支所 35.5 21.0 28日10時00分
※総降水量は、27日20時から28日15時までの値。

 降水レーダー図をみると、28日の朝から昼前にかけて上層の寒気の先端に発生した雨雲が、速い速度で関東地方を東北東へ進みました。上層へ入ってきた寒気と南からの湿った空気が山地へぶつかって上昇する影響で、雨雲は茨城県北部を通過する頃から急速に発達し、茨城県北部から福島県南部にかけての海岸線沿いの地域で、一時的に強い雨を降らせました。日立市役所でも、28日の09時02分から10時02分にかけて、39.5mmの降水量を記録しました。これは、5月の日最大1時間降水量としては、これまでの記録であった1977年5月15日の38.0mmを抜いて、最も多い記録になります。

 このときの、茨城県北部から福島県南部にかけての降水量(5月27日20時から28日15時まで)の分布を見ると、多賀山地の東側に当たる北茨城から日立市の諏訪広場にかけては降水量が80mm前後に達したのに対して、多賀山地の西側に当たる下藤(福島県塙町)から天下野(常陸太田市)にかけては降水量が50mm以下でした。また、多賀山地の南側で、平野部にある日立市南部支所や常陸太田市中野、水戸でも、降水量は40mm程度と山地の東側に比べて少なくなりました。

 このように、今回の雨では南東からの気流が当たる多賀山地の東斜面で降水量が多くなるという傾向が見られました。また、山間部ではさらに降水量が多くなり、花園、大能では降水量が100mm近くになりました。なお、同じ山間部に位置する日立市の本山では、降水量が165.5mmと特に多くなりました。これは、本山が多賀山地の南端にあって、南東からの気流が直接当たる形となったため、特に降水量が多くなったものと思われます。

 参考:28日の降水量の推移(日立市役所)と日立市周辺の総降水量の分布

5月28日の降水量の推移(日立市役所) 日立市周辺の総降水量の分布

 参考:28日07時30分から10時30分までの降水量レーダー図

降水量レーダー図(28日07時30分) 降水量レーダー図(28日08時30分) 降水量レーダー図(28日09時30分) 降水量レーダー図(28日10時30分)

  参考:5月28日の地上天気図と高層天気図及び気象衛星可視、水蒸気画像

2006年5月28日09時の地上天気図 2006年5月28日09時の500hPa高層天気図
2006年5月28日09時の地上天気図
2006年5月28日10時の気象衛星可視画像 2006年5月28日09時の気象衛星水蒸気画像
2006年5月28日10時の気象衛星可視画像 2006年5月28日09時の気象衛星水蒸気画像

y4.gif (1703 バイト)【観測日誌2005年へ】 home_h2.gif (1545 バイト)【ホームページへ】

作成日:2006/06/18
訂補日:2013/07/18
名前 日立市天気相談所