日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇晴れて、寒く乾燥した日が続く

 上旬は、低気圧が短い周期で日本付近を通過し、曇りで雨や雪の降る日が多くありました。しかし、12日に低気圧が日本付近を通過した後は冬型の気圧配置が強まり、晴れて乾燥した天気が続くようになりました。下旬には、再び低気圧が頻繁に通過するようになりましたが、低気圧の進路が北よりで関東地方は乾燥した空気におおわれることが多く、引き続き晴れて乾燥した天気が続きました。このため、月降水量は47.0mmと平年の76%でした。一方、日照時間は203.7時間と平年より多くなりました。

 1月に引き続いて下層に寒気が入りやすい気圧配置が続いたため、上旬の気温は低くなりました。中旬に入ると冬型の気圧配置が強まり、上層から下層にかけて寒気が入るようになって、寒い日が続きました。しかし、下旬に入ると日本付近を通過する低気圧に向かって時々南から暖かい空気が入るようになり、気温の上がるときがありました。このため、月平均気温は4.0℃とほぼ平年並みになりました。

2月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 4.0 4.4
月降水量(mm) 47.0 61.8
月日照時間(時間) 203.7 173.0
日照率(%) 65 57
気温の旬変化(℃)
平均気温 旬平年値
上旬 3.3 4.1
中旬 3.6 4.5
下旬 5.3 4.9

 今年の冬の気温の推移を詳しく見ると、つくばにおける850hPa(高さ約1500m付近)の気温の変化に見るように、1月上旬は移動性高気圧におおわれて南から暖かい空気が入り気温は高くなりました。しかし、1月中旬以降シベリア高気圧が急速に発達して下層へ寒気が入るようになり、気温は平年より低くなりました。1月末には低気圧が本州南岸を通過して一時的に南から暖気が入りましたが、2月になると再び下層へ寒気が入るようになり、気温の低い日が続きました。さらに、2月の中旬からは上層へも寒気が入るようになって冬型の気圧配置が強まり、一段と気温が低くなりました。しかし、下旬に入ると気圧配置に変化が現れ、低気圧が日本海を進むようになって下層への寒気の流入が弱まり、気温は平年を上回るようになりました。

 今年の冬は、日本付近では強い冬型の気圧配置になることが少なく、日本海側の降雪量は平年より少なくなりました。しかし、1月の中旬から2月の中旬にかけて、ロシア西部からシベリアにかけての偏西風の蛇行によりシベリア高気圧が平年より強まり、日本から中国、中央アジアの広い範囲で下層を中心に寒気が南下し、気温の低い状態が続きました。

 1月から2月にかけての日立市役所における日平均気温の推移と各地の5日間移動平均気温の推移

1月から2月にかけての日立市役所における日平均気温の推移 1月から2月にかけての各地の5日間移動平均気温の推移

 1月から2月にかけてのつくばにおける850hPa及び500hPaの気温の推移

1月から2月にかけてのつくばにおける850hPaの気温の推移(09時) 1月から2月にかけてのつくばにおける500hPaの気温の推移(09時)

 23日、寒気を伴った上層の低気圧(寒冷渦)が沿海州から南東へ進み、夜には東北地方を通過しました。これに伴う地上低気圧は日本海を東北東へ進み、中心から南へのびる寒冷前線が15時頃に関東地方を通過しました。寒冷渦は、高度約5500mで中心付近の気温が-40℃以下の強い寒気を伴っていました。このため、寒冷前線の近くでは大気の状態が不安定になり、所々で雷が発生し瞬間風速で20m/sを超える強い風が吹き荒れました。

 関東地方では、寒冷前線の南側に入った午前中は南西の風が入り、晴れて気温が上がりました。日立市でも、13時27分には日最高気温15.2℃を記録しました。寒冷前線が近づいてきた13時40分頃からは風が強まり、14時00分には最大瞬間風速24.1m/sの西南西の風を記録しました。その後、寒冷前線の通過に伴い風向が西北西に変わるとともに急速に気温が下がり、14時30分には6.3℃と30分の間に約8℃も気温が低くなりました。

 地上低気圧は日本の東で急速に発達し、24日9時には中心気圧が974hPaまで下がりました。このため、日本付近では冬型の気圧配置が強まり、北海道から北陸、近畿地方ににかけての広い範囲で、20m/s以上の強い風が吹きました。日立市でも、24日の7時過ぎから西よりの風が強まり、09時28分には最大瞬間風速31.9m/sの西北西の風を記録しました。また、09時55分には最大風速15.6m/sの西北西の風を記録しています。これは、2月の最大風速の記録としては、平均、瞬間風速とも日立市役所観測記録順位第2位です。なお、平均風速の方は年間の最大風速としても、日立市役所観測記録順位第4位でした。

 上層の強風帯が日本付近で南北に蛇行して東日本にかかっていたため、関東地方では夕方まで平均風速で10m/s、瞬間風速で20m/sを超える強い風が吹き続けました。日立市でも、15時30分頃まで平均風速が10m/sを超えていましたが、低気圧が東へ進み気圧傾度が小さくなってきたため、16時過ぎには北よりの風に変わるとともに強い風は収まりました。(市役所における2月23日から24日の10分間データ:テキストファイル各11KB(下のグラフの元データ)。【2月23日2月24日】)

 2月の最大風速の記録

最大風速(m/s)
順位 月日 風向 風速
1 1985 02月15日 西 15.7
2 2008 02月24日 西北西 15.6
3 1999 02月27日 西北西 15.5
最大瞬間風速(m/s)
順位

月日

風向 風速
1 1999 02月27日 西北西 32.5
2 2008 02月24日 西北西 31.9
3 1997 02月24日 西北西 31.8

※最大風速は1980年1月1日から、最大瞬間風速は1959年9月1日から2008年2月29日までの統計

 23日から24日にかけての気象の推移(日立市役所)

23日から24日にかけての風速の推移(日立市役所) 23日から24日にかけての風向の推移(日立市役所)
23日から24日にかけての気温の推移(日立市役所) 23日から24日にかけての気圧の推移(日立市役所)

参考:23日15時と24日09時の地上天気図及び23日21時と24日09時の高層(500hPa面)天気図

2月23日21時の高層(500hPa面)天気図
2月24日09時の高層(500hPa面)天気図

※500hPa面高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の500hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。


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作成日 2008/03/11
名前 日立市天気相談所