日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇気温の変化が大きくなる

 数日の周期で低気圧が日本付近を通過し、天気は周期的に変わりました。先月と同様に、上層の偏西風が南北に蛇行して寒気を伴った上層の低気圧(寒冷渦)が本州付近を通過することが多く、雨の日がやや多くなりました。このため、月降水量は177.5mmと平年の111%になりなりました。一方、月の日照時間は174.8時間と平年並でした。

 気温の変化を見ると、上旬は南から暖かい空気におおわれて気温は平年より高くなりました。しかし、6日から7日にかけて低気圧が北海道を東進した後、オホーツク海へ寒冷渦が南下してきて、停滞するようになりました。これに伴い、北日本から東日本を中心に下層へ寒気が入り、気温が下がりました。特に、10日から14日にかけては、日平均気温が11℃前後の日が続きました。その後、寒冷渦が東へ遠ざかり、西から高気圧におおわれるようになって、気温はしだいに平年並みに戻っていきました。月の終わりになると、本州の南に前線が停滞して曇りや雨の日が続き、冷たい北東の風が入ったため、再び気温が平年より低くなりました。この結果、月平均気温は15.4℃と平年より0.7℃低くなりました。

5月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 15.4 16.1
月降水量(mm) 177.5 160.6
月日照時間(時間) 174.8 174.8
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 16.2 15.0
中旬 13.5 16.0
下旬 16.4 17.1

 旬平均気温の変化をみると、上旬は暖かい空気におおわれて平年より1.2℃高くなりました。しかし、9日頃からオホーツク海へ寒冷渦が南下してきて停滞し、北日本から東日本を中心に下層へ寒気が入るようになって気温が下がりました。つくばにおける850hPa(高さ約1500m付近)の気温の変化を見ると、南から高気圧におおわれて暖気の入った8日の気温は10.4℃でしたが、その後しだいに気温は下がっていき、10日から11日にかけては1℃前後まで気温が下がりました。この影響で、日立市役所における気温は9日の夕方から下がり始め、10日から14日にかけては日平均気温が11℃前後と平年より8℃ほど低くなり、4月上旬並みの気温となりました。

 その後、寒冷渦がゆっくりと東へ離れていくにつれて850hPaの気温は徐々に上がっていきましたが、地表付近では引き続いて北東の風が吹いて気温はあまり上がりませんでした。15日になると寒冷渦はオホーツク海へ進み、西から移動性高気圧が進んできて晴天が広がりました。関東地方では南東の風が入って気温が20℃を超えるようになり、日平均気温も平年並みに近づいていきました。この結果、中旬の平均気温は13.5℃と平年より2.5℃低くなりました。

 下旬に入ると、移動性高気圧におおわれて南から暖かい空気が入るようになり気温は上がりました。しかし、月末には本州南岸に前線が停滞して曇りや雨の日が続き、気温は下がりました。このため、下旬の平均気温は16.4℃と平年より0.7℃低くなりました。

 なお、つくばにおける500hPaと850hPaの気温の変化を見ると、850hPaの気温はオホーツク海の寒冷渦からの寒気が入ってきた9日から下がり始め、11日12日には0℃近くまで下がっています。これに対して500hPaの気温は、13日までは平年並みに推移し、14日から15日にかけて一時的に下がり、その後平年並みから高めに推移しています。これは、日本海へ進んできた別の寒冷渦の影響で、気温が一時的に低くなったもので、10日から14日にかけて日立市役所の気温が下がったのは、オホーツク海からの寒気が下層へ入ったことによることが分かります。

 5月の気温の推移と5月12日14時のアメダスによる気温の分布

5月の日平均気温の推移(日立市役所)
5月の850hPaの気温の推移(つくば:09時) 5月の500hPaの気温の推移(つくば:09時)

 5月6日、11日及び23日09時の地上天気図と高層(850hPa)天気図

5月6日09時の地上天気図 5月6日09時の850hPa高層天気図
5月11日09時の地上天気図 5月11日09時の850hPa高層天気図
5月23日09時の地上天気図 5月23日09時の850hPa高層天気図

 26日の午後、寒気を伴った上層の気圧の谷が北日本を東へ進みました。これに伴い、上層の寒気が関東地方北部まで南下してきたため、14時頃から八溝山周辺で雷雲が発生し始めました。上層の気圧の谷の東進に伴い、雷雲は東へ進むとともにゆっくりと南下したため、日立市でも17時過ぎから21時前にかけて雷を伴ったにわか雨が降りました。雷雲の規模が小さく、夕方になって太陽の光が斜めから積乱雲の底に差し込んだため、積乱雲底部の片積雲がはっきりと見られました(下の写真)。

 その後、日立市役所では17時から18時にかけてと19時30分から20時10分頃にかけて、雷雲が通過しました。20時に通過した雷雲はやや発達していたたため、19時48分から4分間ほど直径1.5cmのあられが降りました。雷雲は小さく、東へ進むにつれて弱まる傾向にあったため、日立市役所では総降水量は5.5mmと多くなりませんでした。雷雲が東へ抜けた21時には、天気は急速に回復して晴れてきました。 

 ●5月26日の雲と落雷の様子

5月26日の積乱雲(16時21分撮影) 5月26日夜の落雷の様子

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作成日 2008/06/15
名前 日立市天気相談所