OBSERVATION観測
◇晴れて雨の少なかった7月
月の前半は、高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。後半に入ると、東北地方南部から北陸地方に前線が停滞し、曇りや雨の日が多くなりました。しかし、前線の活動は弱く、雨量が多くなることはありませんでした。また、月末になると日本の南で上層の高気圧が強まり、関東地方では再び晴れる日が続くようになりました。このため、月の日照時間は160.8時間と平年の118%になりました。一方、月降水量は86.5mmと平年の61%で、千月に引き続き少なくなりました。
また、日本付近の上層では平年に比べて偏西風が弱く、上層の高気圧におおわれて下層へ暖かい空気が入りやすい気圧配置が続きました。この影響で、東日本から西日本にかけては月平均気温が平年よりも1.5前後高くなりました。日立市でも、平年より気温の高い日が多くなりましたが、海からの東よりの風が入って気温の上昇が抑えられ、極端に気温が高くなることはありませんでした。月平均気温は23.4℃と平年より05℃高く、ほぼ平年並みでした。このため、日最高気温が30℃以上となった日は2日しかなく、平年の日数5.6日より少なくなりました。
7月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 23.4 22.9 月降水量(mm) 86.5 142.4 月日照時間(時間) 160.8 136.2
旬降水量(mm) 旬 観測値 平年値 上旬 8.0 54.7 中旬 25.5 51.2 下旬 53.0 36.6
●7月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける850hPa気温の推移
今月の上旬は、偏西風が南北に蛇行して上層に寒気の入りやすい状態が続きました。それ以降も、日本の南で勢力を強めた上層の高気圧の縁に沿って南から暖かく湿った空気が入りやすく、大気の状態が不安定になるときが多くありました。このため、局地的に雷雲が発達し、一時的に強い雨の降るときがありました。日立市では、7日に十王で、12日に市役所(及び本山)で、25日に多賀で、27日には南部で1時間に20〜30mmの強い雨が降りました。27日を除いて雷雲の規模は小さく、同じ市内でも雨の降らなかった所もありました。このように、同じ場所で続けて強い雨の降ることがなかったため、市内各地点の月降水量は山間部にある本山を除いて70〜100mmと、ほぼ同じ程度の降水量になりました。
●7月の局地的な強い雨の状況
日 | 降水量の多かった地点 |
総降水量 (mm) |
最大1時間 降水量(mm) |
時刻 | 気象状況 |
07日 | 十王交流センター | 56.5 | 33.5 | 05時00分 | 風の収束と湿った空気の流入により雨雲が発達 |
12日 | 日立市役所 | 22.5 | 22.5 | 15時09分 | 上層に寒気が入り、日立市北部で雷雲が発達 |
25日 | 諏訪広場 | 59.5 | 33.0 | 22時00分 | 前線に向かって湿った空気が入り、雷雲が発達 |
27日 | 南部支所 | 32.5 | 28.0 | 20時00分 | 上層に寒気が入り、広い範囲で雷雲が発達 |
6日から7日にかけて、本州付近では上層で北風、中層で東風、下層では南西の湿った風が入り、収束域が形成されました。これに伴い、6日の午後には北海道西部から東北地方の日本海側をとおり関東地方にかけて、南北に帯状にのびる雨雲が広がりました。この雨雲は、上層の流れに沿って北から南へ進みましたが、これとは別に、7日の明け方には地形の影響で福島県南部から茨城県北部の沿岸部で局地的な前線が形成され、ゆっくりと南東へ進みました。5時前後には、高萩市南部から日立市北部にかけて、この前線に伴う雨雲が発達して強い雨が降りました。市の北部にある十王交流センターでは、4時から5時までの1時間に33.5mmの強い雨が降り、4時から9時までの総降水量は56.5mmに達しました。一方、日立市役所から南の地域と西部では発達した雨雲がかからず、総降水量は4mm前後と少ないものでした。
●7月7日の降水量(mm)と地上天気図及び降水量レーダー図
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12日、北から北海道付近へ寒気を伴った上層の気圧の谷が南下してきました。一方、関東地方から中国、四国地方にかけては高気圧におおわれ、朝からよく晴れました。しかし、関東地方は上層の寒気の南端に当たり、大気の状態がやや不安定になっていました。午後に入り、上層の寒気が南下してくると日立市北部で急速に雷雲が発達しました。雷雲は、広がることなくそのまま東南東へ進んだたため、日立市役所では14時から14時40分にかけて22.5mmの非常に強い雨が降りました。今回の雷雲は規模が小さく、東南東へ進んで東海上へ抜けて弱まったため、日立市の北部や南部では雨が降らず、晴れていたところもありました。
●7月12日の降水量(mm)と地上天気図及び降水量レーダー図
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25日、東北地方南部に停滞する前線の南側に向かって、西から湿った空気が入る気圧配置となりました。このため、大気の状態が不安定となり、13時頃から福島県南部から栃木県北部、群馬県にかけて雷雲が発生してきました。雷雲の主要な部分は日立市にはかかりませんでしたが、21時過ぎに栃木県に残っていた最後の雷雲が東南東へ進んで茨城県に入ってきた後、しだいに発達しながら日立市の中部を通過しました。雷雲の中心付近が通過した諏訪広場では、21時から22時の1時間に33.0mmの激しい雨が降り、総降水量は59.5mmに達しました。今回の雷雲は規模が小さく、東南東へ進みながら発達していったため、諏訪広場のある多賀地区以外では降水量は多くなりませんでした。
●7月25日の降水量(mm)と地上天気図及び降水量レーダー図
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27日、東北地方南部山陰沖に前線が停滞するとともに、日本海を寒気を伴った上層の気圧の谷が東へ進みました。27日の1時頃から、上層の寒気の南端に当たる対馬海峡付近で積乱雲が発達を始め、東へ進みました。この雷雲は、夕方には関東地方西部へ入り、その後いったんは弱まりましたが、茨城県内に入った19時前頃から再び発達を始めて東北東へ進みました。発達した雷雲は、水戸市から東海村を通過して20時過ぎには日立市の東海上へ抜けました。この雷雲の一部がかかり、南部支所では19時から20時の1時間に28.0mmの強い雨が降りました。今回の雷雲は、比較的広い範囲に広がっていたため、中心に近かった南部支所以外でも一時的に強い雨の降ったところがありましたが、移動速度が速かったため総降水量が多くなることはありませんでした。
●7月27日の降水量(mm)と地上天気図及び降水量レーダー図
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作成日:2008/08/13
訂補日:2013/06/02
名前 日立市天気相談所