日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇晴れて暖かくなるが、下旬は菜種梅雨模様

 低気圧が短い周期で日本付近を通過し、天気は数日の周期で変わりました。中旬後半に一時的に冬型の気圧配置となった他は、強い寒気の南下はなく、低気圧の通過に伴って南から暖かい空気が入ったため、中旬にかけて気温が高くなりました。下旬に入ると日本の南に前線が停滞し、前線上を低気圧が頻繁に通過したため、曇りで雨や雪の降る日が多くありました。下旬は天気がぐずついて平年並みの気温になったものの、上旬から中旬にかけて気温が高かったため、月平均気温は5.7℃と平年より1.3℃高くなりました。一方、日照時間は166.8時間と平年より少なくなりました。また、月降水量は53.5mmと平年並でした。

 気温の変動は1月後半にに引き続いて大きく、特に14日は13日に日本海を進んだ低気圧に向かって南から入った暖気が残っていたところへ、寒冷前線が東へ抜けた後の北西の風によるフェーン現象が加わり、関東地方では最高気温が25℃を超えたところもありました。日立市役所でも前日の夕方から南西の風が吹いて気温が16℃前後の暖かい状態が続いていましたが、9時過ぎから西北西の風がやや強く吹き始めるとともに気温がさらに上がり始め、12時55分には日最高気温23.3℃を記録しました。これは、2月の最高気温としては市役所観測開始以来第3位の記録でした。

2月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 5.7 4.4
月降水量(mm) 53.5 61.8
月日照時間(時間) 166.8 173.0
気温の旬変化(℃)
平均気温 旬平年値
上旬 5.2 3.9
中旬 6.9 4.6
下旬 4.7 4.8

 冬型の気圧配置になることが少なく寒気の南下も弱かったため、日最低気温が0℃未満の日(冬日)の日数は6日と、市役所観測開始以来1990年と並んで2番目に少なくなりました。また、冷え込みも弱く、月の最低気温は18日朝の-1.9℃で、2月の最低気温としては1979年の-1.4℃、2007年の-1.8℃に次いで高い値となりました。

 2月の気温に関する記録

月最高気温(℃)
順位 時刻 気温
1 1962 11 15:21 24.1
2 1993 7 13:03 23.5
3 2009 14 12:55 23.3
4 2004 22 13:54 22.0
5 1987 11 15:20 21.2
冬日の日数
順位 日数
1 1979 4
2 2009 6
3 1990 6
4 1976 7
5 1973 7
平年値 14.4

※順位は、1953年から2009年の統計で、値の高い方または少ない方からの順位

 今月の前半は移動性高気圧が本州付近を通り、晴れる日が多くなりました。その後、中旬の後半には一時的に冬型の気圧配置となり、晴れて乾燥した天気になりました。しかし、22日に移動性高気圧が本州上を東進した後は大気の流れが変わり、日本の西側に上層の気圧の谷が位置するとともに、日本付近で南系と北系の偏西風が合流する形になりました。このため、日本付近には南西から湿った空気が入りやすくなって、日本の南から東シナ海にかけて前線が停滞するようになりました。

 日立市では22日に晴れから曇りとなった後は、24日の昼前後に晴れた以外は曇りで雨または雪の降る天気が27日まで続きました。28日には大陸から高気圧が張り出してきていったん晴れましたが、夕方から曇りとなり、3月1日の日中は少し晴れたものの、夕方からは雨が降りました。例年の場合、3月中旬から4月にかけて本州南岸に前線が停滞して曇りや雨の日が続き菜種梅雨と呼ばれますが、今年は例年より早く現れた形になりました。

 2月の日立市役所における日平均気温と日照時間の推移

 ●参考:17日22日及び27日の09時の高層(500hPa面)天気図と11時の気象衛星可視画像

 17日は、まだ冬型の気圧配置で日本海には寒気による筋状雲が広がっています。また、日本の南海上から東シナ海にかけては前線に伴う雲域が広がっています。なお、華南に大きく広がっている雲域は、地表付近に入り込む冷たい北東の風による背の低い層雲を主体とした下層雲で、冬から春にかけて現れやすいものです。

 22日になると、日本海には低気圧に伴う木の葉状の雲域が広がってきています。一方、日本の南海上にあった前線の雲は小さくなって消えかけています。

 27日になると、本州南岸から中国大陸奥地にかけて帯状に雲域がのびています。そして、経度で約15度間隔に気圧の谷に対応した白く輝く雲域が見られ、本州付近を次々と低気圧が通過する形になっています。

※500hPa面高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の500hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。


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作成日 2009/03/16
名前 日立市天気相談所