◇冬型の気圧配置は長続きせず、中旬は気温が高くなる

　低気圧や気圧の谷が周期的に日本付近を通過して冬型の気圧配置は長続きせず、天気は周期的に変わりました。このため、月の日照率は55.9％と平年並みになりました。一方、低気圧は20日を除いて日本海や本州の南を関東地方から離れて通過したため、日降水量1mm以上の日は2日しかありませんでした。この結果、月降水量は29.0mm（平年比52％）と平年より少なくなりました。

　また、上層の偏西風が日本付近で北へ蛇行することが多く、寒気は南下しにくくなりました。しかし、オホーツク海に寒冷渦が停滞したため、時々寒気が入りました。この影響で、上旬と下旬は平年並みの気温となりました。中旬は、低気圧が日本海と本州南岸を発達しながら進み南から暖かい空気が入ったため、旬平均気温は7.7℃と平年よ3.1℃高くなりました。この結果、月平均気温は5.7℃と平年より1.1℃高くなりました。

2月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 5.7 4.6 月降水量（mm） 29.0 56.3 月日照時間（時間） 174.9 172.1 日照率（％） 55.9 56.5

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 3.9 4.2 中旬 7.7 4.6 下旬 5.3 5.1

旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 62.7 62.9 中旬 60.7 59.5 下旬 51.5 48.4

　※下旬の日照時間の平年値は、各年の2月21日〜28日の合計値の30年平均。

　●2月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●2月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移

　今年の2月は時々寒気が入ることがあったものの、冬型の気圧配置が続かずに寒気の南下が中断され、日立市役所では冷え込みが強まりませんでした。2月の冬日の日数は9日と平年より5日少なく、過去6年間では最も少なくなりました。また、月最低気温は16日の-2.1℃までしか下がらず、2009年2月の最低気温-1.9℃以来の高い気温でした。

　また、12月から2月までの冬季の期間で見ても、今年の冬は2009年以来の暖かい冬になりました。月平均気温は、12月から2月まですべて平年を上回りました。冬日の日数も12月から2月の合計で21日と、平年より16日少なくなりました。これは、2007年冬季に記録した15日以来の少ない日数でした。

　●過去6年間の冬季の気温と冬日の日数（日立市役所）

月平均気温（℃） 年 前年 12月 1月 2月 2011 8.5 2.9 5.2 2012 5.6 3.0 3.6 2013 6.1 3.6 4.0 2014 7.2 4.5 3.9 2015 6.1 4.9 4.4 2016 8.6 5.1 5.7 平年値 7.3 4.6 4.6

月最低気温（℃） 年 前年 12月 1月 2月 2011 -0.5 -3.1 -2.2 2012 -2.2 -4.2 -4.4 2013 -2.6 -3.3 -5.2 2014 -1.3 -2.9 -5.4 2015 -2.0 -2.4 -2.9 2016 -1.3 -2.7 -2.1

冬日の日数 年 前年 12月 1月 2月 計 2011 1 23 10 34 2012 11 20 15 46 2013 8 17 14 39 2014 3 16 14 　33 2015 8 13 12 33 2016 2 10 9 21 平年値 6 17 14 37

　※月平均気温の青色で塗った欄は気温が平年以下の月を表す。

　※月最低気温の青色で塗った欄は気温が-5℃未満を表す。

◇2月の日立市内の気温と降水量

　2月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが2番目に高くなっています。北部消防署と南部支所も、日立市内の平均を上回りました。一方、本山、西部支所、諏訪広場は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は3.8℃で、水戸の月平均気温5.0℃よりも1.2℃低くなりました。

　月の降水量の市内平均は28.0mmで、1月の平均降水量74.3mmよりも46mm少なくなりました。観測地点の間の差は1月よりも小さくなり、最も降水量の多かった十王交流センターの33.5mmに対して、最も少なかった諏訪広場は24.5mmと1.4倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量28.0mmに対して、水戸の月降水量は26.0mmとほぼ同じになりました。

　●日立市内と水戸の2月の気温と降水量の観測結果

2月の気温（℃）の記録 観測地点 平均 気温 最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 5.7 21.9 14 14:54 -2.1 16 04:15 十王交流センター 5.1 22.0 14 15:25 -3.6 11 06:20 北部消防署 4.3 21.2 14 15:40 -3.9 08 05:55 本山（中学校跡） 2.0 17.2 14 15:34 -6.0 08 06:23 西部支所 2.1 19.4 14 15:23 -7.0 11 05:54 諏訪広場 3.1 19.0 14 15:49 -4.6 16 05:04 南部支所 4.5 21.3 14 15:58 -4.1 18 06:43 上記7地点の平均 3.8 - - - - 日立会瀬 5.7 21.8 14 15:53 -2.7 16 04:40 水戸（金町） 5.0 23.2 14 14:33 -3.9 18 06:36

2月の降水量（mm）の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 29.0 22.5 20 9.0 20 21:11 十王交流センター 33.5 24.0 20 8.5 20 21:10 北部消防署 27.5 21.0 20 9.0 20 21:15 本山（中学校跡） 26.5 17.0 20 4.5 20 23:10 西部支所 27.5 16.0 20 3.5 20 23:54 諏訪広場 24.5 18.0 20 8.0 20 21:19 南部支所 27.5 21.5 20 9.5 20 21:13 上記7地点の平均 28.0 - - - - 日立会瀬 32.0 23.0 20 9.0 20 21:20 水戸（金町） 26.0 20.5 20 6.5 20 20:56

　※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

◇冷え込みが強かった日（11日と16日）

　上で述べたように、今年の2月の日立市役所における最低気温は16日の-2.1℃で冷え込みは強まりませんでした。一方、内陸部の西部支所では、3日と11日に最低気温が-7.0℃まで下がりました。西部支所における最低気温-5℃未満の日数をみると、2015年2月は4日、2016年2月は13日と、今年は昨年に比べて大幅に増えています。今年は冬型の気圧配置が続かず、高気圧が移動性となって本州付近に進んでくることが多く、内陸部では晴れて風が弱まり放射冷却が強まりました。このため、西部支所では日立市役所よりも冷え込みが強まったものと思われます。

　日立市役所と西部支所で、2月に最も気温の低くなった11日と16日の気温の推移を見てみました。また、風向によって気温が大きく変化した南部支所についても比較してみました。11日は、真冬には珍しく大陸の高気圧が移動性となって本州上へ進んできたため、晴れて風が弱まりました。このため、放射冷却の影響で冷え込みが強まり、関東地方では北部を中心に最低気温が-5℃未満となりました。茨城県内のアメダス観測地点では、鉾田で最低気温-6.7℃、大子と笠間で-6.4℃を記録するなど、15観測点の内7地点で2月の最低気温を記録しました。

　日立市役所における気温の推移を見ると、10日の23時頃に気温が一気に2℃近く下がった後、11日の明け方にかけて気温は徐々に下がっていきました。そして、日の出前の5時50分に最低気温-1.6℃を記録しました。西部支所も日立市役所と同じような気温の変化を示し、11日5時54分に最低気温-7.0℃を記録しました。一方、南部支所では10日21時から11日明け方にかけて気温はほとんど下がらず、1℃前後で推移ました。しかし、11日6時過ぎに風向が北東から北西に変わると気温が一気に4℃近く下がり、6時46分に最低気温-3.8℃を記録しました。

　16日の朝は、弱い冬型の気圧配置となりました。しかし、等圧線の間隔が広く北西の季節風が弱かったため、関東地方では11日と同様に冷え込みが強まりました。ただ、茨城県内では11日に比べて風がやや強い地点が多かったため、最低気温は下がりませんでした。茨城県内のアメダス観測地点の内、16日に2月の最低気温を記録したのは日立会瀬の1地点だけでした。各地の最低気温は、常陸大宮市上小瀬で-6.1℃、大子で-5.9℃などでした。

　日立市役所における気温の推移を見ると、気温は15日の夕方から緩やかに下がっていきました。16日の1時を過ぎると気温の下がり方が大きくなり、4時45分に最低気温-2.1℃を記録しました。その後、風がやや強く吹き出してきたため、気温は徐々に上がっていきました。西部支所も日立市役所と同じような気温の変化を示しました。ただし、風の影響がなかったことから日の出前にかけて気温が下がり続け、5時48分に最低気温-6.4℃を記録しました。一方、南部支所では11日と同じように0時から4時過ぎにかけて気温はほとんど下がらず、-2℃前後で推移ました。しかし、4時30分過ぎに北北東の風が強まると気温が1.5℃上がりました。その後、風向が南西に変わると気温は一気に3℃近く下がり、5時07分に最低気温-3.7℃を記録しました。

　日立市役所では、冬型の気圧配置が強い時には風向と風速の強弱によって気温が変化します。今年の2月は強い冬型の気圧配置になることがなかったため、このような変化が見られませんでした。反対に、南部支所では風向が北東に変わると気温が上がる傾向が見られました。

　※緑色で塗りつぶした欄は2月11日を、青色で塗りつぶした欄は2月16日を表す。

　●2月11日09時と16日09時の地上天気図

　●2月11日と16日の気温と風向の推移（0時〜8時：1分値）

　●日立市役所における2月11日と16日の風速の推移（0時〜8時：1分値）

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作成日 2016/03/14
名前 日立市天気相談所