日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇太平洋高気圧の勢力が強く、上旬を中心に気温が高くなる

 日本の南海上で太平洋高気圧の勢力が強く、暖かい空気が流れ込みやすくなりました。特に、上旬は上層から下層にかけて暖かい空気におおわれたため気温の高い日が続き、上旬の平均気温は20.9℃と平年より2.5℃高くなりました。これは、10月上旬の気温としては2013年の21.2℃に次いで、観測開始以来2番目に高い気温でした。9日に低気圧が日本海を北東へ進んだ後、下層を中心に周期的に寒気が入るようになり、気温は平均すると平年並みまで低くなりました。この結果、月平均気温は17.7℃と平年より0.9℃高くなりました。

 一方、高気圧の勢力が強かったことから低気圧が本州付近を通ることが少なく、雨の降る日が少なくなりました。このため、月の降水量は71.5mm(平年比41%)と平年より少なくなりました。ただ、暖気とともに高気圧の縁を回る形で湿った空気が流れ込みやすく、天気のぐずつく時がありました。このため、月の日照時間は166.8時間(平年比110%)と平年をわずかに上回る程度でした。

10月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 17.7 16.8
月降水量(mm) 71.5 173.3
月日照時間(時間) 166.8 151.2
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 20.9 18.4
中旬 17.7 17.0
下旬 14.9 15.0
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 39.2 43.0
中旬 62.1 49.1
下旬 65.5 59.1

 ●10月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

2016年10月の日立市役所における日平均気温の推移 2016年10月のつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

 ●10月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移

2016年10月の日立市役所における日最高気温の推移 2016年10月の日立市役所における日照時間の推移

 

 ●10月の気温(℃)と降水量(mm)の記録
上旬平均気温
順位 気温
1 2013 21.2
2 2016 20.9
3 1998 20.8
4 1994 20.7
5 2012 20.2
5 2002 20.2
平年値 18.4
10月の降水量
順位 降水量
1 2015 37.0
2 1977 44.5
3 1997 46.0
4 1994 51.5
5 1996 61.0
6 1995 69.0
7 2016 71.5
1mm以上降水日数
順位 降水日数
1 1977 4
2 2015 5
2 1965 5
2 1957 5
5 2016 6
平年値 10.5

 ※気温の順位は数値の多い方から、降水量と降水日数の順位は数値の少ない方からで1953年から2016年の統計。


◇10月の日立市内の気温と降水量

 10月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなりました。次いで、最も北に位置する十王交流センターが市役所とほぼ同じ気温でした。一方、山間部にある西部支所と本山、標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は15.8℃で、9月より5.8℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は17.1℃と日立市の平均よりも1.3℃高く、9月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。

 一方、月の降水量の市内平均は73.4mmで、9月の平均降水量208.1mmよりも130mm近く少なくなりました。観測地点の間の差は9月と同じで、最も降水量の多かった南部支所の99.0mmに対して、最も少なかった十王交流センターは62.0mmと1.6倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量73.4mmに対して、水戸の月降水量は128.0mmと55mm多くなりました。これは、8日に水戸で雷雨により13時59分までの1時間に30.0mmの激しい雨が降ったためです。

 ●10月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

10月の気温(℃)の記録
観測地点 平均
気温
最高気温 最低気温
気温 日時 気温 日時
日立市役所 17.7 30.0 04 10:50 8.2 24 06:10
十王交流センター 17.3 30.4 04 12:31 7.5 25 06:06
北部消防署 16.3 28.1 04 10:07 6.2 31 02:41
本山(中学校跡) 13.6 28.1 04 11:41 3.2 24 06:06
西部支所 14.0 29.4 04 12:49 2.4 25 06:02
諏訪広場 14.9 28.4 04 10:56 4.0 24 06:03
南部支所 16.7 29.8 04 11:24 5.1 25 06:05
上記7地点の平均 15.8 -

-

-

-

日立会瀬 17.8 30.4 04 10:32 8.3 25 05:50
水戸(金町) 17.1 30.4 04 12:59 5.7 25 05:31
10月の降水量(mm)の記録
観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量
降水量 降水量 日時
日立市役所 71.5 48.5 28 10.0 28 22:48
十王交流センター 62.0 48.0 28 8.5 28 22:51
北部消防署 63.5 47.0 28 9.5 28 22:48
本山(中学校跡) 67.5 46.0 28 8.5 28 22:46
西部支所 70.5 41.0 28 9.0 28 22:41
諏訪広場 80.0 48.5 28 10.5 28 22:46
南部支所 99.0 39.0 28 27.0 09 09:02
上記7地点の平均 73.4 -

-

- -
日立会瀬 84.5 50.5 28 12.5 09 09:12
水戸(金町) 128.0 53.5 28 30.0 08 13:59

 ※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。


◇フェーン現象で気温が上がる(10月4日と6日)

 初めに述べたように、今年の10月上旬は暖気におおわれ気温が高くなりました。特に、4日と6日の関東地方では東へ抜けた低気圧に向かって吹き込む西寄りの風に伴いフェーン現象が起き、内陸部を中心に最高気温が30℃を超えた所が多くなりました。

 4日は、北海道を東へ進んだ低気圧に向かって下層へ暖かい空気が流れ込んだことと、低気圧が東へ抜けた後に北西の風が吹いてフェーン現象が起きたことから、関東地方では気温が上がり50地点で最高気温が30℃を超えました。各地の最高気温は、栃木県佐野で34.1℃、群馬県館林で33.9℃と、全国で第1位と2位の気温を記録しました。茨城県内でも、古河で最高気温32.7℃、大子と笠間で最高気温32.0℃を記録するなど、16観測所のうち北茨城、高萩、土浦、龍ヶ崎を除く12地点で最高気温が30℃以上となりました。また、大子では10月の気温としては観測史上最も高い気温となりました。

 5日は、移動性高気圧が三陸沖へ進んだことから、冷たい北東の風が入った関東地方では気温が上がらず、茨城県沿岸部から栃木県群馬県にかけては最高気温が25℃未満となりました。なお、関東地方では小笠原父島と八丈島を除いて最高気温が30℃以上となった地点はありませんでした。

 6日は、台風第18号から変わった低気圧が日本海から三陸沖へ進みました。台風が持ち込んだ暖気と低気圧に向かって西寄りの風が吹いてフェーン現象が起きたことから、関東地方では気温が上がり45地点で最高気温が30℃を超えました。各地の最高気温は、千葉県茂原で34.0℃、千葉で32.8℃などでした。茨城県内でも、下館で最高気温32.4℃、常総で最高気温32.0℃を記録するなど、16観測所のうち北茨城、高萩、日立会瀬、大子、常陸大宮、鹿嶋を除く10地点で最高気温が30℃以上となりました。また、下館では10月の気温としては観測史上最も高い気温となりました。

 日立市役所における4日から6日にかけての気温の推移をみると、4日は南風が吹き始めた8時頃から急速に気温が上がり始め、10時50分には日最高気温30.0℃を記録しました。これは、10月の気温としては観測開始以来7番目に高い気温です。また、今年の最高気温が30℃以上となった最後の日(真夏日終日)ともなりました。真夏日終日の記録でみると、2013年と1999年の10月12日に次いで遅い記録です。夕方になると風向が北西へ変わるとともに冷たい空気が入ってきて気温は急速に下がり始め、24時00分にはこの日の最低気温18.7℃を記録しました。

 5日は夕方にかけて冷たい北東の風が吹いたため、日中の気温は23.6℃(11時10分)までしか上がりませんでした。しかし、21時頃から南西の風がやや強く吹き始めると気温が上がり始め、6日の02時10分には26.5℃まで上がりました。3時を過ぎると北東の風に変わり、気温はいったん下がりました。8時になると風向が北西に変わり、気温は再び上がり始めて09時41分には最高気温29.7℃を記録しました。しかし、10時過ぎには南東の風に変わり気温は3℃近く下がりました。その後、気温は27℃前後で推移しました。13時を過ぎると冷たい空気が入ってきて気温は徐々に下がっていきました。

 4日、6日とも風向により気温が変化しました。4日の日立市役所は水戸やつくばよりも早く南風が入り、朝から昼前にかけては水戸やつくばよりも気温が4℃近く高くなりました。6日の日中の日立市役所では北西の風が吹いている時間が短かったため、気温が上がった時間も短く、最高気温を記録した時刻は09時41分と水戸やつくばよりもかなり早い時間でした。なお、日立市役所以外の市内の観測地点で気温が30℃以上となったのは、4日の十王交流センターの最高気温30.4℃だけでした。

 ●10月4日から6日の最高気温(℃)

地点 4日 5日 6日 4日の
平年値
最高気温 時刻 最高気温 時刻 最高気温 時刻
日立市役所 30.0 10:50 24.3 24:00 29.7 09:41 22.5
十王交流センター 30.4 12:31 24.0 24:00 29.3 11:38 -
北部消防署 28.1 10:07 23.2 24:00 27.4 09:04 -
本山 28.1 11:41 21.1 11:05 26.5 10:33 -
西部支所 29.4 12:49 21.8 11:04 27.4 10:28 -
諏訪広場 28.4 10:56 22.3 24:00 26.6 10:10 -
南部支所 29.8 11:24 24.0 24:00 29.0 10:24 -
日立会瀬 30.4 10:32 24.6 24:00 29.2 09:36 -
水戸(金町) 30.4 12:59 25.0 24:00 30.1 11:15 22.5
つくば 30.2 13:25 26.4 24:00 31.5 12:56 22.6

 ※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。

 ●日立市役所における10月の最高気温と真夏日終日の記録

10月の最高気温(℃)
順位 最高
気温
年月日 時刻
1 32.8 1979/10/01 13:20
2 31.1 1984/10/03 13:20
3 30.9 1998/10/02 11:44
4 30.7 2012/10/01 11:27
5 30.3 1999/10/12 10:54
6 30.1 2013/10/12 11:50
7 30.0 2016/10/04 10:50
真夏日終日
順位 月日 時刻 最高
気温
1 2013 10/12 11:50 30.1
1 1999 10/12 10:54 30.3
3 2016 10/04 10:50 30.0
4 1984 10/03 13:20 31.1
5 1998 10/02 11:44 30.9
6 2012 10/01 11:27 30.7
6 1979 10/01 13:20 32.8

 ※真夏日終日の順位は日付(月日)の遅い方から。

 ●10月4日から6日の気温の推移(10分値)

2016年10月4日から6日の気温の推移(10分値)

 ●10月4日から6日の風向の推移(10分値)

2016年10月4日から6日の風向の推移(日立市役所:10分値)

 ●参考:10月4日13時、5日13時及び6日12時のアメダスによる気温と風の分布

2016年10月4日13時のアメダスによる気温の分布 2016年10月4日13時のアメダスによる風の分布
2016年10月5日13時のアメダスによる気温の分布 2016年10月5日13時のアメダスによる風の分布
2016年10月6日12時のアメダスによる気温の分布 2016年10月6日12時のアメダスによる風の分布

 ●参考:10月4日〜6日の09時の地上天気図と850hPa面高層天気図

2016年10月4日09時の地上天気図 2016年10月4日09時の850hPa面高層天気図
2016年10月5日09時の地上天気図 2016年10月5日09時の850hPa面高層天気図
2016年10月6日09時の地上天気図 2016年10月6日09時の850hPa面高層天気図

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作成日 2016/11/10
名前 日立市天気相談所