◇上層に寒気が入り、天気のぐずつくときがある

　太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、日本付近で偏西風が南に蛇行したため、梅雨前線は日本の南海上に停滞しました。偏西風の蛇行に伴って上層に寒気が入り、上旬と下旬には天気のぐずつくときがありました。しかし、梅雨前線の影響を受けなかったことから、中旬を中心に高気圧におおわれて晴れる日が多くありました。この結果、月の日照時間は155.8時間（平年比138％）と、平年より多くなりました。一方、寒気の影響で一時的に強い雨の降ることがあったことから、月の降水量は228.0mm（平年比138％）と、平年より多くなりました。月降水量が平年を上回ったのは、2018年9月以来9か月ぶりのことです。また、上旬と下旬の後半には下層へ暖気が入り気温が高くなったことから、月平均気温は20.0℃と平年より0.8℃高くなりました。

6月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 20.0 19.2 月降水量（mm） 228.0 165.1 月日照時間（時間） 155.8 113.3

旬平均気温(℃) 順位 観測値 平年値 上旬 19.3 18.3 中旬 19.7 19.3 下旬 21.1 20.1

旬日照時間(時間) 順位 観測値 平年値 上旬 42.1 48.5 中旬 80.4 36.3 下旬 33.3 28.5

　●6月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●6月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移

◇6月の日立市内の気温と降水量

　6月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は最も北に位置する十王交流センターが一番高くなりました。次いで、市役所と最南端の南部支所がほぼ同じ気温でした。一方、山間部にある本山は、最も気温が低くなりました。市内7地点の平均気温は19.5℃で、水戸の月平均気温20.7℃よりも1.2℃低くなりました。水戸と日立市役所の気温差は、5月とほぼ同じでした。なお、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、5月に引き続いて全地点とも水戸より低くなりました。

　一方、月の降水量の市内平均は212.8mmで、5月の平均降水量121.1mmより100mm近く多くなりました。観測地点の間の差は5月より小さくなり、最も降水量の多かった本山の282.0mmに対して、最も少なかった南部支所は158.0mmと1.8倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量212.8mmに対して、水戸の月降水量は146.0mmと70mm近く少なくなりました。

　●6月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

6月の気温（℃）の記録 観測地点 平均 気温 最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 20.0 29.8 27 13:20 12.9 13 04:50 十王交流センター 20.1 30.0 16 13:47 12.7 13 04:33 北部消防署 19.7 29.2 27 14:23 12.9 13 03:44 本山（中学校跡） 17.9 27.8 27 12:21 10.7 13 02:43 西部支所 19.6 30.2 27 13:02 11.8 13 02:30 諏訪広場 19.2 29.3 27 12:49 11.6 13 03:36 南部支所 20.0 29.9 27 13:00 13.3 13 04:40 上記7地点の平均 19.5 - - - - 日立会瀬 20.1 29.4 27 13:07 12.8 13 04:44 水戸（金町） 20.7 30.9 16 15:16 13.9 13 01:16

6月の降水量（mm）の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 228.0 50.0 10 20.0 19 20:23 十王交流センター 218.5 44.0 10 23.5 19 20:21 北部消防署 249.0 55.5 10 20.5 19 20:26 本山（中学校跡） 282.0 68.0 10 26.5 19 20:11 西部支所 174.0 43.0 10 13.0 19 20:02 諏訪広場 180.0 43.5 10 16.0 29 02:26 南部支所 158.0 38.5 10 11.5 29 02:08 上記7地点の平均 212.8 - - - - 日立会瀬 211.5 52.5 10 18.0 29 02:27 水戸（金町） 146.0 48.0 10 7.0 10 17:16

　※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

◇動きの遅い寒冷渦の影響で不安定な天気が続く

　15日、日本の西で偏西風が南へ大きく蛇行し、この前面の本州の日本海側を低気圧が発達しながら北東へ進みました。低気圧がオホーツク海へ進んだ後、日本付近は大きな上層の気圧の谷場に入るようになりました。この気圧の谷場の中を、二つの寒冷渦が反時計回りに回転して同じような場所に停滞しました。このため、日本付近では24日にかけて上層に寒気が入って大気の状態が不安定となり、局地的に激しい雨の降った所がありました。

　関東地方では、17日を除いて16日から24日にかけて大気の不安定な状態が続きました。16日には、低気圧が日本海から北海道の東へ進んだ後、上層に寒気が入ってきて栃木県から茨城県北部で雷雲が発生し東へ進みました。この影響で、ひたちなか市では直径1cmのひょうが降りました。18日は、昼過ぎから栃木県北部で雷雲が発生し、夜にかけ同じよう場所に停滞しました。このため、栃木県鹿沼で日降水量が88.5mm、黒磯で85.5mmになりました。19日は、夕方から栃木県で雷雲が発生して東へ進み、夜には茨城県北部を通過しました。この影響で、茨城県大子では日降水量が49.5mmになり、18時30分には10分間降水量16.5mmを記録しました。

　20日は、夕方になって栃木県から群馬県で雷雲が発生して東北東へ進みました。この影響で、群馬県榛名山では23時37分に1時間降水量54.5mmを記録しました。21日は、昼前から関東地方南部で雷雲が発生し、発達しながら北へ進みました。このため、千葉県成田市付近で、15時00分にレーダー解析雨量110mmを観測しました。また、栃木県今市では日降水量が108.0mmになりました。22日は、前日の雷雲が未明に福島県へ抜けた後、朝には再び関東地方南部で雷雲が発生し、発達しながら北へ進みました。この影響で、群馬県前橋市付近では、02時10分にレーダー解析雨量120mmを観測しました。

　23日は、昼過ぎから栃木県から群馬県で小さな雨雲が発生、北東へ進みました。この影響で、栃木県那須高原では18時16分に1時間降水量32.5mmを記録しました。24日は、午前中に低気圧が関東地方の南を北東へ進み、やや発達した雨雲が伊豆諸島から房総半島にかかりました。このため、東京都利島では日降水量が83.5mmになりました。25日になると寒冷渦は日本の東へ進み、移動性高気圧が本州上へ進んできたため大気の状態は安定し、一日晴れました。

　日立市でも、この期間は不安定な天気が続きました。特に、19日は発達した雷雲が通過した日立市北部で一時的に激しい雨が降り、本山では19時22分に10分間降水量20.0mmを記録しました。ただ、寒冷渦の中心がやや西に偏っていたことから、関東地方では栃木県から群馬県を中心に雷雲が発達して北東へ進むことが多く、19日を除いて日立市に発達した雷雲がかかることはありませんでした。このため、16日から24日にかけての降水量は40.5mmと、他の地域ほど多くはなりませんでした。

　●参考：2019年6月16日15時の地上天気図と14時30分の降水レーダー図

　●参考：2019年6月18日21時の地上天気図と20時00分の降水レーダー図

　●参考：2019年6月19日18時の地上天気図と19時00分の降水レーダー図

　●参考：2019年6月20日21時の地上天気図と23時30分の降水レーダー図

　●参考：2019年6月21日15時の地上天気図と15時00分の降水レーダー図

　●参考：2019年6月22日03時の地上天気図と02時00分の降水レーダー図

　●参考：2019年6月24日09時の地上天気図と07時30分の降水レーダー図

　●参考：2016年6月16日、19日、22日及び25日21時の500hPa面高層天気図

【観測日誌2019年へ】　【ホームページへ】

作成日 2019/07/19
名前 日立市天気相談所