OBSERVATION観測
◇上旬と下旬に気温が低くなる
天気は数日の周期で変化しました。上旬から中旬にかけては、大陸から進んできた移動性高気圧におおわれ、晴れる日が多くなりました。しかし、下旬に入ると日本付近が上層の気圧の谷場となることが多く、この影響で本州南岸を頻繁に低気圧が通過したため、曇りや雨の日が続きました。日照時間は、下旬は平年の60%程度の日照時間と少なくなったものの、上旬から中旬にかけては平年よりかなり多くなったため、月の日照時間は186.5時間(平年比118%)と平年より多くなりました。一方、月の降水量は81.0mm(平年比103%)と、ほぼ平年並みになりました。上旬と下旬の後半に気温の低くなる時があったものの、中旬から下旬の前半にかけては暖気におおわれて、平年より気温の高い日が多くなりました。この結果、月平均気温は12.0℃(平年比+0.1℃)とほぼ平年並みになりました。
11月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 12.0 11.9 月降水量(mm) 81.0 78.3 月日照時間(時間) 186.5 157.9
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 13.3 13.7 中旬 13.0 11.8 下旬 9.6 10.1
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 84.6 52.5 中旬 64.5 50.0 下旬 37.4 55.4
●11月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●11月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
過去5年間の気候を比べてみると、2016年と2017年の11月は大陸からの寒気が流れ込みやすく、気温が低くなりました。特に、2017年の11月は冬型の気圧配置となることが多く、乾燥した天気が続いて降水量が平年よりかなり少なくなったことから、月平均湿度は2013年以来4年ぶりに平年を下回りました。それに対して、2015年の11月は今年以上に気圧の谷の影響を受けることが多く、暖かく湿った空気が入って気温が高くなるとともに日照時間が少なくなりました。今年の11月は、日照時間が平年より多くなったものの、気温や降水量、湿度は平年並みでした。
●過去5年間の11月の気温と日照時間、降水量、湿度の記録
年 | 平均気温(℃) | 最低気温(℃) | 日照時間(時間) | 降水量(mm) | 平均湿度(%) |
2015 | 13.3 | 4.8 | 129.2 | 150.0 | 79 |
2016 | 11.1 | 0.9 | 153.5 | 71.5 | 71 |
2017 | 11.5 | 1.5 | 157.3 | 29.5 | 62 |
2018 | 13.1 | 3.4 | 160.8 | 64.5 | 69 |
2019 | 12.0 | 0.4 | 186.5 | 81.0 | 67 |
平年値 | 11.9 | − | 157.9 | 78.3 | 67 |
◇11月の日立市内の気温と降水量
11月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなりました。次いで気温が高かったのは最も北に位置する十王交流センターで、市役所より0.3℃低くなりました。一方、山間部にある本山は最も気温が低くなりました。市内7地点の平均気温は10.8℃で、10月より6.7℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は11.3℃と日立市の平均よりも0.5℃高く、10月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。ただ、沿岸部の日立市役所、十王交流センター、北部消防署、南部支所の4地点は水戸よりも気温が高くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は79.2mmで、10月の平均降水量390.5mmよりも310mm近く少なくなりました。観測地点間の差は10月よりも大きくなり、最も降水量の多かった北部消防署の107.0mmに対して、最も少なかった西部支所は52.0mmと2.1倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量79.2mmに対して、水戸の月降水量は146.5mmと70mm近く多くなりました。
●11月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
11月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 12.0 25.0 01 13:19 0.4 29 01:56 十王交流センター 11.7 24.6 01 14:13 0.2 29 06:45 北部消防署 11.6 24.1 01 14:19 0.3 29 06:45 本山(中学校跡) 8.7 20.5 01 12:29 -3.1 29 06:45 西部支所 9.4 21.7 25 13:10 -2.3 29 06:34 諏訪広場 10.6 22.2 01 13:49 -1.4 29 05:24 南部支所 11.6 23.0 01 13:56 0.9 21 06:21 上記7地点の平均 10.8 - -
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日立会瀬 12.4 23.6 01 12:30 0.5 29 01:53 水戸(金町) 11.3 23.2 01 14:18 -0.4 29 06:39
11月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 81.0 24.0 22 11.0 19 01:50 十王交流センター 77.5 26.5 22 6.0 19 01:38 北部消防署 107.0 32.5 22 13.0 19 01:45 本山(中学校跡) 93.0 32.0 22 8.0 19 01:31 西部支所 52.0 22.5 22 6.5 19 01:25 諏訪広場 67.5 25.0 22 11.0 19 01:47 南部支所 76.5 20.0 23 9.5 19 01:32 上記7地点の平均 79.2 - -
- - 日立会瀬 96.5 30.0 22 11.5 19 01:32 水戸(金町) 146.5 36.0 19 14.5 19 01:58
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇ぐずついた天気が続く(11月22日から28日)
21日に移動性高気圧が本州上を東へ進んだ後、上層の偏西風が日本の西側で南へ蛇行するようになり、朝鮮半島から華中にかけて上層の気圧の谷場となりました。このため、本州付近の上層では西南西からの流れが続き、関東地方では28日にかけて曇りや雨の日が続きました。
22日は、移動性高気圧が三陸沖へ進んだ後、黄海へ上層の気圧の谷が進んでくるとともに前線が九州の南へのびてきました。このため、関東地方以西の太平洋側では雲が広がり、湿った空気の入った関東地方を中心に雨が降りました。
23日になると、華中で上層の気圧の谷が深まり、本州付近の上層では西南西からの流れが強まりました、この影響で、関東地方の南の前線上に低気圧が発生したことから、関東地方では一日雨が降り続きました。
24日は、上層の気圧の谷が本州上を東へ進み、この前面の関東沿岸を低気圧が北上しました。このため、関東地方では昼頃まで雨が降り、その後も曇りの天気が続きました。日立市では、22日の昼前から24日昼まで雨が降り続き、日立市役所では総降水量が56.5mmになりました。
25日は、日本海北部と東シナ海を上層の気圧の谷が東へ進み、これに伴う低気圧が関東地方の南を東北東へ進みました。日立市では、朝から昼まで晴れ間が出たものの、昼からは曇りとなり、夜には雨が降り出しました。
26日は、移動性高気圧が日本海から東北地方へ進んできました。しかし、次の上層の気圧の谷が東シナ海にあって東へ進んでいたため、関東から四国地方にかけての太平洋岸では雲が広がりました。日立市では、一時的に高気圧の勢力下に入り、昼前から夕方にかけては晴れました。しかし、日立市より南では一日曇りとなり、関東地方南部では弱い雨が降ったり止んだりしました。
27日は、沿海州から華中へのびる次の上層の気圧の谷が進んできて、本州の上層では西南西からの流れが続きました。この影響で、昼には紀伊半島の南に低気圧が発生して東北東へ進んだたため、日立市では一日曇りで弱い雨が降ったり止んだりしました。
28日は、上層の気圧の谷の動きが遅く、オホーツク海から日本海、東シナ海にかけてが上層の気圧の谷場となり、本州の上層では西南西からの流れが続きました。この影響で、本州の南を低気圧が東へ進んだため、日立市では明け方まで雨が降り、その後も曇りの天気が続きました。
29日になると、上層の気圧の谷が昼前に東海上へ抜け、上層では西北西からの流れに変わりました。それに伴って、大陸の高気圧が日本付近へ張り出してきたため、日立市では朝から晴れました。
11月の旬別の日照時間をみると、上旬と下旬で日照時間が大きく違いました。上旬の日照時間は84.6時間(平年比161%)と、観測開始以来2番目に多い日照時間となりました。反対に、下旬の日照時間は37.4時間(平年比68%)と、観測開始以来7番目に少ない日照時間でした。
●11月上旬と下旬の日照時間の記録
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※順位は数値の多い方または少ない方からで、1953年から2019年の統計。
●参考:11月21日から29日09時の地上天気図
●参考:11月21日から29日10時の気象衛星可視画像
●参考:11月21日、22日、24日、26日、28日及び29日09時の500hPa面高層天気図
作成日 2019/12/09
名前 日立市天気相談所