◇中旬にかけて天気がぐずつく

　月の前半は日本の南で太平洋高気圧の勢力が強く、偏西風は北日本を流れました。本州付近は高気圧におおわれて晴れる日が多くなるとともに、南から暖かい空気におおわれて気温が高くなりました。しかし、17日に上層の気圧の谷が深まりながら日本海からオホーツク海へ進んだ後、偏西風が日本付近で大きく南へ蛇行するようになりました。このため、北から寒気が入るようになり、気温は平年を下回るようになりました。また、偏西風が南下して行く過程で、前線や低気圧の影響を受けて天気のぐずつくときがありました。しかし、下旬になると再び高気圧におおわれるようになり、晴れる日が多くなりました。この結果、月の日照時間は180.1時間（平年比122％）と平年より多くなりました。反対に、晴れる日が多かったことから月降水量は149.0mm（平年比83％）とほぼ平年並みになりました。気温は、月の後半に一気に低くなったものの、上旬の気温が平年よりかなり高かったことから、月平均気温は17.4℃（平年比+0.2℃）とほぼ平年並みになりました。

10月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 17.4 17.2 月降水量（mm） 149.0 179.7 月日照時間（時間） 180.1 147.5

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 21.5 19.0 中旬 17.3 17.2 下旬 13.9 15.5

旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 63.5 44.1 中旬 52.0 47.2 下旬 64.6 56.2

　●10月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●10月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移

◇10月の日立市内の気温と降水量

　10月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は日立市役所が最も高くなりました。次いで、気温が高かったのは最も北に位置する十王交流センターで、市役所より0.2℃低くなりました。一方、山間部にある本山は最も気温が低くなりました。市内7地点の平均気温は16.3℃で、9月より4.1℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は17.0℃と日立市の平均よりも0.7℃高くなっています。ただ、4月から8月までは全地点で水戸よりも平均気温は低くなっていましたが、10月は沿岸部の日立市役所、十王交流センター、北部消防署、南部支所の4地点は水戸と同じか水戸よりも気温が高くなりました。

　一方、月の降水量の市内平均は158.9mmで、9月の平均降水量177.4mmよりも20mm程少なくなりました。観測地点間の差は9月よりも小さくなり、最も降水量の多かった本山の193.5mmに対して、最も少なかった南部支所は123.5mmと1.6倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量158.9mmに対して、水戸の月降水量は165.5mmとほぼ同じになりました。

　●10月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

10月の気温（℃）の記録 観測地点 平均 気温 最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 17.4 29.2 02 13:33 6.9 24 04:09 十王交流センター 17.2 29.5 04 13:56 6.3 24 04:12 北部消防署 17.0 29.4 02 13:06 6.0 24 04:34 本山（中学校跡） 14.3 26.7 08 13:45 3.4 24 02:09 西部支所 15.2 28.1 08 14:25 2.7 24 06:08 諏訪広場 16.0 27.9 02 13:26 4.8 24 05:46 南部支所 17.0 29.5 02 13:35 4.2 24 05:12 上記7地点の平均 16.3 - - - - 日立会瀬 17.3 29.3 02 13:19 5.9 24 05:49 水戸（金町） 17.0 29.5 02 14:10 4.0 24 06:02

10月の降水量（mm）の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 149.0 41.5 01 12.5 02 20:25 十王交流センター 161.0 48.0 01 12.5 26 04:49 北部消防署 170.0 49.0 01 14.0 26 04:52 本山（中学校跡） 193.5 57.0 01 11.0 26 05:04 西部支所 162.0 63.5 01 12.0 01 17:44 諏訪広場 153.5 49.5 01 9.5 26 04:59 南部支所 123.5 41.5 01 8.0 26 04:37 上記7地点の平均 158.9 - - - - 日立会瀬 152.0 44.5 01 10.5 26 05:03 水戸（金町） 165.5 75.0 01 13.5 01 17:50

※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

◇台風第16号が関東の東を北東へ進み、北東の風がやや強く吹く（10月1日）

　9月23日にマリアナ諸島で発生した台風第16号は、東シナ海に中心を持つ上層の高気圧に北上を抑えられて、フィリピンの東をゆっくりと北北西へ進みました。このため、台風は29日になってようやく北緯23度線まで北上してきました。29日の午後になると、東シナ海へ進んできた上層の気圧の谷の影響を受けて台風は向きを北北東へ変え、次第に速度を上げていきました。その後、台風は上層の気圧の谷の前面に向かって北東へ進み、伊豆諸島の南から関東地方の東を通って、10月2日には三陸沖へ進み温帯低気圧に変わりました。

　台風は、関東地方からは離れて東海上を北東へ進んだたため、伊豆諸島と房総半島を除いて大雨となったところはありませんでした。島しょ部を除いた関東地方における9月30日から10月1日にかけての降水量は、千葉県勝浦で260.0mm、大多喜で203.5mm、坂畑で173.0mmなどでした。また、茨城県内の降水量は、鹿嶋で101.5mm、坂東で92.5mm、つくばで79.0mmなど、県の南部で降水量がやや多くなりました。なお、日立会瀬の降水量は45.0mmで、茨城県内のアメダスの中では最も降水量が少なくなりました。

　一方、風は伊豆諸島から千葉県及び茨城県南部の沿岸部で強く吹きました。また、茨城県の一部でやや強く吹いた所がありました。島しょ部を除いた関東地方における1日の最大瞬間風速は、千葉県銚子市で41.8m/s、茨城県鹿嶋で28.8m/s、千葉県館山で28.0m/sなどでした。茨城県内の最大瞬間風速は、上記鹿島の他に下館で21.7m/s、日立会瀬で20.4m/sなどでした。それ以外の11地点は、最大瞬間風速が20m/s未満でした。

　日立市役所における風速の推移をみると、1日2時過ぎから北北東の風が徐々に強くなり始め、14時前には瞬間風速が20m/sを超えるようになりました。その後、台風が北上して風向が北北西に変わり、吹き返しの風が強まった21時39分に最大瞬間風速24.2m/sの北北西の風を記録しました。１日0時過ぎから風は急速に弱まり始め、4時過ぎにはやや強い風は収まりました。なお、日立市内の他の観測地点では、南部支所で最大瞬間風速22.9m/sと日立市役所とほぼ同じ程度の風速を観測しました。それ以外の地点では、最大瞬間風速が20m/sを超えた地点はありませんでした。

　なお、台風を取り巻く発達した雨雲は東海上を北上したため、日立市内における9月30日から10月1日の総降水量は日立市役所で45.0mm、市内で最も多かった西部支所でも63.5mmと多くはなりませんでした。

　●関東地方と茨城県内の9月30日から10月1日の降水量（mm）の記録

　※順位は、降水量の多い方から。

　※総降水量は、30日21時〜1日21時までの合計。

　※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

　●関東地方と茨城県内の10月1日から2日の最大瞬間風速（m/s）の記録

　※順位は、風速の大きい方から。

　※日立会瀬と水戸（金町）は、気象庁の観測地点。

　●10月1日〜2日の風速と風向の推移（日立市役所）

　●9月30日〜10月1日の1時間降水量と10月1日〜2日の海面気圧の推移（日立市役所）

　●参考：台風第16号の経路図と10月1日21時の500hPa面高層天気図

　500hPa面の天気図をみると、アムール川下流から朝鮮半島付近へ上層の気圧の谷がのびており、日本付近では偏西風が南西から北東へ流れています。このため、台風第16号はこの偏西風の流れに乗って、関東地方の東を北東へ進みました。

　●参考：10月1日15時と21時のアメダスによる風の分布

　●参考：09月30日15時と10月01日15時及び21時の地上天気図と気象衛星雲画像

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作成日 2021/11/11
名前 日立市天気相談所