OBSERVATION観測
◇下層の寒気による低温と曇天
上旬は移動性高気圧におおわれて、晴れて気温の高い日が続きました。しかし、9日に低気圧が発達しながら日本付近を通過した後、上層の大気の流れが変わり日本付近は日本海に上層の気圧の谷が停滞する西谷に変わりました。このため、日本付近の上層では偏西風が西南西から東北東へ流れる形になり、雲の通り道となって天気の悪い日が続きました。さらに、下旬に入るとオホーツク海高気圧が発達し、関東地方には冷たい多北東気流が入るようになりました。このため、曇りや雨の天気が続き気温も低くなりました。この結果、月平均気温は18.9℃とほぼ平年並みになりました。日照時間は、上旬に晴れる日が続いたことから138.0時間(平年比120%)と平年より多くなりました。一方、前線の位置がやや南に偏っていたことから、月の降水量は125.0mm(平年比74%)と平年よりやや少なくなりました。
6月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 18.9 19.1 月降水量(mm) 125.0 169.4 月日照時間(時間) 138.0 114.7
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 20.7 18.6 中旬 19.0 19.2 下旬 17.0 19.6
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 97.5 48.6 中旬 19.6 38.2 下旬 20.9 27.9 ※平年値は、1971年〜2000年の平均
●6月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける850hPa気温の推移
●6月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
最初に述べたように、日本付近では中旬に入って西谷の気圧配置となり天気がぐずつきました。その後、18日から19日にかけて本州南岸を低気圧が発達しながら北東へ進んだため、この西谷はいったん解消しました。しかし、20日には再び上層に寒気を伴った気圧の谷が日本海へ南下してきました。これとともに、偏西風の蛇行が大きくなり、東シベリア付近でブロッキング高気圧が発達しました。これに対応して地上ではオホーツク海高気圧が強まり、北日本から東日本にかけて天気が悪くて気温の低い日が続きました。
特に、22日から28日にかけては北海道から三陸沖、関東地方にかけての下層(850hPa面、高さ約1500m)に強い寒気が入ったため、日立市では北東の風とともに冷たい空気が入り気温が上がりませんでした。日平均気温は15℃前後で、平年より5℃近く低くなりました。1か月間を平均すると、上旬の気温が高かったため月平均気温は18.9℃とわずかに平年値(19.1℃)より低くなりました。また日最高気温と日最低気温の月平均も、ほぼ平年並みになりました。
●晴れる日が続いた時の天気図(6日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図)
●冷たい北東気流が入った時の天気図(23日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図)
●気象衛星可視画像
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作成日:2002/06/20
訂補日:2014/02/20
名前 日立市天気相談所