OBSERVATION観測
◇急速に深まった秋
上旬は、本州の東海上で強まった太平洋高気圧におおわれて、晴れて暑い日が続きました。このため、上旬の平均気温は24.3℃と平年より1.1℃高くなりました。しかし、11日から12日にかけて、本州の南海上から北上してきた寒冷渦が関東地方の東を北東へ進んだ後、日本付近の上層の大気の流れが変わり、偏西風が本州の上層を通るようになりました。このため、北日本から東日本にかけては、寒気が入りやすくなり、北東気流の影響で天気が悪かったこともあって、中旬と下旬の平均気温は平年より約1℃低くなりました。この結果、月平均気温は21.2℃と平年より0.4℃低くなりました。
南岸に停滞した前線や低気圧の影響で曇りや雨の日が続くときがありましたが、上旬は太平洋高気圧に、中旬後半から下旬前半にかけては移動性高気圧におおわれて晴れる日が多かったことから、月の日照時間は150.3時間(平年比116%)と平年を上回りました。一方、本州付近で低気圧が発達することがなく、まとまった雨の降ることがなかったことから月の降水量は208.0mm(平年比105%)とほぼ平年並みでした。
9月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 21.2 21.6 月降水量(mm) 208.0 197.8 月日照時間(時間) 150.3 129.8
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 24.3 23.2 中旬 20.4 21.7 下旬 19.0 19.8
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 59.3 48.4 中旬 46.9 41.2 下旬 44.1 40.2
※平年値は、1971年〜2000年の平均
●9月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPa気温の推移
初めに述べたように、今年の9月は11日から12日にかけての寒冷渦の通過に伴って気圧系が変化して寒気が入るようになり、気温の下がり方が例年よりも早くなりました。上旬は日最高気温が30℃を超える日がありましたが、13日以降は急速に気温が下がり、日最高気温が25℃を超えたのは、18日と29日の2日だけでした。12日から14日にかけての最高気温の推移を見ると、12日の31.4℃から13日は22.7℃、14日には20.0℃と一気に10℃近く下がりました。
さらに、18日は大陸から進んできた移動性高気圧におおわれ、晴れて風が弱まったために冷え込みが強まり、最低気温が14.8℃まで下がりました。その年の8月1日以降に日最低気温が初めて15℃を下回る日の平年日は9月26日で、今年は平年よりも8日早く気温が15℃未満となりました。なお、真夏日(最高気温30℃以上の日)の終日は12日で、平年並みでした。
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※最低気温15℃未満初日は、その年の8月1日以降に日最低気温が初めて15℃未満となった日。
●9月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
今年の夏は、7月上旬後半から8月上旬にかけて太平洋高気圧の勢力が強まり、気温の高い日が続きました。8月の中旬後半から下旬の前半は、関東地方の南から東へ進んだ台風第13号の影響で一時的に気温が低くなりました。その後、9月の上旬は太平洋高気圧が強まり、厳しい残暑となりました。しかし、中旬に入ると太平洋高気圧が南へ後退し、北たから寒気が入るようになって一気に秋が深まりました。9月の終わりまで厳しい残暑の続いたおととし(2000年)の中旬の平均気温24.4℃と比べると今年の中旬の平均気温は20.4℃と4.0℃低く、過ごしやすい9月となりました。
●6月から9月の日立市役所における日平均気温の推移(2000年との比較)
◇天気図から見た気圧系の変化(11日から13日)
上層の天気図を見ると、11日から13日にかけて太平洋高気圧が南へ後退し、偏西風が本州付近まで南下してきたことが分かります。11日の天気図では偏西風は北海道付近を流れており、本州付近は太平洋高気圧におおわれています。ただし、日本の南には寒冷渦があってゆっくりと北上しています。この寒冷渦は、12日には関東地方の南まで北上してきて不明瞭になりました。これに伴って、太平洋高気圧の勢力は南へ後退し、13日には偏西風が本州上まで南下し、北から寒気が入るようになりました。
●参考:9月11日及び13日の高層天気図と地上天気図
●参考:気象衛星雲画像からみた上層大気の流れの変化(気象衛星ひまわり水蒸気画像)
気象衛星の水蒸気画像を見ると、上層の大気の流れが良く分かります。11日10時の画像では、偏西風帯を表す白い帯びは、北海道にあって西から東へ伸びています。一方、本州の南半分は太平洋高気圧の圏内を表す、暗い領域に入っています。また、紀伊半島の南には、上層の寒冷低気圧を示す、渦があります。
寒冷渦が北東へ進み、関東地方の南東海上を通過した12日の朝から偏西風帯は南へ下がり始め、13日の朝には本州の真上を通過するようになりました。偏西風帯の南下とともに上層に寒気が入ってきたため、関東地方では12日の夕方から夜にかけて雷雲が発達し、落雷や一時的な強い雨がありました。日立市役所でも、17時40分から18時05分にかけて、17.0mmの強い雨が降りました。
●参考:9月12日16時00分〜20時00分の降水レーダー図
作成日:2002/10/22
訂補日:2013/06/19
訂補日:2014/11/12
名前 日立市天気相談所