OBSERVATION観測
◇久しぶりに寒くなった年の瀬
11月に引き続き、北極からの寒気が流れ込みやすい気圧配置が続きました。特に、上旬後半から中旬前半にかけてと下旬に強い寒気の南下があり、気温の低くなる日がありました。このため、月平均気温は5.9℃と平年より1.3℃低くなりました。去年の12月を除くと最近は暖かい年の瀬が続いており、12月の月平均気温が6.0℃を下回ったのは1985年の5.9℃以来のことです。また、日最高気温の平均も平年より1.7℃低くなりました。一方、日最低気温の平均は、曇りや雨の日が多かったため、それほど下がりませんでした。
上旬と中旬後半から下旬前半にかけて、本州南岸が気圧の谷場や前線帯となり天気のぐずつく時がありました。このため、月の日照時間は157.5時間(平年比83%)と平年よりかなり少なくなりました。反対に、月降水量は63.0mm(平年比201%)と平年より多くなりました。
12月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 5.9 7.2 月降水量(mm) 63.0 31.3 月日照時間(時間) 157.5 189.9
気温の旬変化(℃) 旬 平均気温 旬平年値 上旬 7.5 8.5 中旬 5.9 7.0 下旬 4.4 6.2
●12月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける850hPa気温の推移
●12月の月平均気温と日照時間
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※順位は気温の低い方及び日照時間の少ない方からで、1953年〜2002年の統計
最初に述べたように、今年の12月は寒気の流れ込みやすい気圧配置が続いたものの、日本の南で高気圧の勢力が平年よりも強かったため、上層の気圧の谷が日本海から朝鮮半島に停滞しやすくなりました。このため、本州南岸が気圧の谷場となり、下図に示すように平年より北から北北東の風が多くなりました。また、北西の季節風に伴う乾燥した冬晴れの天気が少なかったことから、月平均湿度は63%と平年(59%)を上回り、1996年以来の湿度の高い12月になりました。
●12月の日立市役所における風向頻度分布と日照時間の推移
◇南岸低気圧による積雪(12月9日)
8日から11日にかけては日本の西側に上層の気圧の谷が停滞してぐずついた天気が続くとともに、関東地方の上層1500m付近に寒気が入り寒い日が続きました。特に、9日は本州の南岸を東へ進んだ低気圧の影響で関東地方では雪が降り、内陸部では10cmを超える積雪となりました。
天気の推移をみると、7日から降ったり止んだりしていた雨が、8日の夜23時前から雪に変わりました。低気圧が近づいてきた9日の3時過ぎからは本格的な雪となり、9時には市役所で11cmの積雪になりました。低気圧の速度が速かったため、雪は昼には止みました。午後になって、気温が3℃近くまで上がってきたため、雪の解ける速度が比較的速く、翌日の朝には積雪は0cmになりました。12月の積雪としては、日立市役所が観測を開始ししてから最も多くなりました。また、12月に積雪が1cmを超える雪が降ったのは、1985年の12月10日に3cmの積雪があって以来のことです。
上層の大気の流れを見ると、1日から6日までは東から西へ流れており、、暖かい日が続きました。しかし、8日頃から日本付近で上層の気圧の谷が深まるとともに、寒気が南下し始めました。特に、地上から高さ1500m付近の下層に寒気が入ったため、気温の下がり方が大きくなりました。つくば市における1500m付近の気温は、7日9時には0.2℃でしたが、11日9時には-7.5℃まで下がりました。
気象衛星の雲画像で見ると、7日10時の画像では北海道の西に、寒気の影響による筋状の雲が見られ、それより南側には東西方向に薄い雲が広がっています。9日10時の画像では、低気圧に伴う雨雲が関東地方の東海上へ抜け、東シナ海には筋状の雲が一面に広がっており、上層の寒気が日本の南岸まで入ってきた様子が見られます。
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※つくばは9日09時の値 ※大子、鉾田、下妻は9日11時までの値。
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●12月8日から9日にかけての気温と風速の推移
●市役所から見た積雪の様子
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●12月7日から9日09時の地上天気図
●12月7日と9日09時の地上天気図と850hPa面高層天気図
●参考:12月7日と9日09時の気象衛星赤外画像