OBSERVATION観測
◇平年並みの寒さに戻った1月
上旬は、12月下旬から続いた強い寒気南下の影響で冬型の気圧配置が強く、気温の低い日が多くなりました。しかし、その後は低気圧が周期的に日本付近を通り、穏やかな天気が続きました。このため、1月の月平均気温は4.4℃と、ほぼ平年並みの値になりました。このところ、1月は気温の高い年と平年並みに寒くなる年とが交互に現れています。特に、2000年と2002年は月平均気温が平年よりも2℃近く高く、かなり暖かかったため、今年の1月は気温の値以上に寒く感じられました。
1月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 4.4 4.5 月降水量(mm) 87.0 46.3 月日照時間(時間) 213.3 195.0
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 3.9 5.3 中旬 5.2 4.4 下旬 4.2 4.0
旬降水量(mm) 旬 観測値 平年値 上旬 24.0 12.3 中旬 4.5 17.8 下旬 58.5 16.3
●1月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける850hPa気温の推移
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●過去5年間の1月の平均気温(℃)
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◇雨と雪を分ける上層の気温(1月3日)
3日の夕方から4日の朝にかけて、低気圧が本州上を北東へ進みました。この低気圧により、関東地方では3日の夕方から夜にかけ、1時間に5〜10mmのやや強い雨が降りました。このとき、関東地方内陸部では地形的影響から冷たい空気が地表付近に滞留し、その上空を低気圧に吹き込む暖かい南風が通りすぎていく形になりました。このため、内陸部では気温が0℃近くまでしか上がりませんでした。
しかし、上空の気温が上がったため、平野部では氷点下の気温にもかかわらず、雪ではなく雨になりました。関東地方で雪が降った先月9日の時と、上層約1500m付近の気温を比べてみると、12月9日の場合は-6℃の等温線が関東地方北部まで南下しているのに対し、3日の場合-6℃の等温線は北海道南部まで北上しており、上層に暖かい空気が入っていることが分かります。なお、地表の気温が氷点下になっていた東京都から埼玉県にかけては、落下してきた雨滴が地表の建造物や電線、樹木にあたった後、すぐに氷に変わる現象が見られました。このため、架線に氷が付着したJR東北線や高崎線などでは電車に電気が通じにくくなり、4日朝にかけて電車が立ち往生しました。
3日の県内各地の気温の変化を見ると、明け方は上層の寒気の影響で冷え込み、各地とも0℃以下まで気温が下がりました。日の出とともに気温は上がり始めましたが、昼過ぎからやや下がりました。沿岸部の日立市や北茨城市では、低気圧が近づいてきた夜から再び気温が上がり始めていますが、内陸部では0℃近くのまま気温の上がらない状態が続きました。
日立市は海に面しているため、冷たい空気が地表付近に滞留することはありませんが、関東地方の内陸部では良く見られる現象です。特に、今回は地表の気温が氷点下にもかかわらず雨が降るという珍しい現象が見られました(同じような寒気が滞留した現象を、2000年11月の観測日誌に掲載しています)。
●参考:2003年1月3日と2002年12月9日の気圧系の違い
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●参考:2003年1月3日の気温の推移及び3日18時のアメダスによる気温の分布
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作成日:2003/02/18
訂補日:2013/01/29
名前 日立市天気相談所