OBSERVATION観測
◇南岸低気圧による雪
月初めは上層に強い寒気が南下し、気温が低くなりました。上旬後半は南から暖気が入り、気温が高くなりました。その後、中旬から下旬にかけては日本付近を低気圧が短い周期で通過し、天気は周期的に変わりました。特に、中旬から下旬の前半にかけては本州南岸を低気圧が短い周期で通過することが多く、曇りや雨の日が多くなりました。このため、月の日照時間は165.6時間と、平年(173.0時間)の96%にしかなりませんでした。一方、月降水量は52.0mmで、ほぼ平年並みでした。
また、本州南岸を通過する低気圧に伴って冷たい北東の風が入り、月半ばから下旬にかけては気温が平年よりやや低く推移しました。この結果、月平均気温は4.4℃と平年並みになりました。しかし、旬別の平均気温を見ると、上旬が4.8℃、中旬が4.5℃、下旬が3.7℃としだいに低くなり、暦とは逆に春が近づくにつれて気温が低くなっていきました。
2月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 4.4 4.4 月降水量(mm) 52.0 61.8 月日照時間(時間) 165.6 173.0
気温の旬変化(℃) 旬 平均気温 旬平年値 上旬 4.8 3.9 中旬 4.5 4.6 下旬 3.7 4.8
●2月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける850hPa気温の推移
ただ、低気圧が本州南岸を通過することが多かったものの、日立市役所では24日を除いて雪が降ることはありませんでした。24日の場合は、低気圧が本州の南の海上を離れて通過したにもかかわらず上層の前線が本州付近にかかっていたことと、低気圧に伴う南からの暖気が入らなかったことから、茨城県を中心に雪が降りました。各地の積雪は、日立市4cm、水戸市4?、大子町2?、宇都宮市1cm、前橋市0cmで、茨城県の沿岸部で積雪が多くなりました。また、上層の気圧の谷が遅れて東進してきたため、低気圧が昼過ぎに八丈島の南を通過した後も弱い雪が降り続き、夜に入ってようやく止みました。
●降雪の状況と気温の変化(日立市役所)
降雪の状況 積雪(cm) 気温(℃) 08時30分:雪が降り始める 0 3.3 09時15分:みぞれに変わる 0 2.8 10時00分〜10時40分:雪とみぞれが交互に降る 0 2.5 13時00分:雪の降り方がやや強くなる 0 0.8 14時00分:同じ程度で雪が降り続く 1 0.5 15時50分:雪の降り方が弱まる 2 0.6 17時00分:弱い雪が降り続く 4 0.9 18時00分:弱い雪が降り続く 3 0.8 20時35分:雪が止む − 0.7
●2月25日の朝の市役所周辺の様子
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1月3日にも、低気圧が関東地方南岸を北東へ進みました。この時は、関東地方内陸部では氷点下の気温にもかかわらず、雪ではなく雨になりました。両日の上層約1500m付近の気温を比べてみると、1月3日の場合は-6℃の等温線が北海道南部まで北上しているのに対して、24日の場合は-6℃の等温線が関東地方北部にかかっており、上層に低気圧に伴う暖かい空気が入らなかったことが分かります。
また、アメダスで関東地方の気温の分布を比べてみると、1月3日の場合は内陸部では氷点下の気温になっていますが、茨城県から千葉県にかけての沿岸部では気温が高くなっており、海から暖かい空気が入り込んでいることが分かります。これに対して、24日の場合は内陸部よりも沿岸部、特に茨城県の沿岸部で気温が低く、海から冷たい空気が入ってきていることを示しています。
24日の県内各地の気温の変化を見ると、低気圧が通過した昼頃から気温が下がり始めています。今回の低気圧はあまり発達しなかったため、南からの暖かい空気が入らず、低気圧の後ろ側から流れ込んできた寒気の影響を受けて、雪になったことが分かります。
●参考:2月24日と1月3日の天気の違い
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作成日:2003/03/26
訂補日:2013/01/31
名前 日立市天気相談所