OBSERVATION観測
◇気温の変化が大きく、天気のぐずつくときがある
月全体としては天気は数日の周期で変わり、上旬から中旬にかけては晴れる日が多くありました特に、上旬は東西に勢力を広げる高気圧におおわれ、晴れて乾燥した天気が続きました。上旬の平均湿度は64%で、平年よりも12%低くなりました。しかし、下旬になると本州付近を低気圧が頻繁に通り、曇りや雨の日が多くなりましたこのため、月の日照時間は153.9時間(平年比101%)と平年並みになりました。一方、本州付近での低気圧の発達が弱かったことから、月降水量は108.0mm(平年比68%)と平年より少なくなりました。また、上旬から中旬にかけては日本海を進む低気圧に伴って気温が上がる時がありました。しかし、低気圧の通過後は強い寒気が入って気温が下がり、気温の変動が大きくなりました。この結果、月平均気温は16.0℃と平年より0.6℃低くなりました。
10月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 16.0 16.6 月降水量(mm) 108.0 159.2 月日照時間(時間) 153.9 152.5
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 16.7 18.3 中旬 16.1 16.8 下旬 15.3 15.0
旬降水量(mm) 旬 観測値 平年値 上旬 0.0 53.7 中旬 57.5 59.7 下旬 50.5 45.8
●10月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける850hPa気温の推移
●10月の日立市役所における日平均湿度と日照時間の推移
◇関東地方から先に天気が崩れるとき(27日〜28日)
日本付近では、天気は西から東へと変わっていきますが、10月から11月にかけては、西日本より先に関東地方で天気が崩れ始めることがあります。27日は本州に中心を持つ移動性高気圧に広くおおわれ、全国的に晴れの天気となりました。しかし、関東地方だけは、南海上から入り込んだ雲がかかって、1日中曇りの天気となりました。また、茨城県から千葉県にかけての太平洋岸では、夕方から宵の内にかけて弱い雨が降りました。27日09時の上層の大気の流れを見ると、500hPa(高さ約5500m付近)の高層天気図で、四国付近に反時計回りに風向が変化し、まわりより気温がやや低い領域があり、小さな上層の低気圧があることが分かります。
この雲は、28日0時過ぎには東海上へ抜けましたが、その後すぐに南海上から雨雲が北上してきて、朝の9時頃からは本格的な雨が降り出しました。28日の09時の時点では、低気圧はまだ朝鮮半島の東にあり、西日本では晴れ間が広がっています。しかし、関東地方は東海上へ抜けた高気圧の西の縁を回り、南から湿った空気が流れ込んで雨雲が広がりました。
このように、移動性高気圧におおわれて晴れると思われる場合でも、上層の大気の流れが南西から北東へ流れているときは、関東地方では南からの湿った空気が入り、天気が崩れることが多くあります。
●参考:10月27日から29日の09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の500hPaまたは850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。
●参考:10月27日から29日の気象衛星可視画像と水蒸気画像
気象衛星から雲の動きを見ると、26日の夜と27日の夜から28日未明にかけての2回、関東地方の南で雲が発生して北へ広がったことが分かります。1回目は26日の夕方、関東地方の南で雲が発生して北へ広がり関東地方にかかりました。この雲は動きが遅く、27日はゆっくりと東へ進み、28日の0時前に関東地方の東へ抜けました。
この雲とは別に、28日の朝から昼過ぎにかけて、本州の南海上を東へ進む雲と西へ進む雲がありました。2回目は、この二つの雲が28日の夕方には一つになり、発達して雨雲となって関東地方へかかりました。この雨雲はしだいに大きくなりながら北上し、関東地方にまとまった雨を降らせました。日立市役所における28日の降水量は、20.0mmになりました。
関東地方の南海上は、地形の影響で東風と西風がぶつかって(収束して)雲の発生しやすい領域になっています。今回は、特に上層の大気が湿っていたことと、2つの雲が連続して発生したため、他の地域よりも天気の崩れるのが早くなりました。
●参考:気象衛星赤外画像(26日15時から28日15時)
作成日:2003/11/21
訂補日:2013/11/20
訂補日:2015/06/11
訂補日:2015/10/21
名前 日立市天気相談所