日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇気温の変化の大きかった3月

 上旬は、大陸から寒気が入って、気温は平年より低くなりました。また、下旬の初めも、本州南岸を低気圧が通過することが多く、雲が多くて気温が低くなりました。しかし、それ以外の日は移動性高気圧におおわれて、晴れて暖かい日が続きました。特に、11日と17日には、低気圧が日本海を発達しながら進んだため、南風が入って気温が上がりました。

 今年の3月は、南西の風が吹いて気温が極端に上がる日があり、気温の変動が大きくなりました。月平均気温は7.5℃と平年より0.7℃高かった一方で、月平均最高気温は13.0℃と、平年より1.9℃高くなり、気温の上がる日の影響が大きかったといえます。特に、11日と17日は低気圧に吹き込む南西の風によりフェーン現象が起こり、気温が上がりました。17日の日最高気温は23.0℃と、3月の最高気温としてはこれまでで最も高くなりました。また、11日の日最高気温も22.8℃と、これまでで3番目に高い気温となりました。

 上旬は冬型の気圧配置が続き、それ以降は移動性高気圧におおわれることが多かったことから、29日までの降水量は51.0mmと、平年より少なくなっていました。しかし、30日から31日にかけて65.0mmの雨が降ったため、月降水量は116.0mmと平年並になりました。一方、下旬の初めを除いて晴れの日が続いたため、日照時間は200.2時間と平年より多くなりました。

3月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 7.5 6.8
月降水量(mm) 116.0 103.5
月日照時間(時間) 200.2 181.3
月日照率(%) 0.54 0.49
月最高気温(℃)
順位 最高気温
1 2004 23.0
2 1998 22.9
3 2004 22.8
4 1991 22.7
5 1972 22.5

※順位は気温の高い方からで、1953年から2004年の統計

 ●3月の日立市役所における日平均気温と日最高気温気温の推移

 11日と17日は、ともに低気圧が日本海を発達しながら北東へ進み、寒冷前線に沿って南西の風がやや強く吹きました。このため、日立市ではフェーン現象が起こり、両日とも日中の気温が23℃近くまで上がりました。また、寒冷前線の通過とともに気温が一気に10℃近く下がりました。【市役所における3月10日から11日と17日から18日の10分間データ:テキストファイル44KB(下のグラフの元データ)】

 しかし、11日と18日の寒冷前線通過時の天気の変化には、大きな違いが見られました。11日は、寒冷前線の通過した夕方に、弱い雨が一時的に降りましたが、降水量は0mmでした。また、南西のやや強い風は、寒冷前線の通過後北東に変わり弱まりました。さらに、18時以降は再び南西の弱い風に変わっています。一方、18日のときは、寒冷前線の通過とともに雨が降り始め、夕方まで1時間に1〜3mmの弱い雨が降り続き、降水量は18.5mmになりました。また、南西のやや強い風は、寒冷前線の通過時にいったん弱まりましたが、前線の通過後に北東の風向に変わるとともに再び同じ程度の強さで吹きだしました。

 気温の変化をもう少し詳しく見ると、11日は日中に最高気温を記録した後、寒冷前線が通過したため、気温の変化が大きくなりました。一方、18日は気温がいったん下がった朝方に、寒冷前線が通過しています。しかし、気温の下がり方は11日と同じく10℃近く下がっています。さらに、その後も気温は下がり続け、夜には3℃まで気温が下がりました。

 850hPa面(高さ約1500m付近)高層天気図で下層の大気の流れを比べてみると、12日09時の天気図では、東北地方から北陸地方かにかけて、西から西南西の風が吹いています(つくば市の上層では、南南西の風向になっています)。それに対して、18日21時の天気図では、東北地方から北陸地方かにかけて、北から西北西の風が吹いています(つくば市の上層では、西の風向になっています)。

 これらのことから、11日に比べて18日の方が、寒冷前線通過後の寒気の流れ込みが強く、天気の変化が大きくなったと言えます。

  10日から11日と17日から18日の気象の変化

気温と海面気圧の変化(2004年3月10日から11日) 気温と海面気圧の変化(2004年3月17日から18日)
風速の変化(2004年3月10日から11日) 風速の変化(2004年3月17日から18日)
風向の変化(2004年3月10日から11日) 風向の変化(2004年3月17日から18日)

 気象衛星水蒸気画像は、上層から中層の大気の流れを視覚的に表します。11日と18日の水蒸気画像を比べてみると、上層の大気の流れにも違いがあることが分かります。11日の日本付近の偏西風の流れは、西から東へと流れており、上層の寒気の南下が弱いことを示しています。一方、18日は南西から北東へ流れており、西の方から寒気が南下していることを示しています。

  参考:11日と18日の地上天気図と高層天気図及び気象衛星水蒸気画像

2004年03月11日15時の天気図

2004年03月18日09時の天気図
2004年03月11日15時の天気図 2004年03月18日09時の天気図

2004年03月12日09時の850hPa高層天気図

2004年03月18日21時の850hPa高層天気図
2004年03月12日09時の850hPa高層天気図 2004年03月18日21時の850hPa高層天気図

2004年03月11日15時の気象衛星水蒸気画像

2004年03月18日06時の気象衛星水蒸気画像
2004年03月11日15時の気象衛星水蒸気画像 2004年03月18日06時の気象衛星水蒸気画像

※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。また、網掛けの範囲は、気温と露点温度の差が、3℃以下の場所を表しています。


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作成日:2004/04/14
訂補日:2013/06/10
名前 日立市天気相談所