OBSERVATION観測
◇暖かった初秋と季節の移り
上旬と下旬は、前線と台風の影響を受けて、曇りや雨の降る日が多くありました。しかし、太平洋の高気圧が平年に比べて北に位置していたため、それ以外の日は晴れて気温が高くなりました。月平均気温は22.8℃と平年より1.2℃高く、日照時間も141.5時間と平年の109%になりました。また、東日本では前線の活動が弱く、関東地方の北に位置することが多かったため、降水量は92.0mmと平年の46%にしかなりませんでした。なお、下旬は曇りや雨の日が多く、日平均気温は平年より低くなりましたが、比較的暖かい空気におおわれたため、最低気温は平年より高い日が続きました。
9月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 22.8 21.6 月降水量(mm) 92.0 197.9 月日照時間(時間) 141.5 129.5
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 24.0 23.2 中旬 22.8 21.7 下旬 21.7 19.8
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 48.2 48.4 中旬 67.8 41.2 下旬 25.5 40.2
●9月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
そのような中で、15日から16日にかけて、東北地方を冷たい空気を伴った移動性高気圧が東南東へ進み、一時的に気温が下がりました。特に、16日の朝は晴れて放射冷却の効果が加わったため、日立市では朝の最低気温が13.3℃まで下がり、7月3日の14.3℃以来2か月半ぶりに最低気温が15℃を下回りました。
14日から16日にかけての気温の推移を見ると、フェーン現象による気温の上昇と、下層への寒気の流入による気温の低下が目立ちました。14日の午前中は、寒冷前線の南側で暖かい気温が入り、気温が上がりました。特に、9時過ぎからは西よりの風に変わり、フェーン現象が起きたため気温が急に上がり、12時44分にはこの日の最高気温34.4℃を記録ました。しかし、13時に風向が北東に変わるとともに、気温は下がり始めました。寒冷前線の北側の下層には冷たい空気が入っていたため、気温は夜に入っても下がり続け、この日の最低気温19.3℃は、真夜中近い23時56分に観測しました。
850hPa面(高度約1500m)の気温を見ると、14日09時のつくばの気温は19.2℃、仙台の気温は12.8℃と、寒冷前線の南と北で気温の差が大きいことが分かります。15日09時の気温をみると、つくばで11.4℃、仙台で7.2℃と、下層の寒気は南下するとともに強まっています。地上の気温は、15日の朝には風向が北西へ変わり、日射の影響もあって、気温がいったん上がり、8時53分にはこの日の最高気温24.4℃を観測しました。しかし、その後は下層の冷たい空気の影響が大きく、気温が下がり続けて、この日の最低気温15.7℃も、真夜中近い23時35分に観測しました。
16日の朝になると、下層の寒気は本州の南まで下がり、関東地方では気温が上がり始めてきましたが、地上では晴れて放射冷却の効果が加わったため、最低気温は13.8℃まで下がりました。これは、平年の最低気温と比較すると10月半ばの気温に相当し、約1か月季節が進んだ冷え込みでした。
17日以降は、南よりの風が吹いて気温が上がる日や、曇りや雨で最低気温の下がらない日が多く、日平均気温は低くなっても、最低気温が平年より低くなる日はありませんでした。
●9月の気温と日照時間の推移及び上旬と下旬の天気図の比較
9月の日最低気温の推移 | 9月14日から16日の気温の推移 |
●参考:地上天気図と気象衛星画像及び高層天気図
2004年09月14日09時の地上天気図 | 2004年09月15日12時の地上天気図 |
2004年09月14日10時の気象衛星可視画像 | 2004年09月15日10時の気象衛星可視画像 |
2004年09月14日09時の850hPa高層天気図 | 2004年09月15日09時の850hPa高層天気図 |
※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。
作成日:2004/10/19
訂補日:2013/06/09
名前 日立市天気相談所