OBSERVATION観測
◇気温の変化が大きく、雷が多かった
上旬から中旬にかけては、低気圧や前線が頻繁に通過し、短い周期で天気が変わりました。月の初めは、3月下旬からの暖かい空気が残り、気温が高くなりましたが、2日に低気圧が本州南岸を通過した後、北から寒気が入るようになり、気温が下がりました。その後、低気圧が日本海を進み、一時的に気温の上がる日もありましたが、中旬の終わりまで寒気の入りやすい気圧配置が続き、気温が低くなりました。特に、上旬の初めと中旬の終わりには下層にも寒気が入り、晴れても最高気温が15℃まで上がらない日がありました。
下旬に入ると気圧系が変わり、初めのうちは本州南岸に前線が停滞して曇りや雨の日が多くなりましたが、旬の後半は移動性高気圧におおわれて、暖かくなりました。この結果、月平均気温は11.9℃とほぼ平年並になりました。また、月日照時間も178.2時間と平年並みでした。一方、日本付近で低気圧が発達することがほとんどなかったため、月降水量は110.0mm(平年の80%)と少なくなりました。
4月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 11.9 12.0 月降水量(mm) 110.0 137.1 月日照時間(時間) 178.2 175.0
気温の旬変化(℃) 旬 平均気温 旬平年値 上旬 10.3 10.2 中旬 10.8 11.9 下旬 14.4 13.8
●4月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける850hPa面の気温(09時)の推移
また、今年の4月は上層に寒気が入りやすく、雷の発生する日が多くありました。日立市でも、9日、10日、14日、26日、28日に雷がありました。しかし、地上付近の気温はまだ低く、雷雲の発達の程度が弱かったため、降水量は多くなりませんでした。
地上天気図から気象状況を見ると、26日に関東地方を寒冷前線が通過している以外は、前線や低気圧はなく、高気圧にゆるやかにおおわれる形になっています。しかし、つくばにおける高層気象観測の結果を見ると、いずれの日も上層(500hPa面)の気温が平年の気温より低く、下層(850hPa面)との温度差も大きくなっていて、大気の状態が不安定にないりやすい気象状況でした。
しかし、雷の発生地域を見ると、28日は上層の寒気の東進に伴って関東地方全域で雷雲が発生しましたが、9日は栃木県から茨城県と東京都から神奈川県、千葉県にかけて、10日と14日は栃木県東部から茨城県北部にかけて、26日は寒冷前線の南下に伴って茨城県から千葉県にかけての地域と、栃木県北東部から茨城県北部にかけて多くなっていました。茨城県北部は、地形の影響で風が収束しやすく、雷雲の発達しやすい地域となっており、関東地方全体としては雷雲の発生しにくい状態のときでも、栃木県北部から茨城県北部にかけて、局地的に雷の発生するときがありました。
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※雷の強度:0は、雷鳴があるのを知る程度で、通常遠雷と認められる程度。電光は、ようやく認められる程度で、夜は楽に正視できる程度。2の雷鳴は激しく耳をろうし戸障子が激しくなり人を驚かす。電光は昼は周囲に明るさを感じる程度で、夜は光輝が激しく全身に光を浴びる感じ。1は、0と2の間。
※降水量は、雷雨によるもののみ。
●参考:雷発生時の地上天気図と気象衛星可視画像
作成日:2007/05/16
一部訂補:2008/09/17
訂補:2013/03/27
名前 日立市天気相談所