日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇上旬は暖かく、下旬は涼しい

 低気圧と高気圧が交互に通過し、天気は短い周期で変わりました。上旬から中旬にかけては、低気圧が北日本を通ることが多く、本州付近は高気圧におおわれて晴れる日が多くありました。また、上旬は南から暖かい空気が入り、旬平均気温は17.2℃と平年よ2.2℃高くなりました。しかし、11日に本州付近を低気圧が東へ進んだ後、北から下層を中心に冷たい空気が入るようになり、気温が低くなりました。日平均気温の平年値は、月の始めから終わりにかけて約3℃程高くなりますが、今年の5月は月の初めと終わりでほとんど気温が変わらないか、むしろ低くなりました。

 つくばの高層観測における850hPa面(高さ約1500m)の気温の変化を見ると、上旬は暖かい空気が入ったものの、月の半ばと終わりには冷たい空気が入り、月の初めよりも終わりのほうが気温が低くなりました。(なお、下の気温の推移を表すグラフでは、気温の変化を分かりやすくするため、観測値ではなく9日間の移動平均値をグラフに表しています。)

 このため、上旬の気温は高かったものの、月平均気温は16.9℃と平年よりわずかに高い程度になりました。一方、月日照時間は晴れる日が多かったため、206.82時間と平年の118%になりました。月降水量は、161.5mmと平年並でした。

5月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 16.9 16.1
月降水量(mm) 161.5 160.6
月日照時間(時間) 206.8 174.8
気温の旬変化(℃)
平均気温 旬平年値
上旬 17.2 15.0
中旬 16.4 16.0
下旬 17.1 17.1

 ●5月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける850hPa気温の推移

2007年5月の日立市役所における日平均気温の気温の推移 2007年5月のつくばにおける850hPa気温の気温(09時)の推移

 ●5月21日09時地上天気図と850hPa面高層天気図

2007年5月21日09時地上天気図 2007年5月21日09時の850hPa面高層天気図

※850hPa面の気温は、つくばにおける9時の観測値

※5月21日の最低気温は8.6℃で、28日、29日と並んで、今年の5月の日最低気温としては最も低くなりました。

 例年、5月の関東地方は沿岸部を中心に、冷たい北東の風が吹くと下層雲が広がりやすくなりますが、今年は北東の風が吹いても、下層雲が広がることはほとんどありませんでした。しかし、そのような中にあって、関東地方の他の地域は晴れていても日立市の沿岸部だけは曇りという日がありました。下図に、そのような例として、8日と28日の気象衛星可視画像とアメダスによる日照時間の分布を示します。

 8日の場合、朝は東の風が吹いていましたが、日中になると関東地方の南部から南の風に変わっていきました。しかし、茨城県の中部(水戸市付近)では、夜の初めまで東から北東の風が吹き続け、南風との間で弱い収束域が形成されました。この収束域の北側に沿って、東海上から下層雲が陸地へ入り、日立市の沿岸部だけ曇りとなりました。

 28日の場合は、日本海に高気圧があって、関東地方では沿岸部を中心に冷たい北東の風が吹きました。しかし、関東地方全域で雲が広がるということはなく、茨城県から千葉県にかけての所々と関東地方北部の山沿いで広がる程度でした。この雲も、午後に入るとしだいに消えていきましたが、日立市では最後まで雲が残り、晴れてきたのは16時を過ぎてからでした。どちらの場合も、地形と風の影響で日立市だけ雲がかかりやすい状態になったものと思われます。

 参考:8日、28日16時の気象衛星可視画像とアメダスによる日照時間分布

5月8日16時の気象衛星可視画像 5月8日16時のアメダスによる日照時間分布
5月28日16時の気象衛星可視画像 5月28日16時のアメダスによる日照時間分布

 10日の夜から11日の朝にかけて、寒気を伴った上層の気圧の谷が本州付近を東へ進みました。これに伴う地上低気圧が、本州中部をやや発達しながら東へ進み、11日の3時には関東地方の東海上で中心気圧が988hPaまで発達しました。これに伴い、10日の23時頃から西北西の風が吹き始め、上層の気圧の谷が東へ抜けた11日の3時過ぎからは、瞬間風速が20m/sを超えるようになり、11日の10時59分には最大瞬間風速28.6m/sの西北西の風を記録しました。これは、5月の最大瞬間風速としては、日立市役所観測記録順位第1位です。

 昼前から風は徐々に弱まっていきましたが、16時前から再び瞬間風速が20m/sを超えるようになり、16時19分には最大平均風速13.3m/sの西北西の風を記録しました。その後も、西北西の風が強い状態が続きましたが、18時30分に弱い気圧の谷が通過すると風向が南東に変わり、風は急速に弱まりました。また、気圧の谷の通過後、乾燥した空気が入ってきましたが、19時から22時にかけて気温がほとんど下がらなかったため湿度が低くなり、21時44分には日最小湿度25.4%を観測しました。【市役所における6月11日の10分間データ:テキストファイル11KB(下のグラフの元データ)】

 5月の最大風速の記録

最大風速(m/s)
順位 月日 風向 風速
1 2007 05月11日 西北西 13.3
2 1997 05月08日 南西 11.7
3 1996 05月05日 北東 11.3
最大瞬間風速(m/s)
順位

月日

風向 風速
1 2007 05月11日 西北西 28.6
2 1979 05月15日 北北東 26.6
3 1965 05月27日 北西 24.6

※最大風速は1980年1月1日から、最大瞬間風速は1959年9月1日から2007年までの統計

 11日の日立市役所における気象観測値の推移

5月11日の風速の時間変化(日立市役所) 5月11日の風向の時間変化(日立市役所)
5月11日の海面気圧の時間変化(日立市役所) 5月11日の気温と湿度の時間変化(日立市役所)

 参考:地上天気図と500hPa面高層天気図(10日09時と11日09時)

2007年5月10日09時の地上天気図 2007年5月11日09時の地上天気図
2007年5月10日09時の500hPa面高層天気図 2007年5月11日09時の500hPa面高層天気図

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作成日:2007/05/19
一部追加:2013/05/19
名前 日立市天気相談所