日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇一時的に真冬の寒さ

 高気圧におおわれて、中旬から下旬の前半を中心に晴れる日が多くなりました。しかし、上旬と月末には上層の気圧の谷が日本の西にあって高気圧が北に偏って張り出し、雲の多い日が続くときがありました。このため、月の日照時間は141.7時間と平年よりやや少なくなりました(平年比88%)。一方、低気圧が本州付近を通過することがほとんどなかったため、降水量は少なくなりました。特に、11日に本州上を通過した寒冷低気圧の影響で18.5mmの降水量があった以降は、北東風による小雨がちらつくときがあっただけで、降水量0.0mmの日が月末まで続きました。この結果、月降水量は39.5mmと平年の半分以下になりました。

 気温の推移を見ると、10月の下旬に南から暖かい空気が入り気温が平年より高くなりましたが、11月に入ると暖気をもたらした日本の南の高気圧がしだいに弱まり、平年並みに推移するようになりました。15日から16日にかけて本州上を寒冷前線が南下した後、下層へ寒気が入るようになり気温が低くなりました。月末には、日本の南で高気圧が強まり暖かい空気が入りようになって、気温は平年並みに戻りました。この結果、月平均気温は11.4℃と平年より04℃低くなりました。

11月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 11.4 11.8
月降水量(mm) 39.5 81.2
月日照時間(時間) 141.7 161.9
旬別降水量(mm)
降水量 平年値
上旬 21.0 26.0
中旬 18.5 31.0
下旬 0.0 24.1

 15日から16日にかけて寒冷前線が本州上を南下した後、17日、19日、22日と強い寒気が入ってきました。19日の寒気の場合は、関東地方の南に発生した収束域が夕方から北上してきて、19日の夜から20日の朝にかけて雲が広がり弱い雨が降ったため、気温はあまり下がりませんでした。

 一方、22日の寒気の場合は、冬型の気圧配置がしだいに緩み移動性高気圧におおわれてきたため、22日の夜から23日の朝にかけては晴れて風が弱まり、気温が下がりました。日立市役所の23日の最低気温は0.1℃で、この秋になって最も低くなりました。市内の本山、南部支所そして水戸でもこの秋になって最も低い最低気温となりました。特に、南部支所と水戸では、今年の秋になって初めて最低気温が氷点下になりました。また、23日の日中は晴れましたが、日最高気温は11.5℃までしか上がらず、1日の平均気温は5.1℃と1月上旬並みの寒さになりました。下層に入った寒気は、24日の午後から東へ抜けていき、気温はしだいに上がっていきました。

、●今年の秋に入っての最低気温(℃)の記録
日立市役所
順位 最低
気温
時刻
1 11/23 0.1 02:58
2 11/22 0.8 23:53
3 11/24 1.9 01:02
4 11/19 3.9 06:28
5 11/17 3.9 00:45
本山
順位 最低
気温
時刻
1 11/23 -2.4 05:56
2 11/22 -1.5 23:59
3 11/24 -0.7 02:55
11/19 -0.7 06:11
5 11/21 1.4 23:40
南部支所
順位 最低
気温
時刻
1 11/23 -1.2 06:15
2 11/24 -0.3 0.3:42
3 11/19 1.8 04:49
4 11/22 2.0 06:29
5 11/25 2.4 05:39
水戸
順位 最低
気温
時刻
1 11/23 -1.7 06:30
2 11/24 -1.3 05:49
3 11/19 0.5 06:19
4 11/25 1.2 07:01
5 11/17 1.4 05:54

 ※今年の8月1日以降、11月30日現在の最低気温の低い方からの記録。

 参考:10月半ばから11月にかけての日平均気温(日立市役所)と850hPa面の気温(つくば)の推移

10月16日から11月30日にかけての日平均気温の推移(日立市役所) 10月16日から11月30日にかけての850Pa気温の推移(つくば)

 参考:11月22日から23日にかけての日立市役所における気温と風速の変化

11月22日から23日にかけての気温の変化(日立市役所) 11月22日から23日にかけての風速の変化(日立市役所)

 11月7日に上層の気圧の谷が東へ抜けた後、日本付近の上層(500Pa面)には寒気が入るようになりました。しかし、日本付近の上層では西から東への流れが強く、下層(850hPa面)へは寒気の入らない状態が続きました。しかし、15日に上層の気圧の谷が通過して本州上を寒冷前線が南下した後は上層の大気の流れが南北に蛇行するように変わり、下層へも寒気が入ってくるようになりました。

 15日の850hPa面の天気図を見ると、-6℃の等温線は北海道付近にあり、日本海から中国大陸にかけてほぼ東西にのびています。つくばの気温は6.2℃と11月の平年の気温4.1℃よりもやや高くなっています。一方、22日の天気図を見ると-6℃の等温線は日本付近で鍋底状に湾曲し、関東地方から近畿地方まで南下しています。つくばの気温は-5.7℃と15日に比べて10℃以上低く、また2月の平年の気温-4.6℃よりもやや低くて、寒気の程度が強かったことが分かります。

 24日以降は、上層の大気の流れが西から東へ、さらに西南西から東北東へ流れるように変わっていき、南から暖かい空気が入るようになって気温は上がっていきました。

 参考資料:地上天気図と高層(500hPa及び850hPa面)天気図の比較(11月15日と22日)

2007年11月15日09時の地上天気図 2007年11月22日21時の地上天気図
2007年11月15日09時の地上天気図 2007年11月22日21時の地上天気図
2007年11月15日09時の500hPa面高層天気図 2007年11月22日21時の500hPa面高層天気図
2007年11月15日09時の500hPa面高層天気図 2007年11月22日21時の500hPa面高層天気図
2007年11月15日09時の850hPa面高層天気図 2007年11月22日21時の850hPa面高層天気図
2007年11月15日09時の850hPa面高層天気図 2007年11月22日21時の850hPa面高層天気図

y4.gif (1703 バイト)【観測日誌2007年へ】 home_h2.gif (1545 バイト)【ホームページへ】

作成日 2007/12/11
名前 日立市天気相談所