OBSERVATION観測
◇中旬まで肌寒く、下旬は蒸し暑くなる
梅雨前線は本州から離れて南海上に停滞することが多く、上旬から中旬にかけて降水量は少なくなりました。しかし、偏西風が南北に大きく蛇行して中国東北区に上層の気圧の谷が停滞し、本州付近の上層では西南西からの流れが続いて曇りの日が多くなりました。このため、月の日照時間は108.9時間と平年の95%でした。また、21日に本州上を東進した気圧の谷に向かって南から湿った空気が入り71.0mmの雨が降ったものの、月降水量は145.0mm(平年比86%)平年より少なくなりました。
一方、偏西風の蛇行に伴ってオホーツク海で高気圧が強まり、関東地方では冷たい北東風の風が入りやすくなって気温は上がりませんでした。特に、中旬は日本海を寒冷渦がゆっくりと東進した影響で下層にも冷たい空気が入り気温が低くなりました。しかし、寒冷渦が東へ抜けた後、気圧場が変化して南海上で上層の高気圧が強まり、本州付近は暖かい空気におおわれるようになりました。
6月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 19.6 19.1 月降水量(mm) 145.0 169.4 月日照時間(時間) 108.9 114.7
気温の旬変化(℃) 旬 平均気温 旬平年値 上旬 18.3 18.6 中旬 18.1 19.1 下旬 22.4 19.6
真夏日初日 年 月日 最高気温 2007 07/28 30.1 2008 07/05 31.4 2009 06/23 31.6 平年 07/04 -
6月のつくばにおける850hPaの気温の推移を見ると、上旬から中旬にかけてはほぼ平年並みで推移しています。しかし、500hPaの気温の推移を見ると、13日から19日にかけて平年より5℃近く低くなっています。これは、10日から11日にかけて中国東北から沿海州へ南下してきた寒冷渦が、日本きアで動きが遅くなってゆっくりと東へ進んだ影響です。これにともない、オホーツク海で高気圧が勢力を強めて関東地方には北東の風とともに冷たい空気が入り、気温が低くなりました。日立市役所では、14日から19日にかけて日最高気温が20℃前後と5月中旬並みの肌寒い日が続きました
一方、日本の南では20日頃から上層の高気圧が勢力を強めながら西へ張り出すようになってきました。さらに、中国東北区に上層の低気圧が停滞するようになり、この南側を回る形で下層へ中国大陸から暖かい空気が入ってくるようになりました。つくばにおける850hPaの気温の推移を見ると、22日以降は平年の値を上回るようになっています。これに伴い、日立市役所における気温も23日以降は平年を上回るようになりました。特に、23日と26日は西から進んできた下層暖気の塊と南西風によるフェーン現象の影響で気温が上がり、日立市内でも最高気温が30℃を超えました。日立市役所では23日に今年初めて最高気温が30℃を超えました(真夏日初日)が、これは平年よりも11日早いものです。今年の6月は、中旬から下旬にかけて気圧の場が変化して、気温が梅雨寒の陽気から真夏の陽気へと大きく変わりました。
●6月の日立市役所における日平均気温と日最高気温の推移
●6月のつくばにおける09時の500hPaと850hPa気温の推移
※上の4つのグラフの元データ:エクセル2000ファイル(123KB)
●参考:15日と26日09時の地上天気図と500hPa及び850hPaの高層天気図
作成日 2009/07/16
名前 日立市天気相談所