◇月末に一時的に寒くなるも暖かかった10月

　上旬は高気圧と低気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変化しました。中旬に入ると前線や低気圧の影響で曇りや雨の日が多くなりました。しかし、中旬後半には高気圧におおわれ晴れる日が多くなりました。下旬の初めは、本州南岸に停滞する前線の影響を受けて曇りや雨となりました。25日から26日にかけて気圧の谷が通過した後、一時的に冬型の気圧配置となり気温が低くなりました。また、下旬の終わりには台風第14号が関東地方の南を北東へ進み、天気が崩れました。このように、中旬以降曇りや雨の日が多くなったことから、月の日照時間は126.9時間と平年の83％にしかなりませんでした。また、降水量は176.5mm（平年の111％）と平年よりも多くなりました。

　一方、気温の推移をみると、月の前半は暖かい空気におおわれて、気温は平年より高くなりました。このため、上旬の平均気温は19.5℃（平年比+1.2℃）、中旬の平均気温は19.0℃（+2.3℃）と平年よりも高くなりました。月の半ばを過ぎると、気温は徐々に下がっていきました。そして、26日に上層の気圧の谷が東へ抜けた後、下層を中心に強い寒気が入り気温が下がりました。このため、下旬の平均気温は14.2℃と平年より0.8℃低くなりました。この結果、月の平均気温は17.℃と平年より0.9℃高くなりました。

10月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 17.5 16.6 月降水量（mm） 176.5 159.2 月日照時間（時間） 126.9 152.5

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 19.5 18.3 中旬 19.0 16.7 下旬 14.2 15.0

旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 55.9 44.1 中旬 41.1 47.1 下旬 29.9 61.3

　気温の推移を詳しく見ると、月の初めは9月下旬からの寒気が残り気温は平年並みになりました。しかし、4日から月の半ばにかけては南から暖かい空気におおわれ、平年よりも気温が高くなりました。特に、最低気温は4日から16日にかけ17℃前後のほぼ一定した値で推移し、朝の冷え込みがほとんどなかったことを表しています。18日以降、曇りや雨の日が多くなったことから、気温は徐々に下がっていきました。

　25日に低気圧が本州付近を通過して東へ抜けた後、26日にはこの秋になって初めての冬型の気圧配置となりました。26日21時の上層500hPaの気温は、稚内で-36.3℃、札幌で-35.9℃と真冬並みの寒気が入りました。また、850hPa面の0℃の等温線は関東地方北部まで南下してきました。27日になると、上層の気圧の谷は東へ抜けていきました。しかし、大陸から張り出す高気圧の軸がやや北に偏り、下層（850hPa面）へ寒気を送り込みました。つくばにおける850hPa面の気温は、26日09時の9.6℃から27日09時には-2.3℃まで下がりました。これは、10月の09時の気温としては1957年の観測開始以来2番目に低い気温です。

　この寒気の影響で、札幌や青森で初雪を観測するとともに、東北地方から本州中部、中国地方の標高の高い山でも積雪となりました。日立市役所でも26日の11時頃から急速に気温が下がり始め、27日朝の最低気温は4.9℃を記録しました。これは、今年の秋になって最も低い気温です。また、平年の気温と比べると6.1℃低く、11月下旬並みの気温でした。近年は、秋から冬にかけての気温の下がり方が遅くなる傾向にあるため、10月に最低気温が5℃未満になったのは1996年10月27日の4.3℃以来のことです。寒気の南下は一時的で、29日以降気温は上がっていき、31日には平年を上回るようになりました。

　●10月の日立市役所における日平均気温と最低気温の推移

　※上記のグラフの元データ：エクセル2000ファイル（105KB）

　●10月のつくばにおける500hPa及び850hPa面の気温（09時）の推移

　上層500hPa面の気温は月の半ば以降ほとんど下がらず、強い寒気の南下がなかったことを示しています。

　●参考：10月26日と27日09時の地上天気図と気象衛星可視画像

　●参考：10月26日21時と27日の09時の500hPa及び850hPa面高層天気図

※高層の観測データが確定するのは翌月20日ころとされています。それまでは速報値であり、確定時に変わる場合があります。
（高層天気図の気温と観測データとして公表される気温が異なるときがあります。）

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作成日 2010/11/14
名前 日立市天気相談所