OBSERVATION観測
◇月半ばから強い寒気が入る
上旬は日本の南で上層の高気圧が強まり、本州付近を頻繁に低気圧が通過して曇りや雨の日が多く、気温も平年並みからやや低い日が多くなりました。しかし、15日に気圧の谷が東へ抜けた後、日本付近で偏西風の南への蛇行が強まり寒気が入って冬型の気圧配置が続くようになりました。このため、晴れて乾燥した天気が多くなるとともに気温はさらに低くなりました。
この結果、月平均気温は5.6℃と平年を1.7℃下回り、2005年以来の寒い12月となりました。また、12月の気温としては、日立市役所観測開始以来、4番目に低い気温でした。さらに、16日に最低気温が初めて℃未満(冬日)になった後、月末にかけて冬日の日が続くようになり、月の冬日の日数は11日と日立市役所観測開始以来5番目に多い日数となりました。一方、前半に曇りや雨の日が多かった影響で月の日照時間は177.7時間とわずかに平年より少なくなりました。月の降水量は、後半に冬型の気圧配置で晴れる日が続いたことから30.5mmと平年の70%でした。
12月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 5.6 7.3 月降水量(mm) 30.5 43.3 月日照時間(時間) 177.7 184.7
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 7.4 8.7 中旬 5.8 7.1 下旬 3.8 6.2
●12月の気温の記録(日立市役所)
月平均気温(℃) 順位 年 気温 1 2005 4.7 2 1974 5.2 3 1983 5.4 4 2011 5.6 5 1975 5.7 5 1973 5.7 平年値
7.3
下旬平均気温(℃) 順位 年 気温 1 1984 2.8 2 2005 3.4 3 2011 3.8 4 1966 3.9 5 1983 4.1 平年値
6.2
冬日の日数 順位 年 日数 1 2005 16 2 1985 15 2 1956 15 4 1983 13 5 2011 11 平年値
5.8 ※順位は数値の小さい方または多い方からで、1953年から2011年の統計。
つくばにおける上層500hPa(高度約5500m)の気温の推移をみると、11月の終わりから今月の16日にかけては平年より高い日が多くなりました。しかし、16日に気圧の谷が東へ抜けた後、千島近海からオホーツク海に上層の低気圧が停滞するようになり、この西側を回る形で寒気が北から断続j的に日本付近へ入り気温は平年より低くなりました。日ごとの気温の変化を見ると、20日が-32.9℃、25日が-33.9℃、31日が-32.5℃と3回にわたって強い寒気が南下してきたことを示しています。この寒気の影響で日立市役所では16日以降、22日と23日を除いて日平均気温が5℃未満となる真冬並みの寒い日が続きました。
●12月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaの気温(09時)の推移
※上のグラフの元データ:1112data.xls(エクセル2000ファイル、116KB)
14日と最も強い寒気が入った25日の500hPa面の天気図を比べてみると、上層の大気の流れが大きく異なっていることが分かります。14日の500hPa面高層天気図を見ると、偏西風の中心は日本付近にあって西から東へ流れています。また、上層の寒気は北緯40度以北にあります。一方、25日の天気図では日本付近はオホーツク海の低気圧から南へのびる気圧の谷場に入っており、偏西風は日本の西で北から南へ大きく蛇行しています。このため、大気の流れは北西から南東へとなっており、上層の寒気も北緯36度付近まで南下しています。この寒気の入りやすい気圧配置は1月に入っても続き、寒い年明けとなりました。
なお、14日と25日の気象衛星可視画像を比べてみると、寒気の違いが雲の様子に表れているのが分かります。14日の画像では、低気圧に伴うコンマ上の雲が日本海と関東地方の南にある他は雲のない晴れの領域が広がっています。それに対して、25日の画像では日本海から東シナ海及び本州の南海上に寒気に伴う筋状の雲が広がっています。特に、日本海の筋状雲は大陸のすぐ近くから発生しており、上層の寒気が強いことを示しています。
●参考:12月14日と25日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の500hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。
●12月14日と25日10時の気象衛星可視画像
作成日 2012/01/17
名前 日立市天気相談所