OBSERVATION観測
◇北東風による低温
日本付近を低気圧と高気圧が交互に通過し、天気は周期的に変化しました。上旬は、千島付近に停滞する寒冷渦の西側を回り寒気が南下して気温が低くなりました。寒冷渦が弱まった後も、中旬にかけてオホーツク海高気圧から冷たい北東の風が入る時があり、気温は平年より低めに経過しました。下旬に入ると南から暖かい空気が入り、気温は平年を上回るようになりました。この結果、月平均気温は15.3℃と平年より0.8℃低くなりました。
一方、日本付近での低気圧の発達が弱く、移動性高気圧におおわれて晴れる日が多かったことから、月の日照時間は243.0時間(平年比148%)と平年よりかなり多くなりました。これは、観測開始以来1982年の244.9時間に次いで2番目に多い記録でした。それに対して、月の降水量は129.5mm(平年比85%)と平年より少なくなりました。
5月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 15.3 16.1 月降水量(mm) 129.5 152.5 月日照時間(時間) 243.0 163.9
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 12.7 15.3 中旬 15.2 15.8 下旬 17.9 17.1
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 92.8 55.8 中旬 63.1 48.1 下旬 87.1 59.9
●5月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
初めに述べたように、上旬は千島付近に停滞する寒冷渦の影響で気温が低くなりました。上旬の平均気温は12.7℃で平年よりも2.6℃低く、観測開始以来4番目に低い気温となりました。また、その後も冷たい北東風の影響で気温が上がることがなく、月最高気温は24日の23.2℃までしか上がりませんでした。これは、5月の最高気温としてはこれまでで最も低い記録です。
また、高気圧におおわれて晴れる日が多くなり、月の日射量は683.3MJ/m2と平年を大きく上回りました。これは、5月の日射量としてはこれまでで最も多かった1982年5月の243.0/m2を10%近く上回り、観測開始以来最も多くなりました。
●5月の気温、日照時間及び日射量の記録
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※順位は値の大きい方または小さい方からで、1953年から2013年の統計(日射量は1982年から)。
今月の日立市では、冷たい北東風の影響で気温の上がらない日が多くありました。7日の場合は、三陸沖を東進する寒気を伴った低気圧に向かって北西の風が吹く中、一時的に北東の風が入り気温が一気に5℃近く下がりました。また、25日の場合は三陸沖を南下する高気圧から冷たい北東の風が入り、日立市は関東地方の中で最も最高気温が低くなりました。なお、この他に1日、11日及び17日にも北東風の影響により気温が上がりませんでした。また、2日から4日にかけては千島近海に停滞した寒冷渦の影響により、気温の上がらない日が続きました。
6日に上層の気圧の谷が北日本を東へ進んだ後、三陸沖で気圧の谷が深まり、7日の関東地方は西高東低の気圧配置となって北西の風がやや強く吹きました。気圧の谷の西側を回り寒気が本州付近へ入りましたが、北西の風が吹いてよく晴れたため、内陸部では19℃近くまで気温が上がりました。日立市役所でも、9時には15℃まで気温が上がりました。しかし、9時30分になると風向が北北西から北東に変わり、11時には9.7℃まで気温が下がりました。13時になると風向が北北西に戻り、気温は16℃まで上がりました。
一方、水戸では日立市役所から2時間ほど遅れて11時過ぎから東寄りの風に変わるとともに気温が下がりました。それに対して、古河では西北西の風が吹き続け、気温の下がることはありませんでした。
●5月7日の気温(℃)の記録
地点 | 日平均気温 | 最高気温 | 最低気温 | |||||
平均気温 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | |
日立市役所 | 11.7 | 15.3 | 16.2 | 13:36 | 19.6 | 6.1 | 23:58 | 11.2 |
南部支所 | 11.9 | - | 16.0 | 09:40 | - | 7.7 | 23:14 | - |
会瀬 | 11.6 | - | 16.7 | 13:23 | - | 6.2 | 23:23 | - |
水戸(金町) | 12.3 | 15.6 | 17.2 | 10:51 | 20.6 | 7.3 | 23:49 | 10.9 |
●参考:5月7日の気温と風向の推移(10分値)
※上のグラフの元データ:130507da.xls(エクセル2000ファイル、453KB)
●参考:5月7日12時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:5月7日09時の地上天気図と09時の500hPa面高層天気図
25日は、日本の東へ進んだ寒冷渦の西側を回る形で、オホーツク海から高気圧が南下してきて日本付近をおおいました。寒冷渦が下層に寒気を伴っていたことと、三陸沖から鹿島灘にかけて海水温が平年よりも低くくなっていたことから、関東地方では北東の風が入り始めた24日の午後から気温が下がっていきました。25日の日中も冷たい北東風の影響が残り、関東地方では晴れたにもかかわらず最高気温は23℃前後までしか上がりませんでした。特に、北東風の直接の影響を受けた茨城県の沿岸部では、最高気温が16℃前後までしか上がりませんでした。25日の関東地方における最高気温は、日立市役所と奥日光で15.2℃、那須で15.5℃、北茨城で15.6℃と、茨城県の沿岸部と栃木県の山岳部で最も気温が低くなりました。
日立市役所における気温の推移をみると、24日の14時前から北東の風がやや強く吹き始めるとともに気温は5℃近く下がりました。その後も夕方にかけて気温は下がっていき、20時には13℃まで気温は下がりました。25日の朝にかけては、気温は12℃前後でほとんど変化しませんでした。25日は、朝から昼過ぎにかけて快晴の天気となりました。しかし、冷たい北東風の影響で気温は朝から3℃程しか上がりませんでした。この日の最高気温は、12時15分に記録した15.2℃で4月上旬並みの気温でした。26日になると高気圧は日本の東へ進み、関東地方には南寄りの風が入るようになって気温も平年並みに戻りました。
●5月25日の気温(℃)の記録と関東地方の最高気温(低い方から)
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●参考:5月24日から25日の気温と風向の推移(10分値)
※上のグラフの元データ:130525da.xls(エクセル2000ファイル、696KB)
●参考:5月25日14時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:5月25日09時の地上天気図と850hPa面高層天気図
作成日 2013/06/10
名前 日立市天気相談所