OBSERVATION観測
◇オホーツク海高気圧の勢力が強く、気温の低い日が多くなる
上旬は北から高気圧におおわれ、晴れる日が続きました。しかし、冷たい北東気流の影響で、気温は平年より低くなりました。中旬に入ると、関東地方の南に低気圧が停滞し南から湿った空気が入るようになり、曇りや雨の日が多くなりました。また、南から暖かい空気におおわれ、気温は平年より高くなりました。その後、中旬の終わりから南海上に前線が停滞するようになり、ぐずついた天気が続きました。下旬の後半はオホーツク海高気圧が張り出してきて晴れる日が多くなるとともに気温も低くなりました。
上旬の気温は平年より低くなったものの、中旬の気温が高かったことから月平均気温は19.3℃と平年並みになりました。また、上旬と下旬に晴れる日が多かったことから、月の日照時間は132.0時間(平年比117%)と平年より多くなりました。一方、低気圧や前線が陸地から離れて通過、停滞したことから、月降水量は112.0mm(平年比68%)と平年より少なくなりました。なお、オホーツク海高気圧の張り出しや前線が南海上に停滞することが多かったことから、北東の風が多くなりました。月の風向頻度における北東の風向の割合は28.3%で、平年の倍近くになりました(下図の風向頻度分布参照)。
6月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 19.3 19.2 月降水量(mm) 112.0 165.1 月日照時間(時間) 132.0 113.3
旬平均気温(℃) 順位 観測値 平年値 上旬 17.5 18.3 中旬 20.6 19.3 下旬 19.9 20.1
旬日照時間(時間) 順位 観測値 平年値 上旬 70.4 48.5 中旬 17.7 36.3 下旬 43.9 28.5
●6月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●6月の日立市役所における日照時間の推移と風向頻度分布
今年の5月は冷たい北東気流が入り、前半を中心に気温が低くなりました。このため、5月の最高気温は24日の23.2℃で、25℃を超えた日はありませんでした。6月に入っても冷たい北東気流の影響が続き、晴れる日が続いたものの気温は低く推移しました。しかし、中旬に入ると中国大陸で偏西風が南へ大きく蛇行するようになり、日本の上層では大気の流れが南西から北東への流れとなって南から暖かい空気が入るようになりました。このため、北日本の太平洋側から関東地方を除いて気温が高くなり、最高気温が30℃を超えるようになりました。一方、関東地方では南海上を北上してきた台風第3号が、上層の高気圧に進路をさえぎられて東海道沖で停滞したこともあって南から湿った空気が入り、天気がぐずつき気温も上がりませんでした。
日立市役所でも、12日から14日にかけては北東の風が吹いて弱い雨が降り、最高気温は上がりませんでした。12日と13日の最高気温は20.8℃、14日の最高気温は24.4℃でした。しかし、14日の夜になると風向が南西に変わりました。このため、14日の夕方から15日の朝にかけて、気温はほとんど下がりませんでした。15日は昼前から晴れたこともあって一段と気温が上がり、13時14分には最高気温26.4℃を記録しました。これは、今年になっての最高気温であるとともに、今年初めての夏日(最高気温25℃以上の日)となりました。日立市役所における夏日初日(その年、初めて夏日となった日)は昨年の6月15日に次いで2年連続して遅くなり、日立市役所観測開始以来3番目に遅い記録となりました。
●今年の日最高気温(℃)と夏日初日の記録
日最高気温 順位 気温 月日 時刻 1 27.4 06/18 10:21 2 26.4 06/15 13:14 3 25.9 06/19 14:21 4 25.0 06/25 12:28 5 24.9 03/10 12:55
夏日初日 順位 年 月日 気温 1 1984 06/19 27.4 2 2012 06/17 28.3 3 2013 06/15 26.4 4 1976 06/08 25.1 4 1968 06/08 26.0 ※最高気温は、6月30日現在の値。順位は数値の高い方及び月日の遅い方から
気圧配置から見ると、今月の前半は日本海からオホーツク海に高気圧が現れる日が多くなりました(下の5日の天気図照)。一方、梅雨前線は日本の南に停滞しましたが、下の気象衛星画像で見るとおり活動は活発ではなく、北日本から東日本の日本海側を中心に晴れる日が多くなりました。ただ、関東地方では中旬の前半は南海上に台風第3号から変わった低気圧が停滞したため(下の12日の天気図参照)、曇りや雨の日が続きました。
月の後半に入ると、北緯40度線上を寒冷渦がゆっくりと東へ進み、この南側の日本付近を偏西風が通るようになりました。そして、偏西風に沿って西から湿った空気が流れ込むようになり、梅雨前線は本州上に停滞して梅雨の最盛期を迎えました。
●参考:5日、12日及び19日の天気図の比較
6月5日09時の地上天気図 | 6月5日09時の500hPa面高層天気図 |
6月12日09時の地上天気図 | 6月12日09時の500hPa面高層天気図 |
6月19日09時の地上天気図 | 6月19日09時の500hPa面高層天気図 |
●参考:6月5日10時の気象衛星可視画像
●参考:6月12日10時の気象衛星可視画像
●参考:6月19日10時の気象衛星可視画像
◇風向の変化に伴う気温の変動
今月の中旬後半は本州上に前線が停滞したため、前線の南北への移動に伴って日立市では風向が南西または北東に変化し、それにあわて気温も上下しました。19日の場合を例にとってみてみると、関東地方南部は西からのびてきた前線の南側に入り、1日中南西の風が吹いて気温も28℃前後まで上がりました。
一方、前線の北側に入った日立市では、前日の午後から北西または北東の風が吹きました。19日の日中になると前線上を小さな低気圧が東へ進んできたため、前線がやや北上して日立市も前線の南側に入りました。このため、9時〜14時にかけて西南西の風が吹き、気温も5℃近く上がりました。低気圧が東へ抜けた夕方には前線は南下し、風向が北東へ変わるとともに気温も下がりました。なお、内陸部の古河では日立市のような明瞭な風向の変化は見られず、気温も徐々に上がっていきました。また、気温が下がる時刻は日立市よりも1時間ほど遅くなりました。
●6月19日の気温と風向の推移(10分値)
※上のグラフの元データ:130619da.xls(エクセル2000ファイル、447KB)
●参考:6月19日15時のアメダスによる気温と風の分布
作成日 2013/07/09
名前 日立市天気相談所