OBSERVATION観測
◇冬型の気圧配置が続き、雨が少なく乾燥した天気が続く
日本付近では偏西風が平年より南寄りを流れ、西日本を中心に寒気が入りやすくなりました。このため、冬型の気圧配置となる日が多く、晴れて乾燥し天気が続きました。上旬は下層への寒気の流れ込みが弱く、気温は平年を上回りました。しかし、13日に低気圧が日本海を進んだ後は下層へ寒気が入るようになり、気温が低くなりました。特に、下旬は上層から下層まで強い寒気が入り気温が低くなりました。この結果、月平均気温は7.2℃と平年並みになりました。
また、晴れて乾燥して天気が続いたことから、降水量は23.0mm(平年比53%)と平年の半分程度になりました。一方、下旬の後半に動きの遅い寒冷渦が本州上を東へ進み天気がぐずついたことから、月の日照時間は190.4時間(平年比103%)と平年並みになりました。なお、降水量と月平均湿度は過去5年間の中では最も少なくまたは低くなっています。反対に、日照時間と日射量は最も多くなっています。
12月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 7.2 7.3 月降水量(mm) 23.0 43.3 月日照時間(時間) 190.4 184.7
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 9.6 8.7 中旬 6.6 7.1 下旬 5.6 6.2
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 63.0 56.5 中旬 53.3 59.3 下旬 74.1 68.9 ●過去5年間の12月の降水量、平均湿度、日照時間及び日射量
年 降水量(mm) 平均湿度(%) 日照時間(時間) 日射量(MJ/.m2) 2009 100.5 60.7 181.3 278.9 2010 130.5 61.2 184.5 276.4 2011 30.5 57.5 177.7 255.8 2012 58.0 58.1 165.3 244.3 2013 23.0 54.3 190.4 277.7 平年値 43.3 58.7 184.7 252.2
●12月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●12月の日立市役所における日平均湿度と日照時間の推移
最初に述べたように、11月中旬から日本付近で偏西風が南へ蛇行するようになり、寒気の入りやすい状態が続きました。ただ、偏西風の位置が平年より南寄りとなったため、寒気は西日本を中心に入りました。このため、日立市では気温がそれほど低くなりませんでした。また、中旬の後半を除いて冬型の気圧配置となることが多かったことから、日立市では北西の季節風が吹くことが多くなりました。西側に山がある影響で、日立市役所では西寄りの風が吹くと気温の下がり方が鈍くなるため、なかなか氷点下の気温となる日(冬日)が現れませんでした。日立市役所で今季初めて冬日となったのは上層から下層まで強い寒気の入った24日で、夜の23時40分に最低気温-0.1℃まで下がりました。これは、平年の冬日初日(12月14日)より10日遅く、過去5年間の中では2010年の12月25日に次いで遅い記録です。
一方、市役所から南へ約2?離れた日立会瀬(アメダス日立)では、北日本を通過した気圧の谷の後面から下層へ寒気の南下してきた14日に最低気温-0.7℃を記録しています。また、市の南部の南部支所では冬日初日はさらに早くなって、移動性高気圧におおわれ放射冷却の強まった9日に最低気温-0.8℃まで下がっています。
このように、日立市役所は地形の影響で他の地点に比べて気温の下がり方が鈍く、冬日の日数もかなり少なくなっています。日立市役所における今年の12月の冬日の日数は3日で、過去5年間の中では2010年の1日に次いで少なくなりまし。一方、南部支所では15日、水戸では17日と月の半分近くが冬日でした。
●2009年から2013年の12月の気温と冬日の日数
年 日立市役所 南部支所 水戸(金町) 気温 冬日の
日数気温 冬日の
日数気温 冬日の
日数月平均 月最低 日最低の
月平均月平均 月最低 日最低の
月平均月平均 月最低 日最低の
月平均2009 7.5 -1.9 3.8 6 6.6 -4.3 2.2 10 6.1 -5.4 1.4 12 2010 8.5 -0.5 4.5 1 7.4 -2.8 2.6 9 7.3 -2.8 2.3 8 2011 5.6 -2.2 1.6 11 4.8 -5.2 0.2 19 4.4 -5.9 -0.6 20 2012 6.1 -2.6 2.1 8 4.8 -4.7 0.0 17 4.5 -5.0 -0.4 19 2013 7.2 -1.3 3.1 3 5.9 -4.0 0.8 15 5.5 -4.4 0.0 17 平年値 7.3 - 2.8 5.8 - - - - 5.4 - 0.2 16.2
◇西風が朝の冷え込みを妨げる
上層の気圧の谷が27日から28日にかけて日本付近を東へ進んだ後、29日には寒冷渦に変わってオホーツク海で停滞しました。この寒冷渦の西側を回り、27日にから29日にかけて日本付近へ強い寒気が南下し、全国的に気温が低くなりました。この寒気は30日には東へ抜けました。しかし、大陸の高気圧が日本の南へ張り出すようになって関東地方では北西の季節風が弱まったため、30日と31日の朝は内陸部を中心に冷え込みが強まりました。特に、30日の朝は茨城県西部から千葉県にかけて気温が-5℃前後まで下がり、今季の最低気温を記録したところが多くありました。
茨城県内のアメダス観測地点15か所における30日の最低気温は、大子で-7.2℃、下妻で-5.8℃など7地点で今季の最低気温を記録しました。また、日立会瀬(最低気温3.4℃)と高萩(最低気温1.6℃)を除く13地点で0℃未満となりました。31日の最低気温は大子で-5.5℃、常陸大宮上小瀬で-5.3℃など、30日よりもやや高くなったものの、日立会瀬(最低気温3.4℃)と鹿島(最低気温0.3℃)を除く13地点で0℃未満となりました。
日立市役所における気温の推移を見ると、28日の最低気温は-1.3℃、29日は-1.2℃と今季1位と2位の低い気温を記録しました。29日の夕方からも気温は下がり出し、20時20分には1.2℃まで下がりました。しかし、20時30分頃から西の風がやや強く吹き始めると、気温は2.5℃近く上がりました。その後、30日の12時まで風のやや強い状態が続いたため、気温は30日の朝にかけて4℃前後で推移し、ほとんど下がりませんでした。この結果、日立市役所における30日の最低気温は04時26分の3.6℃と水戸よりも8℃高くなりました。
30日の昼から夕方にかけては風が収まり、気温も16時00分から17時30分にかけて下がっていきました。しかし、18時を過ぎると再び西の風がやや強く吹き始め、31日の朝にかけて風の強い状態が続きました。このため気温は下がらなくなり、31日の朝にかけて6℃前後で推移しました。この結果、日立市役所における31日の最低気温は00時33分の5.2℃と、前日と同じように水戸よりも8℃高くなりました。なお、日立市内でも風の影響を受けない南部支所では、30日の最低気温-3.4℃、31日の最低気温は-1.8℃まで下がりました。
●12月28日〜31日の最低気温(℃)
地点 | 28日最低気温 | 29日最低気温 | 30日最低気温 | 31日最低気温 | ||||||||
気温 | 時刻 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | |
日立市役所 | -1.3 | 07:00 | 1.3 | -1.2 | 06:53 | 1.2 | 3.6 | 04:26 | 1.1 | 5.2 | 00:33 | 1.0 |
南部支所 | -2.4 | 23:33 | - | -4.0 | 06:55 | - | -3.4 | 07:32 | - | -1.8 | 04:06 | - |
会瀬 | -0.2 | 05:44 | - | -1.0 | 07:13 | - | 3.4 | 23:59 | - | 3.4 | 00:17 | - |
水戸(金町) | 0.4 | 07:53 | -1.3 | -3.5 | 07:26 | -1.4 | -4.4 | 07:12 | -1.5 | -2.9 | 05:58 | -1.6 |
●今年の秋以降の最低気温(℃)の記録
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●12月28日〜31日の気温の推移(10分値)
●12月28日〜31日の風速の推移(10分値)
※上の気温と風速の推移グラフの元データ:13131da.xls(エクセル2000ファイル、1105KB)
●参考:12月30日07時と31日07時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:12月28日〜31日06時の地上天気図と27日〜30日21時の500hPa面高層天気図
※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の500hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。
作成日 2014/01/09
名前 日立市天気相談所