OBSERVATION観測
◇暖かかった晩秋
低気圧と高気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わりました。ただ、上旬は気圧の谷や本州南岸にのびる前線の影響で、曇りや雨の日が多くなりました。また、下旬には気圧の谷の影響で天気のぐずつく時がありました。一方、中旬は寒気が南下してきて冬型の気圧配置となり晴れる日が続きました。この結果、月の日照時間は148.6時間(平年比94%)と、ほぼ平年並みになりました。日本付近で低気圧の発達が弱かったことから、月の降水量は60.0mmと平年の77%でした。気圧の谷に伴って南から暖かい空気が入ることが多く、中旬を除いて気温は平年より高くなりました。このため、月平均気温は13.2℃と平年より1.3℃高くなりました。
11月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 13.2 11.9 月降水量(mm) 60.0 78.3 月日照時間(時間) 148.6 157.9
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 15.6 13.7 中旬 11.5 11.8 下旬 12.4 10.1
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 45.9 52.5 中旬 63.7 50.0 下旬 39.0 55.4
●11月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●11月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
今年の11月は、例年のように強い寒気の南下がなく天気のぐずつく日が多かったことから、朝の冷え込みがほとんどありませんでした。日立市役所における月最低気温は19日と20日の4.4℃で、11月の最低気温としては観測開始以来最も高くなりました。また、日最低気温の月平均も9.7℃と平年(7.7℃)より2.0℃高く、最近では2004年の10.3℃に次いで高くなりました。
特に、下旬は南からの暖かい空気が上層から下層にかけて入り、朝の冷え込みがなくなるとともに日平均気温も10℃を上回る日が続きました。このため、下旬の平均気温は12.4℃と平年より2.3℃高くなり、1999年以来の暖かい晩秋となりました。
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※気温(単位:℃)の順位は数値の大きい方からで、1953年〜2014年の統計。
◇冷たい雨が降り続く(11月25日〜26日)
24日に移動性高気圧が日本の東へ抜けた後、弱い上層の気圧の谷が東シナ海から本州上へ進んできました。これに伴って、24日の朝に華中で低気圧が発生し、25日の朝には九州北部へ進んできました。このため、日立市でも25日の6時頃から弱い雨が降り出し、夜にかけて降り続きました。
上層の気圧の谷は、低気圧に先行して25日の夜には東日本を通過して東海上へ抜けました。しかし、25日の夜には次の上層の気圧の谷が華中へ進んできたため、低気圧は気圧の谷を待つ形で四国から紀伊半島の南をゆっくりと東へ進みました。上層の気圧の谷は比較的速い速度で東へ進み、26日の夜には東日本を通過しました。これに伴って、低気圧も26日の夜遅くには関東地方の東へ抜けました。このため、日立市では前日からの雨が27日未明まで降り続きました。低気圧は東海上へ抜けるまで発達しなかったことから、日立市では雨が強まることはありませんでした。日立市内における、25日から27日にかけての総降水量は23.0〜44.5mmでした。
一方、低気圧の発達はなかったものの、北の高気圧との間で気圧傾度が大きくなったことから、日立市では25日の朝から27日の明け方にかけて北東の風がやや強く吹きました。日立市役所における最大瞬間風速は、26日19時52分に記録した北北東の風23.1m/sでした。これは、今年に入ってからの瞬間風速としては、2月15日の南岸低気圧により記録した北東の風24.7m/sに次いで強い風でした。また、11月の瞬間風速としては観測開始以来6番目に強い風でした。なお、市役所以外の市内の観測地点の風速は、いずれも市役所より弱く、特に市役所より北の北部消防署と十王交流センターは市役所の半分程度の風速でした。
北東の風に伴って冷たい空気が引き込まれたことから、25日から26日にかけて関東地方では気温がほとんど上がりませんでした。日立市役所における気温の推移を見ると、25日の朝には13℃近くあった気温は、7時過ぎから下がり始めて13時過ぎには10℃を下回りました。その後、26日の夜にかけて9〜10℃の間で推移しました。このため、26日の最低気温は8.9℃、最高気温は10.2℃と、ほとんど気温の変化がありませんでした。
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※風速の単位はm/s。また、日立市役所における最大瞬間風速の順位は1959年9月1日以降の統計。
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日降水量 |
総降水量 |
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25日 | 26日 | 27日 |
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日時 | ||
日立市役所 | 8.5 | 24.0 | 0.5 | 33.0 | 6.0 | 26日07時05分 |
十王交流センター | 11.0 | 33.5 | - | 44.5 | 7.5 | 26日07時04分 |
北部消防署 | 9.0 | 33.5 | - | 42.5 | 7.0 | 26日06時54分 |
本山 | 8.5 | 24.5 | 0.5 | 33.5 | 4.5 | 26日07時17分 |
西部支所 | 7.0 | 16.0 | - | 23.0 | 3.5 | 26日04時51分 |
諏訪広場 | 7.0 | 22.0 | - | 29.0 | 6.0 | 26日07時13分 |
南部支所 | 8.5 | 15.0 | - | 23.5 | 3.0 | 26日08時44分 |
日立会瀬 | 10.0 | 29.0 | - | 39.0 | 7.0 | 26日07時08分 |
水戸(金町) | 11.5 | 22.0 | 0.0 | 33.5 | 4.5 | 26日03時41分 |
※総降水量は、25日00時〜27日03時までの合計。
●11月25日〜27日の風速の推移と11月26日の日立市内の最大瞬間風速
●11月25日〜27日の気温と気圧の推移
●参考:11月26日14時と20時のアメダスによる風と気温の分布
11月26日の昼から夜にかけて、関東地方では房総半島から水戸にかけての地域を除いて気温がほとんど変わらなかった。また、内陸部を除いて北北東から北北西の風が、終日強く吹いた。
●参考:11月25日、26日及び27日10時00分の気象衛星可視画像
24日の朝には高気圧が関東地方の東へ抜けたため、日立市では24日の未明から雲が広がった。その後、上層の気圧の谷が近づいてきた25日の朝からは弱い雨が降り出した。気圧の谷は、25日の夜には東へ抜けた。しかし、次の上層の気圧の谷が朝鮮半島から本州上へ進んできたため、26日も雨が降り続いた。27日の朝には気圧の谷が東へ抜け、日立市では朝から夜にかけて晴れた。
●参考:11月25日と26日09時00分の気象衛星水蒸気画像
●参考:11月25日と26日09時の500hPa面高層天気図
※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の500hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。
●参考:11月23日21時から27日09時の地上天気図
作成日 2014/12/10
名前 日立市天気相談所