◇晴れて暖かい日が多くなる

　低気圧は日本の北を通ることが多く、本州付近は移動性高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。また、低気圧に向かって南西から暖かい空気が流れ込んだことから、全国的に気温が高くなりました。日立市役所でも、日平均気温が平年を下回ったのは5日、11日、21日、25日の4日しかありませんでした。このため、月平均気温は18.2℃と平年より2.1℃高くなりました。これは、5月の平均気温としては1961年の18.3℃に次いで、観測開始以来2番目に高い気温でした。また、晴れる日が多かったことから、月の日照時間は230.5時間（平年比141％）と平年よりかなり多くなりましました。反対に、月の降水量は127.0mm（平年比83％）と平年より少なくなりました。

5月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 18.2 16.1 月降水量（mm） 127.0 152.5 月日照時間（時間） 230.5 163.9

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 17.1 15.3 中旬 18.3 15.8 下旬 19.2 17.1

旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 81.4 55.8 中旬 72.3 48.1 下旬 76.8 59.9

　●5月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●5月の日立市役所における日照時間の推移と5月の日射量の年推移

　今年の5月は、初めに述べたように高気圧におおわれて晴れる日が多く、日照時間は平年をかなり上回りました。ただ、上層の気圧の谷が頻繁に通過した影響で雲の広がる日もあったことから、5月の日照時間としては多い方から7番目の記録でした。しかし、平年に比べると空気が乾燥していて視程が良かったことから、月の日射量は703.9MJ/m²（平年比134％）と平年を大きく上回りました。これは、5月の日射量としてはこれまでで最も多かった昨年2013年5月の683.3/m²を上回って、観測開始以来最も多い記録になりました。

　なお、近年の5月は晴れる日が多く、日射量の多い年が続いています。2013年5月の日射量は683.3MJ/m²、2014年5月の日射量は631.0MJ/m²と平年を20から30％上回り、この3年間の5月の日射量が多い方からの第1位から第3位を占めています。

　●5月の平均気温（℃）と日照時間（時間）及び日射量(MJ/m²)の記録

　※順位は値の大きい方からで、1953年から2015年の統計（日射量は1982年から）。

◇5月の日立市内の気温と降水量

　5月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが2番目に高くなっています。山間部にある本山と標高の高い諏訪広場及び海に近い北部消防署は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は17.2℃で、水戸の月平均気温18.8℃よりも1.6℃低くなりました。4月に比べると、水戸の気温は日立市役所よりも高くなっており、水戸の方が暖候期へ向けての気温の上昇が早いことを示しています。

　一方、月の降水量の市内平均は127.7mmで、4月の平均降水量91.4mmよりも40％多くなりました。観測地点の間の差も4月より小さくなっており、最も降水量の多かった十王交流センターの132.0mmに対して、最も少なかった南部支所は101.5mmと1.3倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量122.7mmに対して、水戸の月降水量は112.5mmと10％ほど少なくなりました。

　●5月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

5月の気温（℃）の記録 観測地点 平均 気温 最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 18.2 26.8 14 11:03 8.0 11 04:36 十王交流センター 18.0 26.9 31 09:52 7.8 11 04:14 北部消防署 16.5 24.6 14 17:06 7.3 11 04:02 本山（中学校跡） 16.3 28.9 14 12:23 4.3 11 03:37 西部支所 17.3 29.4 14 13:20 3.8 06 04:33 諏訪広場 16.4 28.3 14 11:02 6.0 11 04:09 南部支所 17.4 28.1 14 11:44 6.6 06 04:18 上記7地点の平均 17.2 - - - - 日立会瀬 18.1 27.1 14 10:54 7.6 11 04:36 水戸（金町） 18.8 29.9 14 14:20  7.3 06 05:21

5月の降水量（mm）の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 127.0 42.0 19 35.0 13 00:06 十王交流センター 132.0 42.5 19 35.0 13 00:04 北部消防署 130.5 43.0 19 39.5 13 00:11 本山（中学校跡） 127.0 38.5 19 29.0 12 23:52 西部支所 113.5 39.0 19 28.0 12 23:45 諏訪広場 127.5 42.5 19 28.5 13 00:07 南部支所 101.5 40.5 19 23.5 13 00:05 上記7地点の平均 122.7 - - - - 日立会瀬 137.5 41.0 19 35.5 13 00:06 水戸（金町） 112.5 42.0 12 32.0 12 23:58

　※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

◆海風と気温の変化（14日）

　12日夜から13日未明かけて、台風第6号から変わった低気圧が関東地方を通過しました。低気圧の通過に伴って下層へ暖かい空気が入ったことから、関東地方では13日、14日と内陸部を中心に気温が上がり、最高気温が30℃を超えた所もありました。各地の13日の最高気温は、群馬県館林で30.2℃、埼玉県熊谷で30.0℃、14日の最高気温は、群馬県前橋で32.5℃、館林で32.4℃などでした。

　一方、13日の日立市は南東の風が入った影響で、気温はあまり上がりませんでした。13日の日立市内の最高気温は、諏訪広場の19.6℃から西部支所の23.0℃でした。14日になると南から西の風に変わったことから、最高気温は24.6℃（北部消防署）から29.4℃（西部支所）まで上がり、各地点とも今年の最高気温となりました。ただし、沿岸部では東寄りの風が入る時があり、風向の変化に伴って気温が上下しました。

　14日の日立市役所における気温の推移をみると、13日の夜遅くから西風がやや強く吹きだしたため、14日の明け方にかけて気温はほとんど下がらず20℃前後で推移しました。日の出の4時30分頃から気温は上がり始め、6時50分には24.7℃まで気温が上がりました。なお、6時のアメダスによる気温分布をみると、日立会瀬の気温が23.0℃と関東地方で最も高くなっています。6時50分を過ぎると、東の風に変わるとともに気温は4℃近く下がりました。その後、気温は再び上がり始めて11時03分には最高気温26.8℃を記録しました。この後、風向が南へ変わり気温は3℃ほど下がった後、夕方にかけて25℃前後の気温で推移しました。

　日立市内の他の地点の内、北部沿岸部の十王交流センターと北部消防署の2地点は、風向によって気温が変動しながら夕方にかけて上昇していき、17時過ぎに最高気温を記録しました。市役所より南に位置する諏訪広場と南部支所の2地点では、昼前まで西寄りの風が吹いていたため最高気温は12時前に記録しました。最高気温を記録した後は風向が南に変わり、市役所と同様に気温は下がりました。一方、山間部にある本山と西部支所では沿岸部のような気温の変動はなく、昼過ぎにかけて気温は上がり続けて最高気温は13時前後に出ています。

　日立市役所は、日立市内の中でも風向による気温の変化が著しい地点です。14日の場合も、西風が強く吹いた明け方は気温が気温が下がらず、6時の気温は関東地方の中で最も高くなりました。反対に、南東の風に変わった日中は気温が上がりませんでした。関東地方で気温が上がり、最高気温が30℃を超える地点が多く出た5月26日から31日にかけての日最高気温をみても、日立市役所では北東から南東の風が入った影響で、気温はあまり上がりませんでした。なお、市内の観測地点の中で最も海風の影響が大きいのは北部消防署で、この期間の最高気温は25℃を超えることがありませんでした。反対に最も気温が上がったのは西部支所で、水戸と同じ程度まで最高気温が上がりました。

　●5月26日から31日の日最高気温（℃）の比較

　※背景が赤色は気温が30℃以上、桃色は25℃以上を表す。

　※日立会瀬、水戸（金町）、古河は気象庁の観測地点。

　※2015年1月1日以降、5月31日現在の最高気温の高い方からの記録。

　●5月14日の気温と風速の推移（水戸、つくばとの比較：10分値）

　●5月14日の日立市内の気温の推移（10分値）

　●参考：5月14日06時と14時のアメダスによる気温と風の分布

　●参考：5月14日09時の地上天気図と12時の気象衛星可視画像

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作成日 2015/06/11
名前 日立市天気相談所