OBSERVATION観測
◇月の後半、気温が高くなる
本州付近は高気圧におおわれて、晴れる日が多くなりました。ただ、関東地方では上旬後半から中旬前半にかけて、本州南岸が気圧の谷場となり天気がぐずつきました。また、下旬の半ばには動きの遅い寒冷渦の影響で、曇りや雨の日が続きました。この結果、月の日照時間は175.7時間(平年比107%)とほぼ平年並みになりました。一方、本州付近での低気圧の発達は弱く、大雨となる日がなかったことから、月降水量は87.0mm(平年比57%)と平年より少なくなりました。月の後半は南から高気圧におおわれ、下層へ暖かい空気が流れ込み気温が高くなりました。このため、月平均気温は17.9℃と平年より1.8℃高くなりました。これは、5月の平均気温としては観測開始以来第3位の高い気温です。
5月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 17.9 16.1 月降水量(mm) 87.0 152.5 月日照時間(時間) 175.7 163.9
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 16.6 15.3 中旬 17.2 15.8 下旬 19.7 17.1
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 65.8 55.8 中旬 49.0 48.1 下旬 60.9 59.9
●5月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●5月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
今年の5月も、寒冷渦が通過して一時的に寒気が入り気温が低くくなる日がありました。しかし、それ以外の日は日本の北を通った低気圧に向かっ て南から暖かい空気が流れ込みやすかったことから、気温が高くなりました。特に、月の後半には南から高気圧におおわれて下層へ暖気が入り、気温がかなり高くなりました。下旬の平均気温は19.7℃と平年より2.6℃高く、5月下旬の気温としては観測開始以来2番目に高い気温となりました。
なお、2015年と2016年の5月も全国的に気温が高くなりました。特に、2015年は東日本(平年比+2.1℃)で、2016年は北日本で(平年比+2.0℃)、1946年の統計開始以来5 月としては最も高温となりました。それに対して、今年の5月は天気がぐずついて一時的に気温の低くなる時があったため、記録を更新するほどの高温とはなりませんでした。それでも、北日本で平年比+1.7℃、東日本で平年比+1.5℃、西日本で平年比+1.0℃と、平年よりかなり高い気温となりました。
日立市役所における月平均気温も、2015年は18.2℃(平年比+2.1℃)と観測開始以来2番目に高い気温でした。2016年は17.5℃と2015年よりも0.7℃低くなったものの、今年(2017年)は17.9℃と再び気温が高くなりました。
●5月の気温(℃)の記録
|
|
|
※順位は値の大きい方からで、1953年から2017年の統計。
◇5月の日立市内の気温と降水量
5月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが2番目に高くなっています。山間部にある本山と西部支所、標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は16.5℃で、水戸の月平均気温18.7℃よりも2.2℃低くなりました。4月と比べると、水戸と日立市役所の気温差は大きくなっており、水戸の方が暖候期へ向けての気温の上昇が早いことを示しています。なお、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は83.1mmで、4月の平均降水量111.1mmよりも25%近く少なくなりました。観測地点の間の差は4月とほぼ同じで、最も降水量の多かった本山の104.5mmに対して、最も少なかった南部支所は70.0mmと1.5倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量83.1mmに対して、水戸の月降水量は95.5mmと10mmほど多くなりました。
●5月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
5月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 17.9 27.5 22 09:18 7.5 02 0313 十王交流センター 17.6 28.1 11 10:03 5.9 02 05:07 北部消防署 16.2 25.4 08 17:00 5.4 02 04:59 本山(中学校跡) 15.1 28.8 22 1134 3.1 02 05:06 西部支所 15.8 28.9 22 1150 3.0 02 04:25 諏訪広場 15.7 28.0 22 09:51 4.1 02 03:18 南部支所 17.0 28.2 08 14:27 5.9 02 05:26 上記7地点の平均 16.5 - -
- -
日立会瀬 17.7 27.7 22 09:03 7.2 02 04:33 水戸(金町) 18.7 31.1 22 14:34 6.9 02 04:40
5月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 87.0 67.0 13 8.5 13 11:26 十王交流センター 85.0 69.0 13 8.5 13 1133 北部消防署 75.5 61.5 13 7.0 13 11:37 本山(中学校跡) 104.5 84.0 13 11.5 13 10:14 西部支所 83.5 63.5 13 19.5 13 09:51 諏訪広場 76.0 62.5 13 10.5 13 11:14 南部支所 70.0 55.5 13 9.0 13 11:06 上記7地点の平均 83.1 - -
- - 日立会瀬 91.5 69.5 13 9.5 13 11:30 水戸(金町) 95.5 66.5 13 13.5 13 08:44
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◆下層へ暖気が入り気温が上がる(20日から22日)
20日から22日にかけて、中国大陸から東進してきた暖気塊が本州付近を通過しました。さらに、南から高気圧におおわれて晴れたことから、全国的に気温が高くなりました。全国のアメダス観測所929地点のうち真夏日となった地点は、20日が165地点、21日が187地点、22日が128地点と、3日連続で100地点を超えました。また、全国で最も気温が高くなった地点は、20日が大分県日田の33.1℃、21日が群馬県館林の35.3℃、22日が同じく群馬県館林市の34.2℃でした。
茨城県内でも気温が高くなりました。県内のアメダス観測地点16地点のうち真夏日となった地点は、20日が5地点、21日が11地点、22日が9地点でした。また、県内の最高気温は20日が大子と古河の31.2℃、21日が古河の33.2℃、22日が大子の32.8℃でした。水戸でも22日には最高気温31.1℃を記録し、今年初めての真夏日となりました。水戸で5月に真夏日となるのは2014年以来3年ぶりのことです。
日立市役所でも、20日から22日にかけて最高気温が25℃以上の夏日となりました。ただ、20日と22日の日中は南寄りの風がやや強く吹いたこと、21日の日中は東寄りの風が吹いたことから、他の地域ほどは気温が上がりませんでした。最も気温が高くなったのは22日の27.5℃でした。これは09時18分に記録したもので、この後は南寄りの風が強まり気温は3℃近く下がりました。その後も、夕方にかけて南寄りの風がやや強く吹き、気温は横ばいで推移しました。
日立市内の他の地点の内、沿岸部の十王交流センター、北部消防署、諏訪広場、南部支所は日立市役所同じような気温の変化を示し、日中は海風が入って気温は上がりませんでした(ただし、22日の諏訪広場では昼間に西南西の風が吹いた時間帯があり、最高気温が28.0℃まで上がりました)。一方、山間部の本山と西部支所では海風の影響はなく、気温は沿岸部よりも高くなりました。この結果、日立市内で最も気温が高くなったのは22日の西部支所で、最高気温は28.9℃でした。
●今年の最高気温(℃)の記録 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
|
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
|
|
●5月の関東地方における真夏日となった地点数の推移
※上のグラフは、南鳥島を除いた関東地方88地点のアメダス観測による結果です。
●5月21日〜22日の気温の推移(10分値)
●5月21日〜22日の日立市内の気温の推移(10分値:日立市役所と沿岸部4地点)
●5月22日の日立市内の気温の推移(1分値)
●参考:5月22日09時と14時のアメダスによる気温と風の分布
09時のアメダスを見ると、日立会瀬の気温が27.4℃と関東地方で最も高くなっています。この後、日立会瀬では南風が強まり気温は下がりました。
●参考:5月20日、21日及び22日09時の地上天気図と850ha面高層天気図
850ha面高層天気図を見ると、20日09時に日本海西部から華北に連なっていた暖気塊は、東へ進んで22日09時には関東地方の東へ進みました。
作成日 2017/06/14
名前 日立市天気相談所