OBSERVATION観測
◇気温の変化が大きかった8月
7月に引き続き、太平洋高気圧におおわれて気温の高い日が多くなりました。ただ、上旬の後半はオホーツク海高気圧からの冷たい北東の風の影響で、中旬後半と下旬後半には大陸から移動してきた冷涼な高気圧におおわれた影響で、気温の低くなる時がありました。この結果、月平均気温は26.0℃と平年より1.1℃高くなりました。7月の平均気温26.2℃と比べて0.2℃低く、8月の気温としても観測開始以来高い方からの順位が第10位と、極端に高い気温ではありませんでした。また、上旬後半から中旬前半にかけて、関東地方の東を北上した台風第13号と南岸に停滞した気圧の谷の影響で天気がぐずつく時があったことから、月の日照時間は168.8時間(平年比98%)と平年並みになりました。一方、下旬の前半までの降水量は平年の半分以下と少なくなりました。しかし、下旬の後半に湿った空気の影響で局地的な大雨が降ったことから、月の降水量は142.0mm(平年比98%)と平年並みになりました。
8月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 26.0 24.9 月降水量(mm) 142.0 145.6 月日照時間(時間) 168.8 172.7
旬平均気温(℃) 順位 観測値 平年値 上旬 26.3 25.2 中旬 25.3 24.9 下旬 26.5 24.7
旬日照時間(時間) 順位 観測値 平年値 上旬 53.6 60.6 中旬 53.9 54.3 下旬 61.3 57.9
●8月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●8月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
今年の8月の平均気温は7月よりもわずかに低くなったものの、引き続き平年より高くなりました。しかし、極端に気温が高くなることはなく、これまでの記録を更新することはありませんでした。ただ、南西の風に伴って南から暖かい空気が流れ込む時が多く、気温が下がりにくくなりました。このため、最低気温が25℃以上の熱帯夜の日数は8日と平年の1.5日を大きく上回りました。さらに、南西の風によるフェーン現象の影響もあって例年より気温の下がり方が鈍く、最低気温26℃以上の日が4日あり、これまでで最も多くなりました。また、最低気温が高い方の第3位から第7位までを、2018年の8月と7月で占めることになりました。
●日立市役所における8月の気温と日数の記録及び累年最高・最低気温の記録
平均気温(℃) 順位 年 気温 1 2010 27.1 2 1994 26.9 3 1999 26.8 4 1973 26.6 省略 10 2018 26.0 平年値 24.8
真夏日の日数 順位 年 日数 1 1999 23 2 2000 22 2 1994 22 4 1973 21 省略 7 2018 18 平年値 11.2
熱帯夜の日数 順位 年 日数 1 1994 12 2 2010 11 3 1973 9 4 2018 8 5 1999 7 平年値 1.5
日最高気温(℃) 順位 年 月日 最高気温 1 1997 07/05 38.5 1 1996 08/15 38.5 3 1997 08/10 36.6 4 1962 08/04 36.4 5 2018 08/25 36.3
日最低気温(℃) 順位 年 月日 最高気温 1 2007 08/16 26.9 2 1997 08/10 26.6 3 2018 08/25 26.5 4 2018 08/22 26.4 4 2018 08/05 26.4 4 2018 07/17 26.4 7 2018 08/15 26.3 ※順位は数値の大きい方からで、1953年〜2018年8月までの統計。
◇8月の日立市内の気温と降水量
8月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は十王交流センターと南部支所が最も高くなり、これまで最も気温が高かった日立市役所は3番目となりました。一方、山間部にある本山と標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は25.5℃で、7月より0.5℃高くなりました。これは、日立市役所以外の地点が7月よりも気温が高くなったためです。なお、水戸の月平均気温は26.7℃と日立市の平均よりも1.2℃高くなりました。また、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、7月に引き続いて全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は141.5mmで、7月の平均降水量108.4mmよりも30mm近く多くなりました。観測地点の間の差は7月よりも大きくなり、最も降水量の多かった本山の202.5mmに対して、最も少なかった南部支所は97.0mmと2.1倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量141.5mmに対して水戸の月降水量は83.0mmと、60mm近く少なくなりました。これは、27日、28日、31日に日立市で雷雨による局地的な大雨が降ったためです。
●8月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
8月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 26.0 36.3 25 11:15 16.0 19 02:28 十王交流センター 26.2 35.7 15 12:39 16.2 19 04:33 北部消防署 25.7 34.5 25 11:40 15.6 19 04:00 本山(中学校跡) 23.7 33.5 25 11:46 12.1 19 02:04 西部支所 25.5 36.0 26 13:06 12.2 19 05:17 諏訪広場 24.9 35.1 25 12:05 14.6 19 04:50 南部支所 26.2 36.5 25 12:09 14.8 19 04:23 上記7地点の平均 25.5 - -
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日立会瀬 26.3 35.5 25 11:22 15.9 19 05:12 水戸(金町) 26.7 37.6 25 12:48 15.3 19 04:57
8月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 142.0 48.0 31 25.0 31 16:45 十王交流センター 123.5 26.0 27 15.0 27 15:23 北部消防署 100.5 21.5 31 11.0 31 17:00 本山(中学校跡) 202.5 36.5 08 27.0 27 15:21 西部支所 185.0 50.0 09 18.5 10 19:52 諏訪広場 140.0 55.0 31 35.0 31 16:01 南部支所 97.0 48.0 31 41.5 31 16:09 上記7地点の平均 141.5 - -
- - 日立会瀬 146.0 55.0 31 34.0 31 16:03 水戸(金町) 83.0 23.0 01 17.0 01 22:39
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇25日、日立市役所で今年初めての猛暑日
24日、台風第20号が四国から近畿地方を縦断して日本海を北上しました。台風に伴う暖気が入ったことと南西の風によるフェーン現象の影響で、西日本の日本海側や瀬戸内海を中心に気温が高くなりました。25日になると、太平洋高気圧が中心を関東の南へ移してきて本州付近をおおうようになりました。高気圧の中心に近い関東地方では、下降気流の影響を受けて気温が上がり、猛烈な暑さとなりました。
関東地方各地の最高気温は、群馬県伊勢崎で38.9℃、茨城県古河で38.7℃、埼玉県鳩山で38.2℃など、38地点で最高気温が35℃以上となりました。通常は、内陸部の群馬県や埼玉県で気温が高くなりますが、今回は高気圧からの下降流による昇温のため、高気圧に近い茨城県から埼玉県、東京都にかけて気温が高くなりました。関東地方で今年の最高気温となったのは7地点で、このうち千葉県の1地点を除いた残りの6地点は茨城県内の観測地点でした。なお、茨城県内の最高気温は上記の古河の他に、下館で37.7℃、水戸で37.6℃など、15地点の内12地点で35℃以上となりました。
日立市役所における気温の推移をみると、南西の風が吹き続けていたため、24日の夜から25日の朝にかけて気温はほとんど下がらず、27℃前後で推移しました。25日朝、日の出とともに急速に気温は上がり始め、11時15分には日最高気温36.3℃を記録しました。これは、8月5日に記録した最高気温34.9℃を抜いて今年の最高気温となるとともに、今年初めての猛暑日となりました。です。最高気温を記録した後、風向が南東へ変わるとともに気温は4℃近く下がりました。その後、変動を繰り返しながら夜にかけて気温は下がっていきました。一方、水戸では南西の風が吹き続けたため、昼過ぎにかけて気温が上がり続け、12時48分に最高気温37.6℃を記録しました。
日立市内の気温を見ると、標高の高い本山と沿岸部にある北部消防署を除いて最高気温は35℃を超えました。また、十王交流センターと西部支所を除いて今年の最高気温となりました。なお、日立市内で最も気温が高くなったのは日立市役所で、南西の風によるフェーン現象の影響が大きかったものと思われます。
参考までに、2010年以降の猛暑日を調べてみると下表のようになっています。2012年と2017年を除いて、各年とも猛暑日が1日ありました(なお、2006年から2009年にかけては、猛暑日はありませんでした)。いずれの日も、南西の風または西の風によるフェーン現象が起きて気温が高くなりました。また、2013年8月30日を除いて南西の風が一昼夜以上吹き続けたため、最低気温が下がらずに熱帯夜(最低気温25℃以上の日)となりました。
年 | 月日 | 最高気温 | 最低気温 | 気象概況 | ||
気温 | 時刻 | 気温 | 時刻 | |||
2010 | 09月07日 | 35.4 | 12:34 | 25.5 | 23:49 | 日本海の停滞前線に吹き込む南西風のフェーン |
2011 | 08月11日 | 35.6 | 12:08 | 25.1 | 04:53 | サハリン付近を東進する低気圧に吹き込む南西風のフェーン |
2013 | 08月30日 | 35.1 | 12:45 | 23.0 | 00:13 | 本州上を南下する前線に向かって吹き込む南西風のフェーン |
2014 | 08月05日 | 36.3 | 14:25 | 26.1 | 05:11 | 日本海の停滞前線に吹き込む南西風のフェーン |
2015 | 07月14日 | 35.2 | 12:04 | 25.4 | 21:56 | 日本海北部の低気圧に吹き込む南西風のフェーン |
2016 | 08月09日 | 36.2 | 14:54 | 25.8 | 23:10 | 三陸沖へ進んだ台風に吹き込む西風のフェーン |
2018 | 08月25日 | 36.3 | 11:15 | 26.5 | 23:31 | 日本海の低気圧に吹き込む南西風のフェーン |
※2018年は8月31日までの記録。
●今年の最高気温(℃)の記録 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●8月25日の気温(℃)の記録
地点 | 日平均気温 | 最高気温 | 最低気温 | |||||
気温 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | |
日立市役所 | 29.8 | 24.7 | 36.3 | 11:15 | 28.5 | 26.5 | 23:31 | 21.9 |
十王交流センター | 30.0 | − | 35.2 | 10:26 | − | 27.1 | 21:12 | − |
北部消防署 | 29.1 | − | 34.5 | 11:40 | − | 26.8 | 24:00 | − |
本山(中学校跡) | 26.8 | − | 33.5 | 11:46 | − | 23.3 | 23:14 | − |
西部支所 | 28.3 | − | 35.7 | 15:13 | − | 22.5 | 05:19 | − |
諏訪広場 | 28.7 | − | 35.1 | 12:05 | − | 24.9 | 23:59 | − |
南部支所 | 29.2 | − | 36.5 | 12:09 | − | 24.6 | 05:34 | − |
日立会瀬 | 29.5 | − | 35.5 | 11:22 | − | 26.4 | 05:08 | − |
水戸(金町) | 30.2 | 24.9 | 37.6 | 12:48 | 29.2 | 25.2 | 21:00 | 21.5 |
つくば | 30.1 | 25.2 | 36.2 | 12:06 | 29.8 | 24.8 | 23:42 | 21.4 |
●8月24日から25日の気温と風向の推移(10分値)
●参考:8月25日11時と14時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:8月25日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
作成日 2018/09/11
名前 日立市天気相談所