OBSERVATION観測
◇月を通して天気がぐずつく
月を通して本州南岸に前線が停滞しやすく、曇りや雨の日が多くなりました。このため、月の日照時間は73.7時間(平年比55%)と平年よりかなり少なくなりました。また、日本の南で高気圧の勢力が強く、前線に向かって南から湿った空気が流れ込みやすかったため、月の降水量は249.5mm(平年比140%)と、平年より多くなりました。上旬は、日本海を進んだ台風や低気圧に向かって南から暖気が入ったため、気温は高くなりました。しかし、中旬以降は大陸から周期的に寒気が南下するようになり、気温は低くなりました。この結果、月平均気温は21.7℃と平年より0.1℃低くなりました。
9月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 21.7 21.8 月降水量(mm) 249.5 178.8 月日照時間(時間) 73.7 134.3
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 24.3 23.6 中旬 21.0 21.9 下旬 19.8 19.8
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 17.6 49.9 中旬 36.5 42.8 下旬 19.6 41.6
●9月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●9月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
このように、今年の9月は曇りや雨の日が多く、良く晴れて冷え込みが強まることがなかったため、最低気温はなかなか下がりませんでした。しかし、26日から27日にかけて大陸からの移動性高気圧が北日本へ進み、下層へ寒気が入ってきました。このため、天気がぐずついていたにもかかわらず気温が低くなり、27日の最低気温は13.5℃まで下がりました。この結果、8月1日以降に初めて日最低気温が15℃を下回った日は昨年より1日早くなったものの、平年よりは1日遅くなりました。
なお、ぐずついた天気が多かったことから上旬を除いて最高気温はあまり上がらず、9月の真夏日と夏日の日数は平年並みとなり、6月の末から続いていた極端な暑さは終わりました。
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※最低気温15℃未満初日は、その年の8月1日以降に日最低気温が初めて15℃未満となった日。
◇9月の日立市内の気温と降水量
9月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は南部支所が最も高くなり、日立市役所は高い方から3番目でした。一方、山間部にある本山は最も気温が低くなりました。市内7地点の平均気温は21.1℃で、8月より4.4℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は22.0℃と日立市の平均よりも0.9℃高く、8月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。また、日立市内7か所の観測地点の平均気温は、8月に引き続いて全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は228.5mmで、8月の平均降水量141.5mmよりも90mm近く多くなりました。観測地点の間の差は8月より小さくなり、最も降水量の多かった本山の280.5mmに対して、最も少なかった南部支所は184.0mmと1.5倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量228.5mmに対して水戸の月降水量は288.5mmと、60mm多くなりました。
●9月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
9月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 21.7 32.3 05 14:46 13.5 27 05:42 十王交流センター 21.8 32.7 05 15:11 13.4 28 05:13 北部消防署 21.5 32.4 05 15:24 13.3 27 05:55 本山(中学校跡) 19.2 29.0 08 11:30 11.3 28 05:33 西部支所 20.8 31.0 05 14:07 11.4 28 05:53 諏訪広場 20.8 31.1 05 13:50 12.8 27 05:46 南部支所 21.9 32.1 08 12:15 12.3 28 05:29 上記7地点の平均 21.1 - -
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日立会瀬 21.9 31.9 05 15:00 13.1 28 05:02 水戸(金町) 22.0 33.7 08 13:15 12.1 28 05:31
9月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 249.5 47.0 08 40.5 08 15:33 十王交流センター 249.0 60.0 08 27.0 08 15:21 北部消防署 239.5 67.5 08 53.0 08 15:57 本山(中学校跡) 280.5 61.5 08 33.0 10 17:56 西部支所 187.0 36.0 08 29.5 08 13:51 諏訪広場 210.0 34.5 08 33.0 08 15:28 南部支所 184.0 27.0 10 22.0 10 18:21 上記7地点の平均 228.5 - -
- - 日立会瀬 222.0 28.5 08 26.5 08 15:25 水戸(金町) 288.5 58.5 18 29.0 18 20:02
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇上層で西南西からの流れが続き、月を通して天気がぐずつく
今年の9月は、日本の南で太平洋高気圧が勢力を強めて西へ張り出しました。一方、偏西風は中国東北区付近で南へ蛇行することが多く、日本付近の上層では西南西からの流れが続きました。このため、太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気が流れ込みやすくなり、曇りや雨の日が多くなりました。天気がぐずついた例として、9月7日から10日までと24日から27日までの天気図と気象衛星画像を下に示します。また、上層の流れが西北西に変わり天気が回復した例として、19日の天気図と気象衛星画像を一番下に示しました。
このため、月の日照時間は最初に述べたように73.7時間と平年よりかなり少なくなりました。これは、9月の日照時間としては観測開始以来1988年の50.8時間に次いで2番目に少ない記録でした。ただ、1日曇りとなる日が少なかったことから、全天日射量は309.4MJ/m2(平年比84%)と、9月の全天日射量としては観測開始以来5番目に少ない記録でした。
また、1mm以上の降水日数は18日でした。これは、9月の降水日数としては1988年及び1953年と並んで観測開始以来第1位の記録でした。ただ、日本付近で低気圧の発達がなかったことと、日立市では上旬と下旬に本州付近を通過した台風による降水量が少なかったことから、月降水量は249.5mmと極端に多くはなりませんでした。9月の降水量としては、観測開始以来13番目に多い記録です。
●9月の日照時間(時間)と全天日射量(MJ/m2)の記録
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※順位は数値の少ない方または多い方からで、1953年〜2018年の統計
●9月7日から10日の地上天気図(09時)と気象衛星可視画像(10時)
7日、中国東北区へ進んできた上層の気圧の影響で本州の上層では西南西からの流れが強まり、関東地方では雲が広がって弱い雨が降りました。上層の気圧の谷は、9日には間宮海峡へ進みました。しかし、南西へのびる気圧の谷が黄海付近に残り、本州付近の上層では西南西からの流れが続きました。このため、関東地方では11日の朝まで雨が降り続きました。特に、8日と10日は上層に寒気が入り、日立市では一時的に雷を伴って激しい雨が降りました。北部消防署では、8日15時57分までの1時間に53.0mmの雨が降りました。
●参考:9月8日09時の地上天気図と気象衛星水蒸気画像
●9月24日から27日の地上天気図(09時)と気象衛星可視画像(10時)
24日、沿海州に進んできた上層の気圧の谷の影響で、関東地方では他の地域に先行して雲が広がり弱い雨が降りました。この気圧の谷は26日にはオホーツク海へ進み、北日本では天気が回復しました。しかし、次の上層の気圧の谷が中国東北区へ進んできたため、本州付近の上層では西南西からの流れが続き、関東地方では天気が回復しませんでした。気圧の谷は27日に北日本へ進み、関東地方では夕方まで雨が降りました。
●参考:9月27日09時の地上天気図と気象衛星水蒸気画像
●9月19日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
18日夜に上層の気圧の谷が日本の東へ抜けた後、本州付近の上層では西北西からの流れに変わり乾燥した空気におおわれてきました。地上では、移動性高気圧が本州上へ進んできたたため、日立市では朝から夜にかけて晴れました。19日の日照時間は10.1時間と、8月26日の10.0時間以来久しぶりに1日の日照時間が10時間以上となりました。
●参考:9月19日10時の気象衛星可視画像と09時の水蒸気画像
作成日 2018/10/11
名前 日立市天気相談所