OBSERVATION観測
◇太平洋高気圧の勢力が強く、上旬を中心に気温が高くなる
上旬は、台風第24号と第25号が日本に上陸または接近しました。特に、台風第24号は本州を縦断して三陸沖へ進み、東日本では記録的な暴風となりました。また、台風に伴って暖かい空気が流れ込んだことと、日本の南で太平洋高気圧の勢力が強かったことから、旬平均気温はかなり高くなりました。中旬に入ると、移動性高気圧が北日本を通過するようになりました。一方、日本の南には前線が停滞し、東日本の太平洋側では曇りや雨の日が多くなりました。下旬になると、移動性高気圧が本州上を通過するようになり、晴れる日が多くなりました。
この結果、月平均気温は18.3℃と平年より1.5℃高くなり、10月の気温としては観測開始以来第4位の高い記録となりました。中旬にぐずついた天気が続いたものの、上旬と下旬は晴れる日が多かったため、月の日照時間は153.3時間(平年比101%)と平年並みになりました。一方、東日本では台風による雨は少なく、南海上の前線伴う活発な雨雲も陸地から離れて位置したため、月降水量は51.0mm(平年比29%)と平年よりかなり少なくなり、10月の降水量年としては観測開始以来4番目に少ない記録となりました。
10月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 18.3 16.8 月降水量(mm) 51.0 173.3 月日照時間(時間) 153.3 151.2
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 22.0 18.4 中旬 17.0 17.0 下旬 16.0 15.0
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 62.5 43.0 中旬 20.0 49.1 下旬 70.8 59.1
●10月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●10月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
30日から1日にかけて、台風第24号が本州を縦断して三陸沖へ進みました。また、6日から7日にかけては、台風第25号が日本海を東北東へ進みました。いずれの場合も、関東地方では台風に伴う暖気が入ったことと、台風へ吹き込む北西または南西の風によるフェーン現象が起きたことから、気温が上がりました。日立市役所における最高気温は、1日が33.9℃、7日が32.4℃と、10月の気温としては観測開始以来第1位と第3位の高い気温となりました。この結果、上旬の平均気温は22.0℃と平年より3.6℃高くなり、観測開始以来最も高い気温となりました。
なお、7日以降は気温が30℃以上となった日はなく、この後に気温が30℃を超える日がなければ、10月7日がその年に最高気温が30℃以上となった最後の日(真夏日終日)となります。真夏日終日の記録でみると、2013年と1999年の10月12日に次いで遅い記録です。
●10月の気温(℃)と降水量(mm)の記録
月平均気温 順位 年 気温 1 1998 18.7 2 1994 18.6 3 1979 18.5 4 2018 18.3 5 2005 18.1 平年値 16.8
上旬平均気温 順位 年 気温 1 2018 22.0 2 2013 21.2 3 2016 20.9 4 1998 20.8 5 1994 20.7 平年値 18.4
10月の降水量 順位 年 降水量 1 2015 37.0 2 1977 44.5 3 1997 46.0 4 2018 51.0 5 1994 51.5 平年値 173.3 ※気温の順位は数値の大きい方から、降水量の順位は数値の小さい方からで1953年から2018年の統計。
●10月の最高気温(℃)と真夏日終日の記録
最高気温 順位 最高気温 年月日 時刻 1 33.9 2018/10/01 12:14 2 32.8 1979/10/01 13:20 3 32.4 2018/10/07 13:07 4 31.1 1984/10/03 13:20 5 30.9 1998/10/02 11:44
真夏日終日 順位 年 月日 時刻 最高気温 1 2013 10/12 11:50 30.1 2 1999 10/12 10:54 30.3 3 2018 10/07 13:07 32.4 4 2016 10/04 10:50 30.0 5 1984 10/03 13:20 31.1 ※気温の順位は数値の大きい方から、真夏日終日の順位は日付の遅い方からで1953年から2018年の統計。
◇10月の日立市内の気温と降水量
10月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなりました。次いで、最も南に位置する南部支所が高くなりました。一方、山間部にある本山と西部支所は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は17.2℃で、9月より3.9℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は17.6℃と日立市の平均よりも0.4℃高く、9月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。ただ、9月よりも差は小さくなっており、寒候期に向けて水戸の方が気温がの下がり方が大きくなっています。また、9月までは全地点で水戸よりも平均気温は低くなっていましたが、10月は本山、西部支所、諏訪広場を除いて平均気温が水戸よりも高くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は53.6mmで、9月の平均降水量228.5mmよりも170mm近く少なくなりました。観測地点間の差は9月より大きくなり、最も降水量の多かった本山の78.5mmに対して、最も少なかった南部支所は33.5mmと2.3倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量53.6mmに対して、水戸の月降水量は65.0mmと10mm近く多くなりました。
●10月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
10月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 18.3 33.9 01 12:14 9.2 31 05:31 十王交流センター 18.0 34.2 01 12:10 7.1 31 04:46 北部消防署 17.9 34.1 01 12:01 8.7 31 04:50 本山(中学校跡) 15.0 30.8 01 12:40 4.9 31 05:21 西部支所 16.0 32.2 01 12:41 4.0 31 04:57 諏訪広場 17.0 32.6 01 11:38 7.5 31 05:40 南部支所 18.2 33.1 01 12:10 7.3 31 05:13 上記7地点の平均 17.2 - -
- -
日立会瀬 18.6 33.5 01 11:42 8.3 31 06:17 水戸(金町) 17.6 32.9 01 10:52 6.7 31 06:38
10月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 51.0 15.0 27 10.5 01 02:07 十王交流センター 55.5 20.0 01 14.5 01 02:11 北部消防署 53.5 17.5 01 14.0 01 02:10 本山(中学校跡) 78.5 41.0 01 30.5 01 02:03 西部支所 64.5 38.5 01 31.0 01 02:05 諏訪広場 38.5 10.0 27 7.0 01 02:03 南部支所 33.5 11.0 01 8.5 01 02:02 上記7地点の平均 53.6 - -
- - 日立会瀬 47.5 12.5 27 9.5 01 02:05 水戸(金町) 67.0 29.5 01 26.5 01 01:53
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇台風第24号が本州中部を縦断し、強い風が吹くとともに気温が上がる(10月1日)
台風第24号は、9月29日に沖縄の西まで北上してきた後、向きを北東へ変えて30日未明にには奄美諸島の西を通過し、30日昼過ぎには四国の南へ進んできました。その後、しだいに速度を上げて北東へ進み、20時頃に和歌山県田辺市付近に上陸しました。上陸後さらに速度を上げ、本州中部を縦断して1日朝には三陸沖へ抜けました。
本州の南に停滞する前線の影響で、関東地方では29日から曇りで時々雨の降る天気が続いていました。台風が奄美諸島付近へ北上してきた30日未明になると、台風の東側を北上する湿った空気の影響で前線が本州南岸まで北上してくるとともに、前線の活動が活発になりました。このため、関東地方では房総半島を中心に激しい雨が降りました。台風が東海地方に近づいてきた30日夜には前線の雨雲は東北地方まで北上し、かわって台風を取り巻く雨雲が関東地方にかかってきました。発達した雨雲は台風の東側に広がっていたため、神奈川県西部から埼玉県西部にかけては1時間降水量50mmを超える非常に激しい雨が降りました。関東地方における29日0時から1日12時までの降水量は、栃木県土呂部で235.0mm、奥日光で228.0mm、神奈川県丹沢湖で218.5mmなどでした。
台風が近づいてくるにつれて関東地方では南寄りの風が強まり、台風が東海地方に進んできた30日夜遅くには南から流れ込む湿った空気の影響で、台風の東側で雨雲が発達しました。この発達した雨雲は、台風の北上につれて関東地方を東北東へ進んでいきました。雨雲は局地的な前線の性質を持っていたことから、雨雲の通過時に各地で激しい雨が降るとともに一時的に強い風が吹きました。島しょ部を除いた関東地方における最大瞬間風速は、東京都八王子で南南東の風45.6m/s(1日00時11分)、千葉県銚子で南南西の風42.0m/s(1日02時38分)、千葉で南南西の風41.1m/s(1日02時31分)でした。
日立市では、前線が北上してきた30日未明から雨が断続して降るようになりました。しかし、発達した雨雲は主として関東地方西部から北部の山沿いにかかったため、沿岸部では降水量は多くなりませんでした。ただ、台風の東側に広がる発達した雨雲が通過した1日1時から2時にかけては、一時的に強い雨が降りました。特に、山間部の本山と西部支所では1時間降水量が30mmを超える激しい雨が降りました。しかし、雨雲の移動が速く、強い雨の降っていた時間が短かったことから降水量は多くなりませんでした。30日から1日にかけての市内の総降水量は、26.5〜60.0mmでした。
一方、風は前線の北側に入っていた30日の夜の初めまでは、弱い北東の風が吹いていました。しかし、台風が東海地方へ進んできて前線の南側に入った21時頃から南風に変わるとともに、風はしだいに強まっていきました。そして、台風の東側の発達した雨雲が通過した1時過ぎから4時過ぎにかけて、一時的に強い南寄りの風が吹きました。日立市役所における最大瞬間風速は、1日01時48分に記録した、南の風30.9m/sでした。これは、2008年2月24日の冬型の気圧配置で観測した西北西の風31.9m/s以来の強い風で、今年に入って最も大きい最大瞬間風速です。なお、日立市内の他の観測地点は、日立市役所よりも風速は小さくなっています。
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日降水量 |
総降水量 |
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30日 | 01日 |
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日時 |
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日時 | ||
日立市役所 | 21.0 | 14.5 | 35.5 | 10.5 | 1日02時07分 | 2.5 | 1日01時53分 |
十王交流センター | 20.0 | 20.0 | 40.0 | 14.5 | 1日02時11分 | 4.0 | 1日02時01分 |
北部消防署 | 19.5 | 17.5 | 37.0 | 14.0 | 1日02時10分 | 5.0 | 1日02時00分 |
本山 | 19.0 | 41.0 | 60.0 | 30.5 | 1日02時03分 | 10.0 | 1日02時01分 |
西部出張所 | 10.0 | 38.5 | 48.5 | 31.0 | 1日02時05分 | 13.5 | 1日01時54分 |
諏訪広場 | 17.0 | 9.5 | 26.5 | 7.0 | 1日02時03分 | 2.5 | 30日06時32分 |
南部支所 | 21.0 | 11.0 | 32.0 | 8.5 | 1日02時02分 | 3.0 | 30日06時29分 |
日立会瀬 | 21.0 | 12.5 | 33.5 | 9.5 | 1日02時05分 | 2.5 | 30日06時32分 |
水戸(金町) | 27.0 | 29.5 | 56.5 | 26.5 | 1日01時53分 | 11.0 | 1日01時43分 |
※総降水量は、30日00時〜1日12時までの合計。
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
地点 | 最大風速(m/s) | 最大瞬間風速(m/s) | 海面気圧(hPa) | |||||
風速 | 同風向 | 日時 | 風速 | 同風向 | 日時 | 最低気圧 | 日時 | |
日立市役所 | 14.9 | 南南西 | 1日03時35分 | 30.9 | 南 | 1日01時48分 | 976.9 | 1日03時25分 |
十王交流センター | 11.9 | 南東 | 1日01時47分 | 20.4 | 南南東 | 1日01時31分 | - | - |
北部消防署 | 12.0 | 南南西 | 1日03時32分 | 23.4 | 南南西 | 1日03時39分 | - | - |
西部支所 | 7.1 | 東南東 | 1日01時21分 | 20.1 | 東南東 | 1日01時19分 | - | - |
諏訪広場 | 11.6 | 南 | 1日01時56分 | 25.6 | 南 | 1日01時47分 | - | - |
南部支所 | 13.6 | 南南西 | 1日02時13分 | 26.4 | 南西 | 1日03時32分 | - | - |
日立会瀬 | 12.7 | 南南東 | 1日01時39分 | 23.9 | 南 | 1日01時32分 | - | - |
水戸(金町) | 13.5 | 南 | 1日02時44分 | 26.6 | 南南西 | 1日02時38分 | 976.9 | 1日03時10分 |
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
●9月30日〜10月1日の降水量(本山)と海面気圧(日立市役所)の推移
●9月30日〜10月1日の日立市役所における風向と風速の推移
台風が三陸沖へ進んだことから、1日の関東地方では晴れるとともに南西の風が吹いてフェーン現象が起きたため気温が上がり、最高気温が30℃を超える真夏日となった所が多くありました。関東地方各地の最高気温は、栃木県佐野で34.3℃群馬県館林と埼玉県熊谷で33.8℃など、87観測地点の内56地点で最高気温が30℃以上となりました。
茨城県内でも、日立会瀬で最高気温33.5℃、笠間で33.4℃、高萩で33.2℃を記録するなど、15観測地点すべてで最高気温が30℃以上となりました。また、7地点で10月の気温としては観測史上最も高い気温となりました。なお、南西の風によるフェーン現象のため、いつもは気温の上がりにくい北部沿岸部の北茨城、高萩、日立会瀬で気温が高くなりました。
日立市役所における気温の推移をみると、30日21時から風向が北東から南南東へ変わるとともに気温が上がり始めました。1日の朝も気温はほとんど下がらず、日が昇るとともに一段と気温は上がり、12時14分には日最高気温33.9℃を記録しました。これは、先に述べたように10月の気温としては観測開始以来最も高い気温です。13時を過ぎると、風向が北東へ変わるとともに冷たい空気が入ってきて気温は急速に下がり始め、23時51分にはこの日の最低気温20.5℃を記録しました。
日立市内の気温を見ると、十王交流センターでも最高気温34.2℃を記録し、日立市内で最も高い気温となりました。また、すべての地点で最高気温が30℃以上の真夏日となりました。さらに、全地点で気温は朝よりも夜の方が低くなり、21時から24時の間に最低気温を記録しました。
●10月1日の気温(℃)と平年値の比較
地点 | 日平均気温 | 最高気温 | 最低気温 | |||||
気温 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | |
日立市役所 | 26.0 | 19.2 | 33.9 | 12:14 | 22.9 | 20.5 | 23:51 | 16.0 |
十王交流センター | 26.1 | − | 34.2 | 12:10 | − | 20.7 | 23:55 | − |
北部消防署 | 25.8 | − | 34.1 | 12:01 | − | 20.3 | 23:54 | − |
本山(中学校跡) | 22.4 | − | 30.8 | 12:40 | − | 16.9 | 24:00 | − |
西部支所 |
24.3 |
− | 32.2 | 12:41 | − | 17.8 | 24:00 | − |
諏訪広場 | 25.2 | − | 32.6 | 11:38 | − | 19.3 | 21:23 | − |
南部支所 | 26.2 | − | 33.1 | 12:10 | − | 20.0 | 23:52 | − |
日立会瀬 | 25.9 | − | 33.5 | 11:42 | − | 20.4 | 23:44 | − |
水戸(金町) | 26.5 | 18.8 | 32.9 | 10:52 | 23.0 | 19.4 | 23:23 | 15.1 |
つくば | 25.7 | 18.8 | 31.8 | 13:04 | 23.1 | 17.1 | 23:32 | 14.8 |
※日立会瀬と水戸(金町)、つくばは気象庁の観測地点。
●9月30日〜10月1日の気温の推移
●参考:台風第24号の経路図と9月30日09時の気象衛星可視画像
●参考:10月1日02時のアメダスによる降水量と風の分布
●参考:9月30日23時00分と1日02時00分の降水レーダー図
●参考:10月1日12時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:10月1日12時のアメダスによる気温の分布と09時の850hPa面高層天気図
●参考:10月1日03時と12時の地上天気図
●参考:10月1日03時の気象衛星赤外画像と12時の気象衛星可視画像
作成日 2018/11/13
名前 日立市天気相談所