◇中旬から気温が高くなる

　月の前半は、高気圧と低気圧が交互に通過して、天気は数日の周期で変化しました。月の後半は、本州付近を動きの遅い上層の気圧の谷が進み、天気のぐずつく時がありました。月の前半に晴れる日が続いたことから、月の日照時間は180.8時間（平年比110％）と平年より多くなりました。また、気圧の谷に伴って上層に寒気が入り、大気の状態が不安定になる日が多かったことから、月降水量は173.5mm（平年比114％）と平年よりやや多くなりました。気温は、オホーツク海高気圧の影響を受けて低くなる時があったものの、月を通すと南から暖かい空気におおわれて平年より高い日が多くなりました。この結果、月平均気温は17.7℃と平年より1.6℃高くなりました。これは、5月の平均気温としては昨年と並んで観測開始以来第5位の高い気温です。

5月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 17.7 16.1 月降水量（mm） 173.5 152.5 月日照時間（時間） 180.8 163.9

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 17.1 15.3 中旬 17.8 15.8 下旬 18.1 17.1

旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 67.5 55.8 中旬 53.1 48.1 下旬 60.2 59.9

　●5月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●5月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移

◇5月の日立市内の気温と降水量

　5月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所と最も北に位置する十王交流センター及び最も南の南部支所が高くなりました。反対に、山間部にある本山は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は17.1℃で、水戸の月平均気温18.5℃よりも1.4℃低くなりました。4月と比べると、水戸と日立市役所の気温差は大きくなっており、水戸の方が暖候期へ向けての気温の上昇が大きいことを示しています。なお、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、全地点とも水戸より低くなりました。

　一方、月の降水量の市内平均は161.2mmで、4月の平均降水量159.2mmとほぼ同じになりました。観測地点の間の差も4月とほぼ同じで、最も降水量の多かった本山の211.0mmに対して、最も少なかった西部支所は106.0mmと2.0倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量161.2mmに対して、水戸の月降水量は158.5mmとほぼ同じになりました。

　●5月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

5月の気温（℃）の記録 観測地点 平均 気温 最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 17.7 28.0 02 16:03 7.3 08 01:55 十王交流センター 17.7 26.6 02 15:43 6.6 08 03:43 北部消防署 17.2 26.6 29 10:48 7.3 08 02:39 本山（中学校跡） 15.5 28.3 02 15:01 3.6 08 04:42 西部支所 17.0 29.0 02 13:41 3.7 08 04:33 諏訪広場 16.9 28.0 02 16:35 5.8 08 01:27 南部支所 17.7 29.2 02 16:44 6.5 08 05:06 上記7地点の平均 17.1 - - - - 日立会瀬 17.6 27.3 02 15:48 7.0 08 04:46 水戸（金町） 18.5 29.7 02 14:51 7.3 08 05:22

5月の降水量（mm）の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 173.5 79.0 19 15.5 19 09:25 十王交流センター 173.5 80.0 19 14.0 19 09:23 北部消防署 179.5 87.5 19 15.5 19 08:58 本山（中学校跡） 211.0 85.5 19 13.5 19 06:55 西部支所 106.0 31.5 19 10.5 29 15:09 諏訪広場 148.5 72.5 19 14.0 19 09:27 南部支所 136.5 69.5 19 13.5 19 06:54 上記7地点の平均 161.2 - - - - 日立会瀬 185.0 86.5 19 15.5 19 09:23 水戸（金町） 158.5 63.0 19 13.0 06 17:09

　※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

◇下層へ暖気が入り気温が上がる（2日）

　4月は、偏西風が日本付近で南へ蛇行して北から寒気が入り、気温が低くなりました。4月下旬の500hPa高度と平年偏差をみると、上層の流れは日本付近で南へ蛇行するとともに高度も平年より低くなり、大陸から寒気の入りやすい気圧配置となっています。しかし、5月上旬になると、上層の流れは西から東へ流れるようになるとともに、日本付近では平年よりも高度が高くなり、南からの暖かい空気に覆われやすくなりました。このため、旬平均気温は4月下旬の12.2℃から5月上旬は17.1℃と、5℃近く上がりました。

　●4月下旬と5月上旬の旬平均500hPa高度と平年偏差

　※気象庁の「旬平均大気の循環図」から

　特に、5月2日から3日は、日本の東の高気圧が勢力を強めて西へ張り出し、高気圧の西側を回り下層へ暖かい空気が流れ込んだことから、全国的に気温が上がりました。特に2日は良く晴れたことから、北日本から西日本にかけて気温が上がり、91地点で最高気温が30℃以上の真夏日となりました。つくばにおける高層観測の結果を見ると、高さ1500m付近（850hPa面）の気温は1日09時の10.2℃から2日21時には19.8℃まで上がり、暖気が入ってきたことを示しています。

　2日の関東地方各地の最高気温は、群馬県伊勢崎で32.2℃、埼玉県秩父で32.1℃、栃木県佐野で31.8℃など、16地点で最高気温が30℃以上の真夏日となりました。また、69地点で最高気温が25℃以上の夏日となりました。茨城県内でも、2日の最高気温は大子で30.8℃（15時19分）、古河で30.1℃（14時52分）を記録するなど、14観測点の内北茨城を除く13地点で最高気温が25℃を超えました。また、全地点で今年の最高気温を記録しました。

　日立市役所における気温の推移を見ると、9時に南南西の風に変わるとともに一段と気温が上がり、09時30分前には気温が25℃を超えました。その後、南南東の風に変わり気温は4℃近く下がりました。しかし、13時30分から南南西の風に変わり、再び気温が上がり始め、16時03分には最高気温28.0℃を記録しました。これは、今年初めての夏日（最高気温25℃以上の日）で、夏日初日としては平年（5月9日）より7日早く、昨年よりも22日早くなりました。その後、16時30分前に南東の風に変わると、気温は6℃近く下がりました。

　日立市内の気温を見ると、2日は7地点すべてで最高気温が25℃以上となりました。また、全地点で今年の最高気温となるとともに、今年初めての夏日となりました。日立市内で最も気温が高くなったのは、南部支所の日最高気温29.2℃でした。反対に、最も気温が低かったのは北部消防署の25.2℃で、海に近いため他の地点程気温が上がりませんでした。

　●夏日初日の記録（日立市役所）

　●5月2日〜3日の日立市役所、水戸（金町）、つくばにおける気温の推移

　●5月2日〜3日の西部支所と南部支所における気温の推移

　日立市内でも、沿岸部の十王交流センター、北部消防署、諏訪広場、南部支所の4地点は、日立市役所と同じように風向によって気温が上下した。また、最高気温は16時前後に記録しました。一方、山間部の本山と西部支所では気温は山型に変化し、上下の変動はありませんでした。

　●参考：5月2日13時と16時のアメダスによる気温と風の分布

　●参考：5月2日15時の地上天気図と21時の850hPa面高層天気図

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作成日 2020/06/10
名前 日立市天気相談所