OBSERVATION観測
◇中旬にかけて天気がぐずつく
中旬にかけて、日本の南東海上で太平洋高気圧の勢力が強く、偏西風は北日本を流れました。また、日本の西側が気圧の谷となることが多く、本州付近の上層では西南西からの流れとなり、南から暖かく湿った空気が流れ込み曇りや雨の日が多くなりました。ただ、台風第14号が南海上を東進した期間を除くと、本州付近での低気圧の発達は弱く、降水量は多くなりませんでした。下旬に入ると太平洋高気圧が東へ後退し、偏西風が南下してきて天気は数日の周期で変わるようになり、晴れる日が多くなりました。この結果、月降水量は125.0mm(平年比72%)と平年よりやや少なくなりました。また、月の日照時間は132.9時間(平年比88%)と平年より少なくなりました。一方、南から暖かい空気が入りやすかったものの、天気がぐずついて地表付近では冷たい北東の風が入りやすかったことから、月平均気温は16.8℃と平年並みになりました。
10月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 16.8 16.8 月降水量(mm) 125.0 173.3 月日照時間(時間) 132.9 151.2
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 18.4 18.4 中旬 16.8 17.0 下旬 15.2 15.0
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 29.8 43.0 中旬 32.5 49.1 下旬 70.6 59.1
●10月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●10月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
◇10月の日立市内の気温と降水量
10月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は日立市役所が最も高くなりました。次いで、気温が高かったのは最も北に位置する十王交流センターと最も南に位置する南部支所で、ともに市役所より0.3℃低くなりました。一方、山間部にある本山は最も気温が低くなりました。市内7地点の平均気温は15.7℃で、9月より6.9℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は16.3℃と日立市の平均よりも0.6℃高くなっています。。ただ、9月までは全地点で水戸よりも平均気温は低くなっていましたが、10月は沿岸部の日立市役所、十王交流センター、北部消防署、南部支所の4地点は水戸よりも気温が高くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は124.0mmで、9月の平均降水量148.2mmよりも20mm程少なくなりました。観測地点間の差は9月よりも小さくなり、最も降水量の多かった本山の182.5mmに対して、最も少なかった西部支所は88.0mmと2.1倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量124.0mmに対して、水戸の月降水量は159.5mmと35mm近く多くなりました。
●10月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
10月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 16.8 25.4 03 11:29 6.9 31 03:48 十王交流センター 16.5 25.4 06 11:55 6.2 31 06:16 北部消防署 16.4 24.2 03 11:27 7.1 31 06:21 本山(中学校跡) 13.5 23.1 03 11:27 3.7 31 06:18 西部支所 14.8 25.0 02 12:12 3.9 31 05:35 諏訪広場 15.4 24.1 03 11:31 5.8 31 06:19 南部支所 16.5 24.6 03 11:27 5.7 31 05:46 上記7地点の平均 15.7 - -
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日立会瀬 16.9 24.9 03 11:32 6.6 31 06:06 水戸(金町) 16.3 25.7 03 11:39 4.7 31 06:27
10月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 125.0 38.5 10 6.5 10 00:22 十王交流センター 117.5 38.5 10 6.5 07 22:29 北部消防署 149.5 42.0 10 11.5 07 22:37 本山(中学校跡) 182.5 58.5 10 9.5 10 00:34 西部支所 88.0 26.0 10 4.5 10 00:34 諏訪広場 107.5 35.0 10 5.0 10 00:21 南部支所 98.0 33.0 10 6.5 09 23:35 上記7地点の平均 124.0 - -
- - 日立会瀬 139.5 43.0 10 6.5 10 00:39 水戸(金町) 159.5 45.5 10 8.0 09 23:00
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇台風第14号が本州の南をゆっくりと東へ進み、関東地方では雨が降り続く(10月7日〜12日)
今年の10月は、上旬から中旬にかけて日本の南東海上で太平洋高気圧の勢力が強く、偏西風は北緯40度線に沿って流れました。このため、低気圧は日本海から沿海州を通ることが多くなりました。ただ、偏西風が中国東北区付近で南に蛇行することが多く、南から暖かく湿った空気が入って曇りや雨の日が多くなりました。
偏西風が日本の北を流れていたことから、7日から10日かけて日本の南から北上してきた台風第14号は偏西風の流れに乗れずに、本州の南をゆっくりと東へ進みました。10月5日09時に日本の南で発生した台風第14号は、発達しながら北西へ進み、8日朝には北緯28度線まで北上してきました。その後向きを北へ変え、9日に四国の南に達した後、向きを北東から東へ変え、ゆっくりとした速度で11日朝にかけて東海道沖から伊豆諸島の南へ進みました。11日09時に熱帯低気圧に変わった後、南へ進み動きが遅くなりました。その後、15日にかけて小笠原諸島の北に停滞した後、16日には南下してきた偏西風に取り込まれて日本の東へ遠ざかっていきました。
上層の流れを見ると、台風が北上してくる前の6日から日本海に上層の気圧の谷が停滞し、日本付近では西南西からの流れとともに湿った空気が流れ込んでいました。この気圧の谷は8日には北日本を通過して千島近海へ進みました。かわって、その西側から上層の気圧の尾根が進んできて、北日本をゆっくりと東へ進み、12日には日本の東へ抜けました。9日に四国の南へ進んできた台風14号は、この気圧の尾根に進路をさえぎられ、向きを東へ変えて南海上をゆっくりと東へ進んだことから、関東地方では7日から12日にかけて雨が降り続きました。台風に近かった伊豆諸島では、7日から12日の総総降水量が500mmを超えたところがありました。一方、台風の雨雲がかからなかった茨城県では、日降水量が100mmを超えることはありませんでした。しかし、7日から12日にかけて雨が降り続いたため。県央から県南では総降水量が100mmjを超えました。
日立市内では、山の東斜面に当たる本山で総降水量が144.5mmと市内で最も多くなりました。反対に山を越えた西部支所では総降水量が65.0mmと最も少なくなりました。日立市には台風を取り巻く雨雲がはかかりませんでしたが、北東の湿った風の影響で雨雲が広がったため山地の東側で降水量が多くなりました。
台風第14号は、11日09時に熱帯低気圧に変わって南へ進んだ後、15日にかけて小笠原諸島の北で停滞しました。この間、日本の西側で偏西風が南へ蛇行し、本州付近の上層では西南西からの流れが続いたため、関東地方には湿った北東の風が入り、15日にかけて雲の多い天気が続きました。16日に上層の気圧の谷が日本付近を東へ進むと、偏西風が南下してきて熱帯低気圧は日本の東へ離れていきました。しかし、その後も日本の西が上層の気圧の谷となり、関東地方には湿った北東の風が入り続けたため、日立市では時々晴れ間が出たものの雲の多い天気が続きました。20日に上層の気圧の谷が本州を通過した後、天気が周期的に変わるようになり晴れる日が多くなりました。
●関東地方と茨城県内の10月7日から12日の降水量(mm)の記録
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※順位は、降水量の多い方から。
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日降水量 |
総降水量 |
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7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | 12日 |
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日時 | ||
日立市役所 | 9.5 | 20.5 | 26.0 | 38.5 | 0.0 | 1.5 | 96.0 | 6.5 | 10日00時22分 |
十王交流センター | 12.5 | 16.5 | 21.5 | 38.5 | 1.0 | 2.5 | 92.5 | 6.5 | 07日22時29分 |
北部消防署 | 18.5 | 22.5 | 27.0 | 42.0 | 0.5 | 4.5 | 115.0 | 11.5 | 07日22時37分 |
本山 | 13.0 | 31.5 | 35.0 | 58.5 | 1.5 | 5.0 | 144.5 | 9.5 | 10日00時34分 |
西部出張所 | 6.0 | 16.5 | 16.0 | 26.0 | 0.0 | 0.5 | 65.0 | 4.5 | 10日00時34分 |
諏訪広場 | 8.5 | 17.0 | 22.5 | 35.0 | 0.0 | 1.0 | 84.0 | 5.0 | 10日00時21分 |
南部支所 | 5.0 | 14.5 | 24.5 | 33.0 | 0.0 | 0.5 | 77.5 | 6.0 | 09日23時35分 |
日立会瀬 | 8.0 | 23.5 | 31.0 | 43.0 | 0.0 | 2.0 | 107.5 | 6.5 | 10日00時39分 |
水戸(金町) | 7.5 | 28.5 | 36.5 | 45.5 | 0.0 | 1.0 | 119.0 | 8.0 | 09日23時00分 |
※総降水量は、7日01時〜12日24時までの合計。
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
●参考:台風第19号の経路図と11日21時の500hPa面高層天気図
500hPa面の天気図をみると、11日には太平洋高気圧は日本の南で東西に分かれ、小笠原諸島付近が気圧の谷場となりました。このため、台風第14号はこの気圧の谷場に引き込まれるように南へ進みました。
●10月7日〜12日09時の地上天気図
●10月7日〜12日10時の気象衛星可視画像
●参考:10月8日と26日09時の500hPa面高層天気図
8日と26日の高層天気図を比べると、8日は大平洋高気圧が日本の南で勢力を西へ伸ばしており、その中を台風第14号が北上しています。一方、偏西風は北緯40度線よりも北を流れています。26日になると、太平洋高気圧の勢力は南へ後退し、偏西風は本州上を流れるようになりました。
●参考:10月8日と26日09時の地上天気図
作成日 2020/11/16
名前 日立市天気相談所