OBSERVATION観測
◇暖かかった5月
上旬から中旬は高気圧におおわれることが多く、月半ばを除いて気温は高くなりました。ただ、上層に寒気が入りやすく低気圧が発達することがありました。下旬は南海上で高気圧が強まり、発達した低気圧が短い周期で日本付近を通過して曇りや雨の日が多くなりました。そして、低気圧に向かって暖かな南風が吹き込むことが多く、気温は高くなりました。特に、25日は低気圧が三陸沖に抜けた後、西風による一時的なフェーン現象が起こり、日最高気温が29.1℃まで上がりました。
この結果、5月の平均気温は17.7℃と平年より1.6℃高くなりました。暖かい春といわれた昨年の5月の月平均気温17.6℃を0.1℃上回り、5月の平均気温としては日立市役所観測開始以来3番目に高い気温となりました。下の月平均気温推移グラフに見るとおり、昨年の夏に天候不順のため平年を下回った時期を除くと、この気温の高い傾向は1996年10月から約2年半続いています。
一方、月の日照時間は月の後半に曇りや雨の日が多くなったことから167.5時間と平年の89%でした。反対に、月降水量は4日から5日にかけて通過した寒冷低気圧の影響で148.0mmの雨が降ったことから206.0mmと平年の127%になりました。
5月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 17.7 16.1 月降水量(mm) 206.0 162.0 月日照時間(時間) 167.5 187.9
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 17.1 15.2 中旬 16.6 16.2 下旬 19.1 17.0
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 64.6 61.6 中旬 49.9 57.6 下旬 53.0 68.7
今年の5月はオホーツク海高気圧からの冷たい北東の風が入ることがほとんどなく、反対に南から暖かい空気が流れ込んで気温の上がる日が多くなりました。このため、日最高気温の月平均は22.4℃と、これまでで最も高くなりました。
●5月の気温の記録順位は気温の高い方からで、1953年〜1999年の統計)
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●5月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPa気温(09時)の推移
●これまでの月平均気温の推移(単位:℃)
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◇寒冷低気圧による夜中の大雨
4月23日から25日にかけて本州南岸を進んだ寒冷低気圧の影響で150mm前後の大雨が降ったばかりなのに、4日から5日にかけて寒気を伴った低気圧により再び150mm近い大雨が降りました。5日、アムール川下流から日本海へのびる上層の気圧の谷が東へ進みました。この気圧の谷は上層に寒気を伴っており、寒気の南端にあたる本州上を低気圧が東北東へ進みました。低気圧に向かって南から暖かく湿った空気が入り、本州の太平洋側で雨雲が発達しました。
日立市でも4日の朝から雨が降り出し、低気圧の中心が通過した5日未明には1時間に20mmを超える強い雨が降りました。日立市役所では5日02時16分に1時間最大降水量28.0mmを記録し、4日の降り始めからの総降水量は148.0mmになりました。低気圧が三陸沖へ進んだ5日の朝には雨は止み、晴れてきました。
4日から5日にかけての降水量の推移(日立市役所) |
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●5月4日と5日09時の地上天気図
●5月4日21時の気象衛星赤外画像と5日09時の500hPa面高層天気図
●5月4日09時〜5日06時の降水レーダー図
更新日 1999/06/08
訂補日 2002/02/15
訂補日 2013/04/15
名前 日立市天気相談所