OBSERVATION観測
◇暑くて、寝苦しかった8月
上旬は太平洋高気圧の北への張り出しが強く、晴れて暑い日が続きました。中旬に入ると本州付近へ熱帯低気圧が北上してきて、雲リや雨の日が多くなりました。中旬後半からは再び太平洋高気圧の北への張り出しが強まりましたが、西への張り出しが弱く日本海に停滞する前線に向かって高気圧の縁を回り南から暖かい空気が入りやすくなり、気温が高くなりました。このため、8月の月平均気温は26.8℃と平年より1.9℃高くなりました。これは、8月の平均気温としては1994年の26.9℃に次いで、日立市役所観測記開始以来2番目に高い記録です。
また、上旬と中旬後半は晴れる日が多かったことから、月の日照時間は193.5時間とほぼ平年並みになりました。一方、降水量は12日から14日にかけて本州中部をゆっくりと北上した熱帯低気圧の影響で14日に94.5mmの降水量がありました。しかし、1mm以上の降水量があった日が3日と非常に少なかったため、月降水量は103.5mm(平年比71%)と平年より少なくなりました。
8月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 26.8 24.9 月降水量(mm) 103.5 146.3 月日照時間(時間) 193.5 188.9
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 27.5 25.1 中旬 27.1 25.2 下旬 25.8 24.4
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 84.3 65.4 中旬 61.7 65.3 下旬 47.5 58.2
●8月の日立市役所における日平均気温と日最高気温の推移
●8月の日立市役所における風向頻度と日照時間の推移
今年の8月は、太平洋高気圧の北への張り出しが強いかわりに西への張り出しが弱く、上の風向頻度グラフに示すように南寄りの風が吹きやすく、夜になっても気温の下がらない日が多くなりました。このため、1日中気温の高い傾向が続き、日最低気温の月平均は24.0℃とこれまでで最も高くなり、寝苦しい日が続きました。
特に、2日から8日にかけては7日間連続して日最低気温が25℃以上の熱帯夜となりました。これは、熱帯夜の連続記録としては1994年8月7日から15日までの連続9日間に次いで、2番目に長い記録です。また、8月の熱帯夜の日数は7日となり、1994年8月の12日、同じく1973年の9日に次いで3番目に多くなりました。また、8月の真夏日(日最高気温30℃以上の日)の日数は23日となり、これまでで最も多くなりました。
なお、月最高気温は8月17日に記録した34.6℃でした。これは、日立市役所の最高気温としては観測記録順位第10位で、平均気温が高かった割には、最高気温はそれほど高くなる日がありませんでした。
●8月の気温の平均の記録(1953年〜1999年の統計)
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●8月の真夏日と熱帯夜の日数(1953年〜1999年の統計)
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●8月4日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
◇熱帯低気圧による大雨
最初に述べたように、今年の夏は太平洋高気圧の北への張り出しが強く、日立市では7月下旬から気温の高い日が続きました。しかし、太平洋高気圧の西への張り出しが弱かったことから、台風や熱帯低気圧が西日本へ接近することが多くありました。その中で、12日から13日にかけて西日本から東海道沖へ進んできた熱帯低気圧は、14日に関東地方南岸へ進んだ後、向きを北へ変えて15日には北陸地方へ進みました。このため、関東地方では14日を中心に山沿いで総降水量が400mmを超える大雨となりました。また、平野部でも300mm前後の大雨となった所がありました。
日立市でも13日の夜遅くから雨が降り出し、熱帯低気圧の中心から北へのびる帯状の雨雲がかかった14日未明には1時間に20〜30mmの強い雨が降りました。その後も、14日の夕方にかけて断続的に1時間20mm前後の強い雨が降りました。熱帯低気圧が群馬県へ進んだ14日の夜遅くには雨は止みました。日立市内の13日の降り始めからの総降水量は91.0〜161.0mmになりました。
14日の降水量の推移(本山) |
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●8月14日02時00分と16時00分の降水レーダー図
熱帯低気圧は、関東地方西部をゆっくりと北上しました。熱帯低気圧の中心が通過した神奈川県から埼玉県では、山間部を中心に総降水量が300〜400mmの大雨となりました。熱帯低気圧から離れた日立市でも、反時計回りに中心に巻き込む雨雲の帯がかかり、断続的に1時間20mm前後の強い雨が降りました。
●8月14日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
●8月12日〜15日09時の地上天気図
更新日:1999/09/08
訂補日:2013/08/14
名前 日立市天気相談所