OBSERVATION観測
◇暖かい晩秋の朝
先月に引き続き、日本の南で上層の高気圧が勢力を北へ広げたため、本州の南岸に前線が停滞し周期的に低気圧が通過しました。このため、中旬にかけて曇りや雨の日が多くなりました。20日から21日にかけて日本海を低気圧が発達しながら東へ進んだ後、上層の気圧配置が変わり、高気圧の勢力が南へ後退して移動性高気圧が本州を覆うようになり、晴れる日が続きました。この結果、月の日照時間は138.9時間(平年比86%)と平年より少なくなりました。
一方、日本付近での低気圧の発達が弱かったことから、月降水量は68.5mm(平年比84%)と平年より少なくなりました。また、日本の南で上層の高気圧の勢力が強かったことから寒気の南下は弱くなり、月平均気温は12.1℃と平年より0.4℃高くなりました、
11月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 12.1 11.7 月降水量(mm) 68.5 81.4 月日照時間(時間) 138.9 162.2
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 14.4 13.8 中旬 11.6 11.6 下旬 10.4 9.8
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 35.3 52.9 中旬 35.8 54.2 下旬 67.8 55.1
●11月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPa気温の推移
●11月の日照時間の推移と風向頻度分布
上旬後半から中旬にかけて本州南岸に前線が停滞したことから、平年よりも北から北北東の風の割合が多くなりました。
最初に述べたように、20日から21日にかけて日本海を低気圧が発達しながら東へ進みました。この低気圧に向かって暖かい空気が吹き込んだため、20日の夕方から21日の朝にかけて気温が上がりました。特に、21日の明け方に寒冷前線が通過する前には、この日の最高気温19.8℃を記録しています。この時の、関東地方の気温の変化を見ると、関東地方の南部、東部そして福島県、新潟県の方から気温が上がり始め、関東地方の内陸部、埼玉県と栃木県群、群馬県の南部は、最後まで気温が上がりませんでした。関東地方内陸部では、冷たい空気が地表付近をおおい、その上を暖かい空気が通りすぎていく形になりました。
20日21時のアメダス観測による気温分布では、関東地方の内陸部に気温が10℃以下の、水色で表示された地域が広がっています。そして、これを取り囲むように、関東地方の南部から東部の沿岸部と福島県、新潟県には気温が10℃以上の地域が広がっています。特に、関東地方南部と新潟県では気温が20℃を越えています。また、この時の日立市役所における気温は16.2℃、水戸市における気温は9.2℃と、7.0℃も日立市役所の方が高くなっています。この後、水戸市でも23時過ぎから気温が上がり始め、21日0時の気温は12.2℃、3時には18.4℃になりました。つくばでは、水戸よりも1時間ほど遅れて24時から気温が上がり出しました。それに対して、内陸部の古河では気温の上昇は見られませんでした。
このように、関東地方の内陸部では地表付近に滞留する冷たい空気の上を南からの暖気が吹きぬけていくために、低気圧の南側に入っても気温の上がらないことがあります。それに対して、沿岸部の日立市では冷気の滞留がないため南から入る暖気の影響がすぐに表れ、他の地域よりも先に気温が上がります。
●11月20日から21日の気温と気圧及び風速の変化
※上図、市役所における気温と気圧の変化のデータ(10分間値、エクセル2000ファイル、443KB)
●11月20日から21日の茨城県内の気温の変化
※上図、茨城県内の気温の変化のデータ(1時間値、エクセル2000ファイル、88KB)
●寒冷前線通過時の地上天気図
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●寒冷前線通過時の気温と風向の変化
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更新日:2000/12/21
訂補日:2006/05/12
訂補日:2013/11/07
名前 日立市天気相談所