日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇前半は気温が低く雪が降り、後半は暖かくなる

 月を通して、低気圧がしばしば日本付近を通過しました。月の前半は低気圧がアリューシャン付近で発達し、日本付近へ強い寒気が入って気温が低くなりました。中旬の後半から下旬の前半にかけては高気圧におおわれるとともに南から暖気が入り、気温が高くなりました。月の終わりになると、低気圧が本州南岸を頻繁に通るようになり、曇りや雨の日が多くなるとともに北から寒気を引き込み、気温が低くなりました。この結果、月平均気温は7.3℃と平年より0.5℃高くなりました。一方、日本付近での低気圧の発達が弱かったことから、月降水量は86.5mm(平年比84%)と平年より少なくなりました。月の日照時間は中旬に晴れる日が続いたことから186.3時間(平年比103%)と、ほぼ平年並みになりました、

3月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 7.3 6.8
月降水量(mm) 86.5 103.6
月日照時間(時間) 186.3 181.3
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 5.3 5.7
中旬 7.3 6.6
下旬 9.2 8.0
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 54.9 59.5
中旬 77.0 60.3
下旬 54.4 61.5

 ●3月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける850hPa気温の推移

2001年3月の日立市役所における日平均気温の推移 2001年3月のつくばにおける850hPa気温の推移(09時)

◇13日の寒気に伴う雪

 12日から13日にかけて、上層に強い寒気を伴った気圧の谷が日本付近を通過しました。これに伴う地上低気圧は秋田沖から南東へ進み、関東地方北部を通過して13日の朝には東海上へ進みました。12日から13日にかけての日立市役所における気象の変化をみると、気圧の谷が通過する直前の2時30分頃から北の風が急に強まるとともに気温が一気に2℃近く下がり、0℃前後の気温となりました。そして、4時前にやや発達した雨雲が通過したため、3時10分から4時00分にかけて降水量が2.0mmとなりました。気温が低かったことから雪が一気に積もり、日立市役所では積雪が2cmになりました。

 このときの低気圧と雲の動きを気象衛星の赤外画像から見てみると、低気圧が日本海側から太平洋側へ進むとき、陸地を飛び越えて進んでいく様子が見られました。12日21時、秋田沖には上層の気圧の谷に伴う小さな低気圧があって、南東へ進んでいます。この低気圧に巻き込むような形で、低気圧の東側に、南北に伸びた雪雲があります。この後、低気圧周辺の渦状の低い雲は南へ進んでいますが、南北に伸びた雪雲は東へ進み、渦状の雲からしだいに離れていきます。

 13日03時の写真では、南北に伸びた雲の先端は、太平洋側へ出かかっています。そして、この雲の南端、茨城県の東海上には、新たな雲が発生しかかっています。この雲は、南北に伸びた雲を吸収する形で急速に発達して大きくなり、09時には房総半島の東で低気圧なりました。日立市では、南北に伸びた雪雲の南端がかかった、13日03時30分から05時頃にかけて、一時的に雪が強く降りました。なお、南へ進んだ渦状の雲は、13日09時には能登半島の西にあって、ほとんど消えかかっています。

 ●13日の最深積雪
日立市役所:2cm、水戸2cm、つくば:2cm(09時)、宇都宮:1cm、前橋2cm、熊谷0cm

 ●3月12日から13日の気温、気圧、風向、風速の推移(日立市役所:10分値)

2001年3月12日から13日の気温の推移(日立市役所:10分値) 2001年3月12日から13日の気圧の推移(日立市役所:10分値)
2001年3月12日から13日の風向の推移(日立市役所:10分値) 2001年3月12日から13日の風速の推移(日立市役所:10分値)

 ●3月13日01時30分〜05時30分の降水レーダー図

2001年3月13日01時30分の降水レーダー図 2001年3月13日02時30分の降水レーダー図 2001年3月13日03時30分の降水レーダー図 2001年3月13日04時30分の降水レーダー図 2001年3月13日05時30分の降水レーダー図

 ●3月12日18時〜13日09時の気象衛星赤外画像

2001年3月12日18時の気象衛星赤外画像 2001年3月12日21時の気象衛星赤外画像 2001年3月13日00時の気象衛星赤外画像
2001年3月13日03時の気象衛星赤外画像 2001年3月13日06時の気象衛星赤外画像 2001年3月13日09時の気象衛星赤外画像

 ●参考:3月12日21時と13日09時の地上天気図

2001年03月12日21時の地上天気図 2001年03月13日09時の地上天気図

 12日から13日にかけて日本付近を通過した寒気は、シベリアから南下して北海道を通過したものと、朝鮮半島から東へ進み、関東地方を通過したものと、2つありました。これに対応するように、12日16時の気象衛星の可視画像(下図)には、北海道の西と山陰沖に渦状の雲があります。また、このときの上層約5500mの気温は、13日09時のつくば市の上層で-31.3℃まで下がりました。

 ●参考:気象衛星可視画像と500hPa面高層天気図

2001年03月12日16 時のひまわり可視画像図 2001年03月13日09 時の500hPa面高層天気図

※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における「-」の数値は、その地点の500hPaの高さにおける気温を、「+」の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。


◇8日の寒気に伴う雪(茨城県中部から千葉県北部で大雪)

 8日の夜、寒気を伴った上層の気圧の谷が東日本を通過しました。これに伴う地上低気圧が、8日の夕方から夜にかけて関東地方を東南東へ進んだたため、茨城県から千葉県にかけて雪が降りりました。

 下の降水レーダー図をみると、雪雲は茨城県南部を通過した20時から21時過ぎにかけて一時的に発達しました。このため、茨城県南部から千葉県北部で大雪となり、つくばで積雪が12cm、千葉県我孫子で積雪が13cmになりました。日立市役所でも21時30分から24時00分にかけて雪が降りましたが、雪雲の北端がわずかにかかった程度のため積雪は0cmでした。

 ●8日の最深積雪
日立市役所:0cm、水戸8cm、つくば:12cm(9日09時)、宇都宮:0cm、前橋0cm、熊谷-cm、我孫子13cm

 ●参考:3月8日から9日の気温と気圧の推移(日立市役所:10分値)、

2001年3月8日から9日の気温の推移(日立市役所:10分値) 2001年3月8日から9日の気圧の推移(日立市役所:10分値)

 ●参考:3月8日15時30分〜22時30分の降水レーダー図

2001年3月8日15時30分の降水レーダー図 2001年3月8日16時30分の降水レーダー図 2001年3月8日17時30分の降水レーダー図 2001年3月8日18時30分の降水レーダー図
2001年3月8日19時30分の降水レーダー図 2001年3月8日20時30分の降水レーダー図 2001年3月8日21時30分の降水レーダー図 2001年3月8日22時30分の降水レーダー図

 ●参考:3月8日21時の地上天気図と500hPa面高層天気図

2001年03月8日21時の地上天気図 2001年03月8日21時の500hPa面高層天気図

y4.gif (1703 バイト)【観測日誌2001年へ】 home_h2.gif (1545 バイト)【ホームページへ】

更新日:2000/04/19
訂補日:2015/02/26
名前 日立市天気相談所