日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇曇りや雨の日が続く

 上旬から中旬にかけて、本州付近に前線が停滞することが多く、関東地方では曇りや雨の日が多くなりました。さらに、14日から15日にかけて台風第4号が本州の南を東進し、暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、日立市では200mm近い雨が降りました。このため、月降水量は330.0mmと平年の230%になりました。これは、7月の降水量としては、2006年の345.0mmに次いで多いものでした。また、月日照時間は104.2時間と平年の76%にしかなりませんでした。

 6月中旬から気温の高い日が続いていましたが、7月1日に気圧の谷が東へ抜けた後、偏西風帯が平年に比べて南下し、北から寒気が入りやすい気圧配置となったため、気温の低い日が続くようになりました。特に、7月中旬の終わりにはオホーツク海高気圧が発達し、北東の風とともに冷たい空気が入ってきたため、日平均気温は平年より4℃近く低くなりました。下旬に入ると、日本の南で高気圧が強まり気温が上がってきましたが、月末には東日本を寒冷渦が通過して、再び気温が下がりました。このため、月平均気温は21.6℃と平年より1.3℃低くなりました。

7月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 21.6 22.9
月降水量(mm) 330.0 142.4
月日照時間(時間) 104.2 136.2
月降水量(mm)
順位 月降水量
1 2006 345.0
2 2007 330.0
3 2005 307.0
※順位は値の多い方からで、1953年から2007年までの統計

 ●7月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける850hPa気温の推移

2007年7月の日立市役所における日平均気温の推移 2007年7月のつくばにおける850hPa気温(09時)の推移

 14日から15日にかけて、台風第4号が九州地方南部から紀伊半島を通り、関東地方の南海上を東へ進みました。関東地方の南を通過する頃には、台風の勢力は弱まっていたため、強い風の吹くことはありませんでした。また、15日の午後には、中心付近の雨雲もなくなりました。しかし、本州の南に停滞していた前線が、台風の東進につれて東北地方まで北上したため、日立市では14日の午後から雨が降り始め、15日の夕方まで時々やや強い雨が降ることを繰り返しました。

 特に、15日の昼過ぎから夕方にかけては、台風の北東側を回り込む形で、東からの湿った空気による雨雲が東北地方中部から茨城県北部にかかりました。茨城県北部の雨雲は、15時から16時頃にかけて一時的に停滞したため、日立市の北部で雨量が多くなりました。本山観測所では、15時から16時の1時間に40.0mmの雨が降りました。このように、日立市北部に雨雲の境が位置したため、沿岸部の観測地点で比較しても、北部消防署では総降水量が253.5mmに達したのに対して、市の南部にある南部支所の総降水量は110.5mmと、北部と南部では降水量に倍以上の差がありました。(市内6地点の降水量データ(htmlファイル)

 ●気象観測記録(7月15日:日立市役所)

最大風速(m/s) 最大瞬間風速(m/s) 海面気圧(hPa)
風速 同風向 同時刻 風速 同風向 同時刻 最低気圧 同時刻
9.7 北北東

19:27

20.8 北北東

19:16

987.4

16:04

※総降水量は、8日14時から9日の21時までの降水量。

 14日から16日の市内の降水量(mm)

観測地点
総降水量

最大1時間降水量

降水量

日時

日立市役所 200.5 23.0 15日10時09分
北部消防署 253.5 26.0 15日11時00分
本山 279.5 40.0 15日16時00分
西部出張所 201.5 32.5 15日14時00分
諏訪広場 171.0 18.0 15日13時00分
南部支所 110.5 14.5 15日09時00分

※北部消防署の15日16時の値は、機器故障のためレーダーによる推定値24.0mmを使用。

※総降水量は、14日12時から16日01時までの積算値。

 市内6観測地点の14日から15日にかけての降水量の推移

日立市役所 北部消防署 本山あかさわ山荘
14日から15日にかけての降水量の推移(日立市役所) 14日から15日にかけての降水量の推移(北部消防署) 14日から15日にかけての降水量の推移(本山あかさわ山荘)
西部支所 諏訪スポーツ広場 南部支所
14日から15日にかけての降水量の推移(西部支所) 14日から15日にかけての降水量の推移(諏訪スポーツ広場) 14日から15日にかけての降水量の推移(南部支所)

 参考:台風第4号の経路図と15日15時の地上天気図

台風第4号の経路図(2007年7月) 7月15日15時の地上天気図

 降水量レーダー図で15日の雨雲の変化を見ると、台風は紀伊半島を通過している時点では、中心の東側にまだ雨雲を伴っていましたが、東へ進むにつれて勢力が弱まり、雨雲は東へ先行していきました。そして、関東地方の南を通過した夕方には、台風の中心付近では雨雲はほとんど消えていました。

 しかし、台風の東側を回る形で南から湿った空気が入り、東北地方から茨城県北部にかけての太平洋岸で雨雲が発達しました。特に、15日の12時過ぎから16時にかけては、東海上から西へ帯状にのびる発達した雨雲がかかり、一時的に停滞したこともあって、茨城県北部の太平洋側で雨量が多くなりました。本山では15日の降水量が250.0mmになり、1日の降水量としては1988年5月の観測開始以来第1位の記録となりました。なお、先に述べたように、発達した雨雲は日立市の南部にはかからなかったため、15日の南部支所の降水量は88.0mmと、市の北と南では降水量に大きな差が出ました。

 参考:15日05時00分から16時00分までの降水量レーダー図

15日05時00分の降水量レーダー図 15日07時00分の降水量レーダー図 15日09時00分の降水量レーダー図 15日11時00分の降水量レーダー図
15日12時40分の降水量レーダー図 15日14時00分の降水量レーダー図 15日15時00分の降水量レーダー図 15日16時00分の降水量レーダー図

 参考:15日15時00分の降水量レーダー図(日立付近)

降水量強度凡例

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作成日:2007/08/13
一部追加:2013/05/19
名前 日立市天気相談所