日立市天気相談所

OBSERVATION観測

◇寒い早春

 上旬は本州南岸を低気圧が頻繁に通り、曇りや雨の日が多くなり、気温は平年並みになりました。10日に低気圧が関東地方の南を東へ進んだ後、強い寒気が南下してきて冬型の気圧配置になりました。また、中旬の終わりにも一時的に寒気が入りました。このため、中旬の平均気温は平年より1.8℃低くなりました。下旬になると、天気は周期的に変わるようになりました。下旬の中頃には強い寒気が入りましたが、終わりには南から高気圧におおわれ気温が上がりました。このため、下旬の平均気温は平年並みになりました。この結果、月の平均気温は6.6℃と平年よりやや低くなりました。

 一方、上旬の日照時間は天気が悪かったことから30.7時間と平年の平年の54%しかありませんでした。しかし、中旬と下旬は冬型の気圧配置や移動性高気圧におおわれることが多く、日照時間は平年より多くなったことから月の日照時間は平年並みになりました。また、月の降水量も101.5mmと平年並みでした。

3月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 6.6 7.2
月降水量(mm) 101.5 107.5
月日照時間(時間) 173.7 178.8
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 6.1 5.9
中旬 5.5 7.3
下旬 8.0 8.2
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 30.7 57.2
中旬 71.8 60.9
下旬 71.2 60.7

※月平均気温の順位は1953年〜2011年の統計で、値の低い方から。 

 ●3月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPa面の気温(09時)の推移

3月の日立市役所における日平均気温の推移 3月のつくばにおける500hPa面の気温(09時)の推移

 ※上のグラフの元データ:エクセル2000ファイル(1203data.xls、99KB

 今年の冬は、2011年12月半ばから2月にかけて日本付近で偏西風の蛇行が強まり、寒気が南下してきて気温の低い日が続きました。このため、12月から2月にかけての冬季の平均気温は4.1℃と平年より1.3℃低くなり、日立市役所観測開始以来、1984年の2.9℃、1986年の3.5℃に次いで3番目に低い気温となりました。3月も引き続き偏西風の蛇行が大きく、時々寒気が南下してきて平均気温は平年を下回りました。一方で、日本の東で上層の高気圧の勢力が強くなり、南から暖気が入りやすくなりました。このため、平均気温が低くかった割には最低気温は下がらず、冬日の日数も3日と平年の半分程度しかなく、最近の10年間では2008年と2010年の1日に次いで少なくなりました。

 なお、最近10年間の3月の平均気温の記録をみると、今年の最高気温の月平均は10.4℃と最近10年間では去年の9.7℃に次いで低くなっています。それに対して最低気温の月平均は2.9℃と平年を0.1℃上回り、気温が上がらずに寒い日が多かったものの冷え込みは強くなかったことを示しています。

最近10年間の3月の気温(℃)
平均 最高平均 最低平均
2003 6.4 11.4 1.6
2004 7.5 13.0 2.6
2005 6.6 11.5 2.1
2006 7.7 12.8 2.7
2007 8.6 14.1 3.3
2008 8.1 12.3 4.0
2009 7.6 12.0 3.1
2010 6.5 10.5 2.8
2011 5.3 9.7 1.1
2012 6.6 10.4 2.9
平年 7.2 11.7 2.8
最近10年間の冬日の日数
12月 1月 2月 3月 合計
2003 9 16 13 11 49
2004 2 21 11 7 41
2005 4 19 14 9 46
2006 16 23 11 8 58
2007 2 5 8 7 22
2008 1 16 22 1 40
2009 5 13 6 4 28
2010 6 13 16 1 36
2011 1 23 10 11 45
2012 11 20 15 3 49
平年 5.8 16.6 14.3 5.9 42.6

※冬日の日数の12月は前年を表す(2012年の欄の12月は2011年12月の値)


◇寒冷前線の通過に伴う南西の強風

 偏西風の蛇行と南からの暖気の流入により、日本付近で低気圧の発達することが多くなりました。特に31日の場合は、日本海側を発達しながら北東へ進んだ低気圧から南へのびる寒冷前線の東側で、東海上へ抜けた移動性高気圧の間での気圧傾度が大きくなり、気温が上がるとともに南西の風が強く吹きました。日立市役所では、30日の10時頃から南西の風が平均風速で5m/s前後とやや強く吹き始めました。寒冷前線が近づいてきた31日8時前からは一段と風が強くなり、10時46分には最大瞬間風速、南西の風25.9m/sを記録しました。最大瞬間風速が25m/sを超えたのは、2009年10月26日の台風第20号による北東の風25.7m/s以来のことです。この後、風はやや弱まりましたが、14時過ぎまでは平均風速で9m/s前後のやや強い風が続きました。15時20分頃に寒冷前線が通過すると、風向が南西から北東へ変わるとともに強い風は収まっていきました。

 低気圧に向かって南から暖かい空気が入ったことと南西の風によるフェーン現象の影響により、30日の夕方から31日の朝にかけては気温が下がりませんでした。日立市役所では14〜15℃の気温で推移し、5月下旬並みの暖かい朝となりました。8時前ころから南西の風が強まると気温は一段と上がり、11時03分に最高気温19.1℃を記録しました。これは、今年になっての最高で5月上旬並みの気温でした。その後、15時20分頃に寒冷前線が通過すると、気温は一気に7℃近く下がり、17時には7.8℃になりました。その後も気温は徐々に下がっていき、この日の最低気温4.8℃は23時51分に記録しました。(下の3月30日から31日の気象観測値の推移グラフの元データ:120331.xls(エクセル2000ファイル、454KB)

 ●3月31日の風の記録

地点 瞬間風速(m/s) 平均風速(m/s)
風向 最大値 時刻 風向 最大値 時刻
日立市役所 南西 25.9 10:46 南西 12.8 10:54
水戸(金町) 南西 26.7 12:57 南西 11.7 13:03

 ●3月31日の気温(℃)

地点 日平均気温 最高気温 最低気温
平均気温 平年値 気温 時刻 平年値 気温 時刻 平年値
日立市役所 13.0 9.2 19.1 11:03 13.6 4.8 23:51 4.7
南部支所 12.9 - 19.7 10:50 - 5.1 23:56 -
水戸(金町) 13.3 8.9 19.5 10:23 14.3 6.5 23:39 3.7

 ●3月30日から31日の気象観測値の推移

3月30日から31日の風速の推移 3月30日から31日の風向の推移
3月30日から31日の気温の推移 3月30日から31日の海面気圧の推移

 ●3月31日15時のアメダスによる気温と風の分布

3月31日15時のアメダスによる気温の分布 3月31日15時のアメダスによる風の分布

 ●参考:3月31日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図

3月31日09時の地上天気図 3月31日09時の500hPa面高層天気図

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作成日 2012/04/19
訂補日2012/05/02
名前 日立市天気相談所